崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

国会の遅刻騒動

2010年03月05日 05時29分24秒 | エッセイ
 国会の参議院予算審議に3人の大臣が数分遅れたことで自民党議員に叱られる「遅刻騒動」がニュースになった。これを機に時間観念が全国的に警告される良い機会になればと思う。日本人やドイツ人は時間をよく守るという評判がある。個人にとっても時間を守ることはジェントルマンシップの重要な項目である。
 古くには韓国人のコレアンタイム、東南アジアのゴム時間といわれたように遅れることが常識的な時期もあった。目上の方の遅れることは礼儀上常識であり、先に来ていると目下の方が恐縮せざるをえなくなるという。見合の時には男性が先に、あるいはお互いに先にということにもなる。会議が終わった後や別れる時も目上の人から先にという細かな礼儀作法がある。
 公的になると時間管理は厳しくなる。会議が始まるとドアを締めることもある。もっとも厳しいのは列車の時刻である。しかしバスの時間は定刻でないことが多い。飛行機には乗る前の時間が長い。しかし出発時間はそれほど正確ではない。最近乗客の時間への緊張感が緩んでいるようである。
 東京から最終便の飛行機を乗ることが多いが、それには一人二人が遅れてやってくるが乗務員は「お客様」(お金)を叱ることなく迎える。そして大勢座っている前に遅刻客が登場する。皆の視線を脚光を浴びる舞台のように堂々としている人もいれば、恥ずかしそうに恐縮している相反する客もいる。その相違は人格や品格をテストする現場でもある。遅刻騒動は国家の品格より個人の人格を見る契機でもあった。