ドラフト会議が終わったことでトレードネタが紙面を賑わすであろうことは予想をしていましたが、まさか先陣を切るのがロッテの、しかも清水とは思ってもいませんでした。
しかも昨年の久保を思わせる金銭トレードと、いかにもロッテならありそうなシチュエーションです。
横浜、ロッテ開幕右腕エース清水を獲得へ (10/31 日刊スポーツ)
横浜がロッテのエース清水直行投手(33)を金銭トレードで獲得する方針を固めたことが30日分かった。
横浜は今オフ、投手を中心にした大補強を明言しており、目玉として清水獲得に全力を注ぐことになった。
清水は昨年国内FA権を取得したが行使せず、2年契約を結んでチームに残留した。
今後は清水がFA権を行使しなければ本格交渉に入り、「横浜清水」が誕生する。
横浜が2年越しの恋人、清水の獲得へ向け「ウルトラC」を用意していた。
日本シリーズ後に巨人尾花高夫投手総合コーチ(52)に監督就任を正式要請し、新チームへ生まれ変わる横浜にとって2年連続最下位脱出へ向けた戦力補強は必要不可欠だ。
そこで浮上したのが清水トレード案だった。
本気でAクラス入りする布陣を整えるため、交換トレードではなく金銭での移籍が有力視されている。
清水については、昨年同投手が国内FA権を取得した際も獲得へ向けた調査を行っていた。
その時は清水が直前まで悩んだ末に権利を行使せず、ロッテに残留して2年契約を結んだ。
そのため清水が今オフにFA権を行使しないことを明言すれば、球団間でのトレードに支障はない。
横浜関係者は現時点では「ウチにとって最大の補強ポイントは投手。清水選手は素晴らしい投手だが、正式に行使しないことを表明するまでこちらは何とも言えない」と話すにとどめた。
だが、若林オーナーがオフの大補強を明言している。
2年連続最下位の最大の要因となった投手陣のてこ入れに全力を尽くす構えだ。
エース三浦がいるものの先発ローテーションは外国人投手に頼るところが大きく、先発の強化は課題として残っている。
三浦との2本柱が構築できれば、低迷脱出の基盤になる。
ロッテのエース獲得で、チームの躍進に結びつけたいところだ。
清水は6度の2ケタ勝利をマークするなどエースの座を守ってきた。
今年まで3年間、選手会長を務めるなどリーダーシップも発揮。
横浜はローテーションを守れる経験と技術だけでなく、人間性も高く評価している。
FA戦線では同じくロッテの橋本の獲得に動く見込みで、当初関心を持っていた日本ハム藤井については清水獲得が実現すれば撤退する方向。
「横浜清水」が誕生する日も近そうだ。
とは言え、よくよく読んでみると眉唾に過ぎる記事としか言いようがありません。
内容は横浜の都合を一方的に書いているだけで、しかも「ウルトラCを用意」と書きながらも獲得に向けての秘策が披露をされているわけでもなく、淡々と尾花体制に向けて投手陣の整備が必要であることを繰り返しているだけです。
その割には「横浜清水」の誕生は確実なような書きっぷりで、何とも言いようがありません。
実際問題として、横浜にそれだけの性根があるとも思えません。
仮に金銭トレードが成立をしたとしても、球界の通例として年俸はそのまま引き継ぐことになるわけですから、三浦を上回る2億8000万もの年俸負担に耐えられるほど横浜の経営基盤は盤石ではなく、球団経営に対する熱意が薄いことも周知の事実です。
またロッテとしても昨年の久保のトレードでファンから散々な批判を浴びた苦い経験をしたところへ、いくら年俸に見合わない成績しか残していない清水と言えども、明らかに赤字削減の一環としか思えない金銭トレードでの放出のリスクをとることは普通に考えればありえません。
しかも選手会長であり、これまでチームを支えてきたエースを放出することの影響は久保の比ではなく、順調な船出をした西村ロッテの足を引っぱることにもなります。
ただデイリーやサンスポの阪神ネタとは違って、日刊スポーツはこの手の飛ばし記事はやらないイメージが強いため、火のない所に煙は立たないとの見方もできます。
とにかく赤字削減が必須である球団からすれば、3億近くの出費をカットできることは魅力的に過ぎるでしょう。
金銭トレードというやり方も、小坂のときと同様に「選手との交換では清水に失礼」という言い訳ができます。
また頭数だけは先発投手が揃っていることも、禁断の果実に手を出す理由になりえます。
「清水投手がメジャーに挑戦をするのであればまだしも、トレードなどはありえない」と瀬戸山球団社長や石川球団副代表らがすぐにコメントを出せば沈静化をするでしょうが、沈黙を守った場合にはひょっとしたらひょっとするかもしれません。
久保の放出も普通に考えればありえないものでしたから、馬鹿げた記事と一笑をするにはロッテという球団は常識が通用しなさ過ぎます。
ルールはよく分かりませんが、もし清水のトレードによってチーム内の年俸順位の繰り上げが認められるのであれば橋本将はBランクとなって人的補償が可能となり、裏で取り決めた選手をプロテクトから外すことで橋本将の横浜へのFA移籍で清水の放出分をカバーするという高等戦術もありえます。
もし繰り上げがダメでも橋本将の移籍の意思が固ければ本人の了解の元に横浜にトレードをして、那須野か高宮、あるいは石井あたりに新沼を獲るというやり方もあります。
結果的に清水+橋本将←→那須野(高宮、石井)+新沼+金銭であれば、清水の大名契約にうんざりとしているロッテファンは意外に受け入れてしまうかもしれません。
ドラフトの結果を受けてトレードで左腕を補強をするとのコメントを残していた石川球団副代表がどんな画策をするのか、今後に注目が集まります。
いろいろと書きましたが、目先はさておき、長期的に考えれば清水をトレードで放出をすることに賛成はできません。
浪花節的な発想となりますが、チームに対する功労者を金銭トレードといった形で放出をすることはしてはならないと考えます。
チーム内に動揺が走ることは間違いありませんし、求心力も低下をするでしょう。
清水に対する不満はいろいろとありますが、せっかく走り込むことへの意義にようやく気がついたようですし、来季への期待もあります。
福浦の言っていた「このメンバーでまた優勝をしたい」との思いはファンも同様であること、このことを球団には強く認識をしてもらいたいですし、軽挙に走らないことを願っています。