崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

スウェーデンからの悲報

2010年03月01日 05時09分33秒 | エッセイ
 韓国からの悲報を聞いてすぐに電話をしたら葬式の最中だった。午後帰宅したとたん電話の音に出たらスウェデンの友人の奥さんからである。今までに奥さんからの電話は受けたことがないので、本人の電話ではないことに不吉な予感、病気だろうかと思ったが悲報であった。親しい友人の崔炳殷氏が死亡という。ついこの間、2か月ほど暖かい国タイにいるから遊びに来るように誘われていたのに死亡したと言う。彼の最近作の韓国語版の「白い鹿」には私が解説を書いた。彼は1960年代にスウェーデンウップサラ大学へ海洋学を勉強するために留学してそのままスウェデン人になった人である。彼は小説作家であり、画家でもある。彼の絵は私の応接間に飾っている(写真)。彼の住む海岸のマンションに我が夫婦が訪ねたのは5年前、そして彼が我が家に訪ねてきたのは一昨年である。
 彼は社会福祉の良い国に住んで冬にはタイ、夏にはスットクホルムに滞在しながら余生を楽しんだ。彼が滞在したバンコクの南にはスウェデン人村ができており、そこはスウェデン人医師や看護師なども伴う施設だと言う。しかし寒い国から急に暑いところへの適応が余計に心臓に負担をかけたのではないかと奥さんは言っていた。事情を聴いている途中で慟哭してしまい、その以上聞けず、家内に電話を変わってもらった。心から冥福を祈る。