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翻訳詩の試み(21)

■旧暦3月14日、日曜日、

(写真)立ち飲み

疲労で、午後まで眠。いつもの喫茶店でアファナシエフを訳す。


エミール・ギレリスの思い出

あなたが亡くなってから
何度もコンサートで演奏してきた
それはみなあなたの思い出に捧げたものだ

あなたについては何も書かなかった
短い文章のほかには
事実だけを述べた簡潔な文章のほかには

それなのにピアニストや映画監督については
ずいぶん書いた

愛するひとについて書くなら
距離を置かないと難しい
あなたのアパートで多くの時間をともにすごし
モスクワの並木道を散策した

ただ賞賛や尊敬を受けているひとなら
書くのは簡単だ
あなたについて書くのは難しいとわかった

音楽について書くのはやさしい
あなたがいるから



IN MEMORY OF EMIL GILELS

I’ve played a lot of concerts
since your death. All of them
are dedicated to your memory.

I’ve written nothing about you
except a short article-
a clear, factual account.

And yet I’ve written so many pages
about pianists and film-directors.

It’s easy to write about those
one loves from a distance,
and we spent so many hours,
in your apartment,
and strolling along
the boulevards of Moscow.

It’s easy to write about those
one just admires and respects.
I’ve found it hard to write about you.

It’s easy to write about music
in your presence.


■これで、残りは、コンサートリーフレットのみとなった。あとは、訳文に推敲を重ねていく。先行の訳があると、非常に参考になる。この作品には前回、前々回と同様に、先行訳があった。かなり助かる。当然、先行訳を超えることが課題になる。

この詩からは、ギレリスに学んだアファナシエフの感謝の念と愛情が伝わってきた。最後に「in your presence」と表現しているところに、それはよく出ているように感じた。
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