数日前発行した(2012/3/6本体7,500円+税)ヨーゼフ・クライナー 編『近代〈日本意識〉の成立』が昨日届いた。このように新しい印刷物を手にした時「インクの匂いがする」と以前はよく言われたものである。日本の民族学・人類学の歴史はほぼ植民地時代のものであり、植民地に関して長く議論できたことが大変勉強になったこと、クライナー先生、ベフ先生などと懐かしく昔の話を長くしたことを思い出す。この本と去年は山路勝彦編『日本の人類学』は近年の人類学の大成果であると言える。両方に参加することができて嬉しい。このたびは草稿から半分ほど減らさなければならなかったのが残念である。別稿にしたい。
植民地時代に朝鮮で活躍した今村鞆、秋葉隆などの植民地主義を紹介して、それを戦後の時代、全く異なった社会状況で安易に非難することについての批評を試みた。本欄で繰り返して主張したように戦争時代のことを戦後の状況で非難するような言説自体を批判した。同時代の線上で本質的な批評をなすべきであるという教訓をこの論文で述べた。広く意見を聞きたい。
出版社の内容説明:
「2011年に法政大学で開催されたシンポジウムの報告集。明治開国以降の日本における民俗学・民族学(人類学)の果たした役割をまとめた27本の論考を収録。執筆者は、在外研究者も含め、第一線で活躍する研究者ばかり。民俗学史・民族学史の第一級の研究者が勢揃いした詳細な1冊」
目次
第一部 日本民族とは何か
日本の民俗学・民族学─昭和一〇年代から四〇年代までの展開─(ヨーゼフ・クライナー)
「日本」意識の多様性(ハルミ ベフ)
日本の民俗学と民族(福田アジオ)
博物館とアイデンテティ(近藤 雅樹)
第二部 植民地の多民族国家の民族学と民俗学
朝鮮文人社会の知的伝統と民俗学(伊藤 亜人)
日本民族学者の植民地朝鮮認識(崔 吉城)
戒能通孝の「協同体」論 ―戦時の思索と学術論争―(清水 昭俊)
日本統治下の台湾における民族学と馬淵東一(笠原 政治)
台湾における民族考古学の系譜 ―鹿野忠雄と国分直一を中心に―(野林 厚志)
京都大学ポナペ島調査と南洋群島(山本 真鳥)
雑誌『民間伝承』の国際性(石井 正己)
“モヤヒ”の風景 ―橋浦泰雄の組織論―(鶴見 太郎)
柳宗悦の文化的連邦主義(相良 匡俊)
第三部 戦後のパラダイムと再編成
民主主義の土台としての封建制度 ―『菊と刀』―(エミー ボロボイ)
日本占領期の人類史 ―GHQの応用人類学―(中生 勝美)
昭和二〇年代から三〇年代にかけての日本での社会調査を振り返って(ロナルド ドアー)
英語圏日本研究におけるイエ・モデルの形成 ―日本の学者の見えざる貢献―(桑山 敬己)
石田英一郎による、東京大学での総合人類学教育の構想と実践(川田 順造)
石田英一郎先生のこと ―その日本文化研究―(杉山 晃一)
東大文化人類学研究室「日本文化の地域性研究」プロジェクト ―昭和三五―四〇年―(長島 信弘)
隠れた体験の投影 ─―石田英一郎の視点―(鶴見 太郎)
『民族学研究』におけるアイヌ研究 ―終戦から昭和四〇年代まで―(山崎 幸治)
日本の民族学・文化人類学における南西諸島研究の役割(ヨーゼフ・クライナー)
戦後熊本における郷土史編纂活動 ―「熊本女子大学郷土文化研究所」を中心に―(大島 明秀)
土居健郎の日本文化論(エミー ボロボイ)
『文明の生態史観』を通じてみた梅棹忠夫の業績(ハルミ ベフ)
植民地時代に朝鮮で活躍した今村鞆、秋葉隆などの植民地主義を紹介して、それを戦後の時代、全く異なった社会状況で安易に非難することについての批評を試みた。本欄で繰り返して主張したように戦争時代のことを戦後の状況で非難するような言説自体を批判した。同時代の線上で本質的な批評をなすべきであるという教訓をこの論文で述べた。広く意見を聞きたい。
出版社の内容説明:
「2011年に法政大学で開催されたシンポジウムの報告集。明治開国以降の日本における民俗学・民族学(人類学)の果たした役割をまとめた27本の論考を収録。執筆者は、在外研究者も含め、第一線で活躍する研究者ばかり。民俗学史・民族学史の第一級の研究者が勢揃いした詳細な1冊」
目次
第一部 日本民族とは何か
日本の民俗学・民族学─昭和一〇年代から四〇年代までの展開─(ヨーゼフ・クライナー)
「日本」意識の多様性(ハルミ ベフ)
日本の民俗学と民族(福田アジオ)
博物館とアイデンテティ(近藤 雅樹)
第二部 植民地の多民族国家の民族学と民俗学
朝鮮文人社会の知的伝統と民俗学(伊藤 亜人)
日本民族学者の植民地朝鮮認識(崔 吉城)
戒能通孝の「協同体」論 ―戦時の思索と学術論争―(清水 昭俊)
日本統治下の台湾における民族学と馬淵東一(笠原 政治)
台湾における民族考古学の系譜 ―鹿野忠雄と国分直一を中心に―(野林 厚志)
京都大学ポナペ島調査と南洋群島(山本 真鳥)
雑誌『民間伝承』の国際性(石井 正己)
“モヤヒ”の風景 ―橋浦泰雄の組織論―(鶴見 太郎)
柳宗悦の文化的連邦主義(相良 匡俊)
第三部 戦後のパラダイムと再編成
民主主義の土台としての封建制度 ―『菊と刀』―(エミー ボロボイ)
日本占領期の人類史 ―GHQの応用人類学―(中生 勝美)
昭和二〇年代から三〇年代にかけての日本での社会調査を振り返って(ロナルド ドアー)
英語圏日本研究におけるイエ・モデルの形成 ―日本の学者の見えざる貢献―(桑山 敬己)
石田英一郎による、東京大学での総合人類学教育の構想と実践(川田 順造)
石田英一郎先生のこと ―その日本文化研究―(杉山 晃一)
東大文化人類学研究室「日本文化の地域性研究」プロジェクト ―昭和三五―四〇年―(長島 信弘)
隠れた体験の投影 ─―石田英一郎の視点―(鶴見 太郎)
『民族学研究』におけるアイヌ研究 ―終戦から昭和四〇年代まで―(山崎 幸治)
日本の民族学・文化人類学における南西諸島研究の役割(ヨーゼフ・クライナー)
戦後熊本における郷土史編纂活動 ―「熊本女子大学郷土文化研究所」を中心に―(大島 明秀)
土居健郎の日本文化論(エミー ボロボイ)
『文明の生態史観』を通じてみた梅棹忠夫の業績(ハルミ ベフ)