崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

読者の方々へ

2015年02月13日 06時06分45秒 | 旅行
 拙著『韓国の米軍慰安婦はなぜ生まれたのか』が出版されて1か月あまり過ぎた。前回のエッセー集の『雀様が語る日本』とは違って性と政治に関する問題を扱った内容を考えて献本は少ない。読んでくれると思われる最小限の方にしぼってさせていただいた。その中には深く問題点を指摘してくださった方もおり感謝である。いち早くコメントを下さった原田先生、倉光先生などの意見をここに要約して紹介したい。慰安婦問題は日本の問題としてのみ狭く限定するのではなく、米日韓の課題として広い視野から取り上げられている。それは戦中の軍人の性の問題として考える。対日慰安婦問題の根底には、「植民地は絶対悪」、「日本は絶対悪い」という韓国人の感情があるが、米軍は日本から解放してくれ、朝鮮戦争で味方になってくれた国という大きい差がある。女性の性的被害を韓国人の恥だとする言説が創られたこと、つまりセックスを以てナショナルアイデンティティを造ろうとしていると。米軍への売春問題は積極的に批判しない。慰安婦問題を、著者自身の体験を踏まえて実証的に書かれた本で、大変説得力のある画期的な実証研究であり、今後、必読の文献になる。
 昨日は読書会で倉光誠氏が読書評を語ってくれた。先日彼の勉強グループで読むということで拙著を購入した経緯がある。彼ははじめは読みやすく面白く導入されたが、どんどん後半に行くにしたがって問題自体が重くなっていった。つまり子供時代の戦争体験の話に惹かれて本場に入ってしまったような本であるという。実際本書では最初の所では要約や予想するような文は一つも書いていない。全部を読まないと分からない、探偵物語りのように構成した。少なくとも問題意識にぶつかって一緒に考えてほしくて書いたものである。昨日は倉光氏が書いてきた書評の中から戦争の問題、「戦争は狂気か正気か」について議論することとなった。私はネットや紙媒体のメディアなどで情報を得るだけではなく、物事を考えるという本を書きたい。読者の方々と一緒に考えたい。読後感を寄せてください。