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NYTは中国の債権を怖れる腰抜け

2009年11月16日 15時46分59秒 | 外交問題
米国が債務者らしく振舞わねばならないって、そりゃオカシイんじゃないの?

オバマ大統領に、中国訪問では「債務者らしく振る舞う」責任―米紙(Record China) - Yahooニュース

この記事には、こんなことが書かれている。

『2009年11月15日、米紙ニューヨーク・タイムズは「米国の債権国である中国がオバマの動きを変えた」と題した記事で、15日から訪中するオバマ大統領は中国で債務者らしく振舞う責任を負っていると報じた。環球網が伝えた。
記事は、中国が米国の最大の債権国であることは「赤裸々な事実」とし、このことが米国と世界で唯一覇権の座を狙うことができる国、中国との関係を変えたと指摘した。記事によれば、かつて、ブッシュ前大統領は中国を為替操作国に認定すると威嚇し、クリントン元大統領は中国に人権問題を改善するよう威嚇したが、今は当時と状況が大きく異なる。』


NYTの元記事を見たわけではないから、本当にそういう記事が書かれていたかは知らない。けど、NYTって、日本にだけはやたら強気なくせに、どういうわけだか中国には卑屈なまでに低姿勢なんだね。笑える。

はっきり申しましょう。そんなことに怯える必要性はないです。

中国がドルを買わない(或いは米国債を買わない)とどうなるというのか?
別にいいんですよ、それでも。

中国は、人民元のレートを低く維持しておくには、ドルを買うよりないのだ。買うのを止めると、どんどん元高が進むというだけ。中国や日本の持つ外貨準備のドルは、下落してゆくので損しますわな、そりゃあ。でもしょうがないんですよ。日本の外貨準備高の増加率なんて、全然大したことないからいいんですよ。為替損は起こるがしょうがないよね、という程度だわ。

しかし、人民元はドルを買う為に、ドルの供給額が膨張すればするほど、もっと大量に人民元を供給し続ける必要性が出てくるわけなんですよ。だって、1ドルがざっと6.8元だとして、このレートを維持しようとすればするほど、ドル買いを増やさねばならないんだから。輸出企業が多額の輸出をしてしまい、過去の何倍もの輸出額となっていて貿易黒字は数倍~数十倍とかになってきたのであれば、その受取代金のドルで人民元を買うことになってしまうからね。この元高を抑制しようと思えば、その増えた分に応じたドル買いを継続しなければならない、ってことさ。だから、成長率も高いけど、物価上昇率が異常に高いということになっているのだし、人民元の供給は言ってみれば「ジャブジャブ」に供給(日銀派っぽい人たちの表現を借りれば、ってことかな)されている、ということだわな。

これは、成長率の差を埋めるだけの膨大な人民元供給を必要とするであろう、多分。だって、日本の成長率と中国の成長率の違いを考えれば、どう見ても人民元が大幅高になっていなくちゃならないはずだもん。それを「上がらないほどに」供給するということになれば、かなりのジャブジャブ度になっていなくちゃならないんじゃないかな、と。実質GDPが300%アップと、10%アップでは、どう考えたって、前者の通貨が高騰していても不思議じゃないでしょ。日本円を思い出せば、300円から100円とか、最低でも150円とかくらいになってないと。なので、1元=26~7円程度になっているなら、「まあ普通かな」と。けど、何故か1元=13円超なんだよ(笑)。それは、要するに異常なまでにジャブジャブにしておかないと無理でしょ。これこそが、まさに(中国経済は)バブルと呼ばれる所以だわな。

そういうわけで、米ドルを買う為に人民元供給を続け、ドル買いを行って外貨準備がどんどん積み上がれば積み上がるほどに、人民元が通貨高となってしまった時には大損失を被ることになるのは、中国自身になるからね。債権国となったと言ったって、売るわけにも行かないドルを大量に抱えるだけになってしまうなら、まあ「体のいい乳母」の乳供給、みたいなもんだわな。

解決方法としては、人民元の自由市場での為替取引自由化しかないでしょうね、多分。これをやると、ドルの外貨準備高が矢鱈と大きくなることはなくなるかも。しかし、元高&相対的ドル安を受け入れるということになるから、中国の貿易黒字とか輸出面での競争優位は崩れ去る可能性が出てくるだろう。他のアジア諸国や途上国なんかにもチャンスが広がる、ということになるだろう。


中国側の言い分(*)もおかしいよね。「為替変動を一国だけに押し付ける」だの「不均衡は中国のせいじゃない」だのと言ってるみたいですが、そんなことを言える立場かと思いますけど。日本の時と全然違うでしょ。日本は変動為替を受け入れて何十年か経っていたにも関わらず、「協調介入」と称する政治的横槍―つまりは欧米諸国による人為的為替操作だな―を入れられたんでしょうが。

(*:ウチの人民元のブログ記事にでも触発されたか?(笑)何故か、本日くらいのニュースには中国の為替に関する記事が割りと出てるみたいなんだよね。)

しかし、中国は変動相場制じゃないから。いや、変動させているよ、雀の涙程度には、とか言うかもしれないが、それは自由な取引の為替じゃないから。人民政府が”意図的に行っている”政府管理市場における、実質的ドルペッグ制なんだもの。通貨バスケットの変動幅が小さいのはバスケットだから(笑)だ、とか言うかもしれないが、中国のは、「市場」なんてものではないの。官製談合のド真ん中、みたいなもんですわ。政府が自分自身で好きな値段を決めているようなもの。プライステイカーじゃないのよ。これを普通は、「為替操作」と呼ぶのだろ(笑)。じゃなけりゃ、ドルペッグ制です、と公言すればいいじゃないの。


それにしても、米国側(特定米国人?)の言い分というか、やり方というのは、非常に面白いね。
かつて、日本がずーっと長期間に渡って「米国の最大の債権国」であり続けたのに、米国側は常に何を言ってきたかといえば日本に対する文句、これだけだった。これまでに、「尊大な戦勝国」以外の態度など取ってこなかったでしょ(笑)。到底、「日本には多大な借金をしております、米国債を宜しくお願いします」なんていう態度だったことなど、一度たりともなかったじゃないの。むしろ、「誰のお陰で商売させてもらえていると思っているんだ」というようなことはあったんじゃないですかね。
最近でさえ、「中国よりも厄介なのは日本」などと言う始末だしね。これじゃ、どんなにオバマ大統領が気遣いをしてくれたって、意味がなくなるよね。お辞儀の腰が低すぎる、とか、どうでもいいようなことまで米国のメディアなんかで言われちゃうくらいだし。


NYTは中国に腰を低くしろ、とか大統領に求める前に、逆に「人民元は変動相場制にすべし、自由資本主義の取引に参加する以上、市場の取引ルールに従うべき」ということを強く主張するべきだろう。そうすることこそが、最も安全に米ドルや米国債を守れる唯一の方法なのだということを知るべきだろうね。

ああ、あと、NYT的には日本は「第2位の債権国」になるそうなので、そこら辺ヨロシク(笑)。きっと債務国らしく振舞えと諭してくれることでしょう。できないなら、最初からそういうことを言わなけりゃいいのにね。




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