崔吉城との対話

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安重根の「後悔」

2014年09月22日 06時03分12秒 | 旅行
先日も本欄で言及した、朴日栄氏訳『静かな朝の国』(Im Lande der Morgenstille,1915)を読み終わって数週間気になる部分がいくつかある。まず知人でもある訳者に敬意と感謝を送りたい。彼が撮ったドキュメンタリー映像では日本植民地である朝鮮における日本の影響についてほぼキャッチできないが、この本では日本植民地について多く触れている。安重根については詳しく言及している。著者のヴェーバー氏はカソリック教会の宣教師であり、韓国の民間信仰や民俗などに関心が高い。黄海道の安氏家の話に注目したい。日清戦争に人を動員し、多くの人が死傷して安氏家が外国の支援を受けるためにカソリック教に入教した。安重根は1897年1月10日36人と一緒に洗礼を受けた。
 「伊藤博文の暗殺のニュースが大蓮から聞こえてきた。これは何という雷のような話か。子供の時から勇敢な彼がこの殺人行為をすることによって祖国へ命をささげようとした。彼は自負心の強い家門の子孫であった。彼の行動は家族も誰も知らなかった。彼は2年前に故郷を離れていた。愛国心と侵略者への憎悪心を持っていた。後悔reumuetigもしたが、大韓万歳をした。そして殺人の罪に報われた」
 ここに411ページ訳註18に注目したい。「後悔reumuetig」について「著者の私見であるだけ。中略当時の状況からみて後悔や反省とは距離が遠い」とつけた。なぜこのような註を付けたのだろうか。民族主義の汚染であろうか。安氏は殺人ではなく、愛国者や偉大な将軍様(義軍)だと述べている。この本を最後まで読みながら訳者たちへ尊敬の念が一気に消えた。なぜ註に愛国心を吹き込む必要があったのだろうか、失望が大きい。翻訳全体が疑わしくなってしまって残念である。
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