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「脱・原発依存」に対する批判はあって当然

2011年07月16日 12時44分34秒 | 政治って?
反対する人々にとっては、誰が言おうが、どう言おうが無関係である。どんな反論だって、批判だって可能だから。菅総理が言わなくても、結局は同じということである。どんな形であれ、批判に晒されるに決まっているのである。その言い分には一理あるものであり、いちいちごもっともと言うしかないのだ。政策決定とは、完全を目指すのではなく、「マシな方」を選択するという作業なのだから、どこかに不備や不利な点があることは当たり前なのである。

菅総理のマヌケなところは、「余命僅か」という状態なのだから、今後の失敗や批判などは気にしたってしょうがないのに、翌日には前言撤回みたいな安易な方向に走ることである。自らの政治生命を賭して臨むくらいの覚悟を見せろ、とは思う。確実に訪れる死を目前に控えて、人間はどいったことを語り、どういった行動なりをするのか、というのと近いのではないかな。この期に及んで何を恐れるというのか。菅総理には、そうした覚悟はなかったのだな、ということは分かった。


小泉元総理を思い出せば、「郵政民営化」と再三再四語っていたではないか。スケジュールなんて示せなくとも、施政方針演説とか所信表明演説なんかで、繰り返し繰り返し語っていたでしょうが。
それに対する批判は当然あったし、閣内からも自民党内からも異論は噴出していたじゃないですか。だけど、目標を掲げ、政治日程に乗せてくることができ、具体的なプロセスやスケジュールを作っていったのは、後のことだったんですよ。

結果として、成功すれば認められるし、どんなに素晴らしい考えやプランや政策であっても、それが達成できなければ批判した側が正当であるかのような感じになるというだけ。そもそも、リーダーは理念を語れとか何とか言っておきながら、一方では総理個人の理念や考えだけではダメだ、みたいなことを言うのって、どっちにしたって批判される、ということなのさ(笑)。だから、批判されることをいちいち考えても仕方ないのだ。オバマ大統領の「核なき世界」がどんなに理想論に過ぎないと言っても、そういう理想を語れる人間こそが世界のリーダーたる資格を持つという受け止め方をされるんじゃないですかね。そこに「どんな具体的なプロセスや手段があるんだ」とか言ってみたって、しょうがないんですわ。現実の政治世界では、理念が必ずしもすぐさま実現できる、ということにはならない、ということです。

けれど、目標を掲げて、語らなければ何も始まらない、ということなのですよ。郵政民営化は総理が語ってから5年かかってるわけで。批判は数々あったではありませんか。要するに、そういうようなもんです。


日本は、原子力発電に頼らない社会を目指す、これは目標として明確に掲げるべきである。日本は、エネルギー効率の高い、コンパクトな社会を実現し、省エネ分野で世界を牽引し続ける存在であるべきである。脱原発を先に決断したドイツやイタリアと共に、高い技術力でエネルギー消費抑制と効率化を果たし、世界や地球環境貢献の先頭に立つ国家を目指すべきである。

具体的なプロセスや政策については、今後国会での議論も含め、経済界も巻き込んで取り組む課題ということになろう。

原子力発電に関して、いくつかの論点について整理してみる。

①原子力発電所の経済効果
補助金等の恩恵は消えるだろう。その分は別な再生可能エネルギー分野に投入可能となる。日本全体での経済効果は、原発に比べて必ずしも劣るということにはならない。むしろ新規産業や雇用に貢献できる可能性の方が高いだろう。
現在ある原発は、いきなり消えてなくなるものではない。最終的に解体され処分されるまでには、長い年月を要するというのが一般的に言われていることであろう。いや、どのくらい長いのかさえ、実際にはよく分かっていない面がある。なので、ダム工事に40年とかいうレベルに似ていて、細々とかもしれないが、処分作業などで公共事業的な支出が続いてゆく可能性は高いだろう。その雇用は維持される。

②福島第一原発の処分に関連して
福島原発の作業員は、今後も大量に必要な状態が続くはずだ。全国の原発関連の人員をそちらの応援に回す必要が出てくるであろう。この作業に優先的に人員を充てるべき、ということである。それに、全国の原発施設の維持管理にしても、ある程度の人員が必要になるので、すぐに消えてなくなるというものでもない。

③再稼働に関して
現状では、難しいかもしれない。が、いきなり全部をシャットダウンだと厳しい面はあるだろう。電力確保の方法を決めておく必要がある。施設の新しい順に「運転可能な状態」を維持することとし、予備として確保しておく、など。古いものは原則廃炉としてゆくこととし、その手順や処分方法等について早急に決める必要があるだろう。

④温暖化問題との関係
CO2削減ということで、原発を推奨という部分はあった。これは部分的には代替可能であろう(風力、太陽光などがあるから)。あとは、火力のエネルギー効率を高めるとか、蓄電技術の向上とか、複合的な技術で対応することになるだろう。原発は確かに温暖化ガスを放出しないのかもしれないが、エネルギー保存則から考えれば、それだけ大きな発熱量があるのだから、例えば海水温上昇などで海流異常や気候・気温異常に繋がっているかもしれないし、発生蒸気が温暖化効果を生むかもしれない。なので、必ずしも原発が最も優れるということではない可能性も考えておくべきではないか。

⑤原子力技術は完全消滅するわけではない
今後も研究や技術開発などは可能であるし、海外に原発プラントを輸出することも可能ではある。日本には、設置しておくことが適切とは言えない、ということであって、国ごとに状況や国民の許容度は異なる。日本がそれと同じくしておかなければならない、というものではない。更なる技術向上で安全に処理できる技術が生まれれば、処分地や方法などが改善できるかもしれない。また、核テロなどに対する防護対策は必要になるので、そういう点でも原子力技術や知識の維持、研究等は継続してゆくことになるだろう。



今のような事態を招いたのは、政治、行政や電力会社がウソや欺きを継続してきたからであって、信頼を失わせた張本人は東電や経産省や保安院や原子力安全委員会だ。
潜在的核兵器保有国という願望だったのか分からないが、核に屈した敗戦国日本としては、核技術保有というのが悲願であったのかもしれない。原発導入当初の目論見というものがどうなのかは不明であるが、単なるエネルギー政策を目指していたものかは疑わしい。これまで原発関連に投下されたコストの回収時期に入っているのに、これを止めるとなれば、そりゃあ損することになるでしょう。けれど、動かして、更なる被害拡大となってしまっては元も子もないわけで。

現時点では、電力会社も経産省も信用されなくなっている、ということが、原発再稼働の最大の障壁なのだということを、まず自覚するべきである。過去の自民党政権がそういうのを助長してきたのであり、未だに石破議員のような発言が繰り返されるということが、反省なき「原発推進派」ということがよく分かろうというものである。