私は山道を運転するのが好きである。
30年ほど前城崎から鳥取に抜ける道を走ったことがある。
車のすれ違いもままにならないような細い道だったが、
峠に差し掛かったときに視界が開け、眼下に群青の日本海が開けたときは感動した。
そして山を降りるといつの間にか小さな漁港に入り、また山に入っていく。
その変化が楽しかった。
何年かして同じ道を行ったが、産業道路の姿を変えて、
昔の面影は丸でなかった。
最近では、四万十川沿いを走ったときが面白かった。
すれ違う事ができなくて、信号機付きの交互通行の箇所があったが、
そこで10分ほど待たされたとき、川の流れの音、木々を渡る風の音などが
妙に心に響いて、待たされているのを忘れてしまうほど安らかなひとときだった。
ここも丁度拡幅工事をしている最中だったので、今では面影もないかもしれない。
この夏は、平谷村から南信濃まで国道418号線を走った。
ここは売木村までが狭い山道で、久しぶりに良いコースだった。
平谷峠に達した瞬間に広がる視界、
そして途中で何度か出会う滝。
昼間だったので野生動物にこそ出会わなかったが、
楽しいドライブだった。
南信濃から飯田市までの山道は、5年前に鹿に出会ったところ。
と思って楽しみに走り出したが、
この5年で随分道はよくなり、野生動物に出会いそうな道はなくなっていた。
飯田市まで1時間足らず、
以前より30分ほど短縮していたが、山道好きには物足りないものになっていた。