崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

文化人類学の講義を終えて

2015年02月04日 05時54分20秒 | 旅行
今,後期試験最中であり、学生たちが試験に向けて勉強をする教室を回ってみた。集まって情報を交換しながら準備することを嬉しく感じながら、ガンバレと励ましてあげた。私はできれば学生と直接コミュニケーションをとろうとしている。しかし定職教員の中には非常勤のように講義以外には学生と接しない、あまり在室していない。少数化の問題より教育の質に疑念を持っている。留学生の希望者の数が増えている中、質の高い教育になるか心配である。経営者には大変申し訳ないが、私は時々今が「小人数の質高い教育をするチャンス」だと言っている。教育とはもともと寺子屋の小人数教育から始まったことを忘れてはいけない。

 私の文化人類学の講義に感想文が届いた。修正して再提出するようにしたものもあるが、尾島君のレポートはある程度全体がわかる。

 講義を受けて感じたことや思考を振り返っていくことにする。まず、映画「シパジ」を観て、韓国社会の父系制の実態を強く感じた。特に代理母として選ばれた女の背に「種」とタトゥーを入れる場面をみて、私は、昔の韓国では一般的にこういう風習があったんだと感じた。しかし先生から「歴史映画を本当の実態と思ってはいけない」「歴史的事実として見るのではない」というコメントを聞き、それからというもの、どこからどこまでが事実なのか?、観点が一つ増えた気がしている。父系制とは、男児を産んで家系を守ること。韓国では父系がものすごく強い社会である。表面的には女性を軽視しているようにみられるが、実際は女性に振り回されるともいうのだ。世界の多くの国が父系社会によって形成されていることが分かった。日本の天皇のように父系による世襲制は自由の少ない生活、私としては、あまり良いとは思わない。
 次に結婚制度について世界に目を向けてみると、意外にも異なる結婚システムを持っていることが分かった。その国では当たり前の文化かもしれないが、日本人の私から観ると、想像することができない結婚制度もある。例えば、一妻多夫や一夫多妻の場合は夫や一妻に重い負担をかけるのではないか。また結婚式の風習もさまざまであることが印象的であった。
 クリスマスの日の講義では、神がアダムとイヴを造ったという人間の誕生、「洪水神話」も紹介され語られ、ディスカッションが行われたことがとても興味深かった。最後に宗教問題については近頃、世界各地で宗教による対立、内戦、紛争、テロが相次いで起こっていることと関連して討論した。先日のイスラム国による日本人人質の問題により関心が高まった傾向にも視線が届き、これから先、日本も世界の宗教事情を深く考えていく重要性があると思う。
 以下略