崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

一人暮らし

2010年03月09日 05時36分43秒 | エッセイ
 家内の義理の妹が死亡したという悲報があり、家内が急に長野へ出かけた。亡くなった方は典型的な秋田美人であり、幼馴染みの男性と恋をし、結婚して仲良しの夫婦になった。夫が長く単身赴任で外国出張、勤務が多かったが、家庭を守り、きちんと子育てをした女性であった。癌との闘病期間中彼女は死後処理まで準備していたという。今日行う葬儀などにかかわる一切をも準備してあるのでその通りに行えるという。死後の夫へ配慮などを考えていたことは、彼女が立派な死後観を持っていたということを意味する。
 突然家内が出掛けたことによって私は一人暮らしを味わうことになった。通勤からミミの面倒、家事まですべてを依存してきたことが私の負担として津波のように寄せてきた感がする。毎晩一緒に楽しむ連続ドラマ鑑賞も面白くなくなった。犬のミミが家内の帰宅のみ待っている様子がさびしく感じる。私が出かけたことは多くても、一人で留守番は久しぶりである。しかし「一人暮らし」が体験できるチャンスともいえる。寂しいとか、孤独だとかというより、恐怖さえ感ずるのはなぜであろうか。私は当然家内より先に死ぬことを鉄則と信じているが、順番が逆になったらどうしようかというところからくる一人暮らしへの恐さかも知れない。日本では多くの人が一人暮らしをしている。「一人暮らしの人は偉大な強き人」のように感じている。