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芭蕉の俳句(157)

■旧暦9月26日、月曜日、

(写真)廃庭の秋の夕日

今日は、早く目が覚めた。馬込という初めての場所に用があって行く予定。




塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店
   (薦獅子集)

■元禄5年作。当時は、下五の「魚の店」が評判になったようだ。其角は、普通なら「老の果」や「年のくれ」といった観念的な言葉を置くだろうと言い、支考は、初心者なら、「梅の花」や「木具の香」などを置くだろうと述べている。芭蕉が「魚の店」という日常的で平明な言葉で結んだところに「深遠玄遠」の趣があると二人は考えたようだ。日常性の中に、生活的に、具象的に、句が把握されているところに、芭蕉の「軽み」があるという解説もある。

ただ、現代の目から見て、下五の「魚の店」は、塩鯛の場所を説明する語になっていて季語を活かしきれていない気もする。意味的には、一つの素材を詠んでいるので、一物仕立てであろうが、其角と支考は、凡庸な俳諧師なら、取り合わせで詠むはずだということだろう。

この句の塩鯛の荒涼とした感じと寒さの浸透には惹かれるが、上記の部分が少し気になった。
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