崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

直樹賞作家の佐木隆三氏

2014年09月07日 05時24分17秒 | 旅行
 
 昨日は直樹賞作家の佐木隆三氏に会った。櫛田学長と一緒に門司の山麓のお宅を探すのにちょっと時間がかかった。そのお宅からは下関の我がマンションが見えるので話は最初から親しみを感じた。彼は広島県三好の農家出身で、お父さんが朝鮮に渡り、佐木氏は朝鮮で生まれた。終戦直前には父の郷里に戻り、7月に父がフィリピンミンダナオ島で戦死、原爆のきのこ雲を見たという。高校卒後、八幡製鐵に就職、岩下氏の下で小説書きを勉強して作家になり、労働者作家として注目されるようになった。1976年、実在の連続殺人鬼をモデルとした『復讐するは我にあり』により第74回直木賞受賞した。昨日彼はその本を持って語った。ちょうど私が今読んでいるものであり、互いに嬉しく対話が続いた。150冊も書いている彼が読者を引きつける文章の秘訣について質問し、延々と話は広がった。もうすでに友人になったよう雰囲気であった。 私は『恨の人類学』の著者でもあると自己紹介かねて彼の主テーマである「復讐」に迫って突っ込んだ質問をした。彼は「ローマ人への手紙」12章19節「愛する人たち。自分で復讐してはいけません。神の怒りに任せなさい。それは、こう書いてあるからです。復讐は私のすることである。わたしが報いをする、と主は言われる」を引用しながら話をした。クリスチャンではなくとも聖書をよく読むという。私は彼の作家精神がキリスト教につながっていると思った。私も「恨」の分析の基本精神、その聖句は暗記しているほどであること、話は深まっていったところで安重根の「暗殺」やテロの問題へと広がっていった。この続きは11月15日東亜大学創立記念日に講演として聞くことにし、記念写真を撮った。

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