崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「サワコの朝」「やらせる」

2012年03月18日 06時40分07秒 | エッセイ
 朝のテレビインタビュー番組「サワコの朝」で劇作家・俳優の三谷幸喜氏が出演した。三谷氏(劇作家)が佐和子氏(俳優)に演技を演出する場面があって、面白かった。自分が執筆した劇作品を演出し、上演されるまでの過程を短く見せてくれた。劇作家が俳優に「やらせる」場面を演じたのである。彼はまず俳優を探す。才能や特徴を細かく観察してから選び、「やらせる」というのだ。脚本が小説とは違う点がはっきりした。
 人を「やらせる」のは劇作家に限らない。相手を無視して無理にやらせると奴隷化することになりうる。しかしその人を十分理解し敬愛して「やらせる」ことは素晴らしい。国民が政治家を選ぶ時もそうすべきであろう。また上位者になった人は本人自らすべてをやろうとせず、人にやらせること。新年度の人事異動が発表されるのを見て、長になった人は人に協力を求めて「やらせる」ことをうまくしてくほしいと願う。皆が劇作家と俳優のように「やらせる」、「やる」の気持ちを持ってほしいと思う。
 今私は戦前の映画脚本を読んでいる。監督の演出と俳優の演技、中でも脚本を完全に消化して創作するような俳優に注目している。俳優になる心は普通の人間関係においても大事なものであろう。