江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

哀悼

2024-05-05 23:44:56 | 劇評・他
唐十郎さんが亡くなられた。

私は結城座に入って2年目、
唐さんの作品「少女仮面」で”ボーイ2”の役に大抜擢
ところが台本を読んでみると、登・退場しか書いてなくて
そこで何をすればよいのか、台詞もなく分からない。
悩んだ。
ともかく思いついたことをやった。
演出の佐藤信さんや師匠の手助けもあって
何とか千秋楽を迎えた。
その千秋楽に、唐さんが来た。
そして、打ち上げ。
唐さんはとても機嫌よく酔っていった。
そこで若手だけで歌えという。
もちろん「少女仮面」の挿入歌

時はゆくゆく
乙女は婆に
それでも時が行くのなら
婆は乙女になるのだろうか

凄い詩だと思う。
手元に資料がなく、しかも記憶が覚束なく
間違っていたら申し訳ない。

歌い終わると、
唐さんは、歌い方が違うという。
こう歌うんだ
と唐さん、歌いだした。
味があるといえば、あるかもしれない、
でもその時私は、違いが分からなかった。
今もわからない。
でも、その時の情景は今も残っている。
何かが、そう何かが私の中に残ったのだろう。

唐さん、有難うございます。
安らかにお休みください。
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三条のご報告

2024-03-17 23:44:04 | 劇評・他
新潟県三条市で行った公演とワークショップについて
素敵な報告文が送られてきましたので
ここにご紹介します。





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浅草木馬館

2023-09-10 00:46:40 | 劇評・他
大衆演劇というとレベルの低いものと捉えられがちである。
ところがどっこい、なかなかなものがあるのだ。



今月の木馬館は、桐生座恋川劇団。
もしかしたら私が最も好きな劇団かもしれない。
座長の恋川純、良いのだ。
6日に観に行った。
この日のプログラムは、座員を立てるもの。
座長は控えめにしているのだが、
出るとやはり光る。
とりわけ第3部の舞踊で
美空ひばりの「リンゴ追分」を踊るのだが、
これが絶品だった。
リンゴの花が散るのを追う眼
それを取ろうとする手の仕草、
そしてそれが夢だったと
飲み屋を後にする
きっちりと扉を閉める
思わず「座長!」と声を掛ける。



今月は28日まで
是非いろんな人に見て欲しい。
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大衆演劇

2023-05-20 23:45:42 | 劇評・他
浅草の行きつけの店に行くと
お勧めの劇団が木馬館に来る、と教えてくれる。
見に行くと、大概ハズレがない。
これはね・・・、という劇団は、その通りだ。

その勧めに乗って先日5月12日に
劇団暁を見てきた。
大衆演劇と侮るなかれ、レベルが高い。
大衆演劇は3部構成になっている。
1部に軽く踊りを見せて、2部で芝居を約1時間、
3部でたっぷり踊りを見せる。
2部の芝居は毎日、いや劇団によっては昼夜違えて芝居を打つから
行った日によっては多少のあたりハズレはある。
その日はゲストの恋川純弥を立てた形にしたせいか、
ちょっと無理があった。
この恋川純弥はまたお勧めの役者で、
この日は満員の客席を彼のファンがかなり占めていた。

その芝居は置いておいて、
踊りが半端なく良い!
一人一人が踊れるし、身体能力も高い。
例えば「夜桜お七」を男の人のヴォーカルで踊ったのだが、
ー残念ながら踊った役者の名前はわからないー
3番まで踊り、ただ振付が変わるというのではなく
物語風に踊りの心持が変わっていくように踊りそのものが変わっていく。
また「奴さん」は、頭できっちり「奴さん」を踊るのだが、
基礎がしっかりできているうえ軽妙さが実にうまい。
しかもその後別の曲に展開し、
そこでは6尺棒を激しく見事に使いこなす。
身体能力が高い。
恋川純弥を中心とした3人の踊りでは、
変面ではないが、うまいお面の遣い方をしていた。
立ち回りも面白かった。

踊りも毎日変わるので同じものが見られるわけではないが、
世の中にはマスコミに登場しないが
実力のある人たちがいるのである。
もし時間があるのなら、是非見てほしい劇団である。

浅草木馬館にて
5月29日まで 昼の部12時~15時半  夜の部17時~20時半
問い合わせ:03-3842-0709 (浅草木馬館)
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絵の見方

2019-11-03 22:57:45 | 劇評・他
絵の見方なんて、どう見たってかまやしない。
ただちょっと面白い体験をしてきたので、
それを二つばかり。

独立した時、ある多目的ホールの舞台監督になったことがある。
そこで何かイベントがあると、
会場の管理者として立ち会うのだ。

たまたま「ユトリロとその仲間たち」という企画展に
立ち会ったのだが、
そこは役得というもので、
展示前の床に置いて壁に立て掛けられた絵を、
胡坐をかいてじっくり見ることができた。
もしかしたら、ユトリロ自身こんな格好で描いていたのかと
勝手に想像しながら。
私は、
ユトリロの絵は同じような白い建物ばかりで面白くないと思っていた。
ところが楽な格好で好きなだけ絵を眺めているうち

ああ、彼は本当にこの絵が描きたかったんだ

なんか、彼の気持ちがジワリと私の中に滲みてきたように
そう感じたのだ。


先日は親父と平山郁夫氏を同じに並べて、
気を悪くした人もいるかもしれない。
ただ親父の絵から得たものは大きかった。
例えば1枚の絵を見て、
まずは目の行くところがある。
そこを中心に見ているうちに
気になるところが出てくる。
そこが深い陰のところだったりすると、
その陰のところがどうなっているかわかろうとするが、
なかなかわからなかったりする。
そこでまた最初に目の行ったところを見ると、
最初に見た感じと異なっていたりする。
そうして目をいろいろ動かすことで
絵の深さを楽しむことができると知った。

平山郁夫氏の作品で
とりわけ対象を日本の寺社にしたものは、
まさしくその見方で深く楽しむことができたのだ。
例えば「浄瑠璃寺」
夜というより黄昏時の闇が迫ってくるときと感じたのだが
深い青で塗られた中に、障子からこぼれる黄色い明り、
そこに目が行って、周りの闇が見えてこない、
隣の「鳳凰堂」(多分平等院)もとても気に入っていて、
その二つを見比べているうち
伽藍を包む木々の深さが突然見えてきて、
と同時に鳳凰堂からこぼれる薄い明りも見えてきて、
私は感動してしまった。
そしてほかの会場を見た後もう一度その部屋に入ってみると
また違った絵に見えてきて・・・・

私は友人のお陰で、
実家に帰る度親父の絵をじっくり見直している。
まだ一度も見ていない作品が百数十点もある。
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