この寺は、豊後高田市の東のはずれにある。
宇野小四郎氏の文献には載っていなかったが、
「日本の祭り」というテレビ番組で、修正鬼会があることを知っていた。
ここのそれは、毎年旧暦の正月7日に行われているそうだ。
豊後高田市からその日の宿泊地・あかねの郷に向かう街道沿いにあって
一見何の変哲もない建物に見える。
もっとおどろおどろしたところかと想像していたので、
ちょっと拍子抜けしてしまった。
しかも無住寺だった。
(長安寺の住職が兼任しているそうだ)
何か鬼会につながる岩穴か何かを期待して、
鳥居の脇の階段を上っていくと
岩をくりぬいて作った祠があった。
岩山が境内に少しかぶるようにせり出している。
講堂に入ると、松明が3本置いてあった。
その手前が舞台になっていて、
鬼は下駄を踏み鳴らしながら、踊るのだそうだ。
その手前に、松明に火をつけるかまどのような場所があった。
その場に佇み、建物に染み込んだ修正鬼会の喧騒やにおいを感じようとしたが、
凡人の私には無理だった。
寺の隣に、歴史資料館がある。
遅かったのか既に閉まっていたので
東京に帰る前にもう一度訪ねる。
それが良かった。
ビデオが見られただけでなく
自称隣町のただの農家という年配の男性の案内で、
ここが山岳信仰の場であることを、遠くに確認することができた。
岩山の稜線の左の方に、小さな橋が架かっているのがわかるだろうか。
そして右の一番高い頂の上に、お堂が立っているのが。
修験僧は、橋を渡ってお堂まで行くと、
その下のむき出しになっている岩を、鎖を頼りに上り下りするのだそうだ。
その先に修正鬼絵があるのだろうか。
これは、本番を見ないといけない、と強く思った。
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