打率はリーグ最低、しかし本塁打はリーグ2位、一方で盗塁はリーグ最下位と、攻撃面では粗さが目立った1年でした。
あの繋ぐ打線はどこへ行ったのか、まるで夢物語のようです。
打順を固定しなかったと言うべきか、はたまた固定できなかったと言うべきか、前監督のスタイルを考えれば前者なのでしょうが、相変わらずの残塁の山は役割を認識できていない選手たちの個人プレーによるものと言ってよいでしょう。
その最たるものが耳にタコ状態のバント軽視で、走者を進めるバッティングが出来なかったのと合わせて、数少ないヒットでは得点に繋がるわけもありません。
盗塁の数だけではなく次の塁を積極的に狙う姿勢も忘れられてしまい、鈍行列車に目を覆いたくもなりました。
日本一となった2005年は抜け目のない野球をしていたはずで、再建のためには何がチームをこう変えてしまったかの分析をすることから始める必要がありそうです。
序盤のトピックスはメジャー帰りの井口の大活躍であり、劇的なヒットに狂喜乱舞をしました。
チャンスに強いバッティングはチームをぐいぐいと引っぱり、黒船によるチーム改革に期待をしたものでした。
しかし心配をしていた35歳という年齢からくるスタミナ切れが勢いにストップをかけてしまい、故障もあって終わってみれば.280に15本という開幕前の予想とさして変わらない成績となってしまったことは残念の一言に尽きます。
言動不一致のちんたら走りは中盤以降は改善をされましたし、点差の離れた試合では交代をするなどの適度な休養さえ取れば来季も主軸として活躍をしてくれるでしょうから、全試合全イニング出場へのこだわりは立派ですが、自分とチームの現状を冷静に見つめることも大切です。
その井口に4番の座を奪われるスタートとなった大松ですが、序盤の絶不調を交流戦で盛り返して、その後の度重なる不調も左方向へのバッティングを意識することで復調をするという経験を積んだことは非常に大きく、来季はシーズンを通して4番を任せたいですし、務めてもらわなければ困ります。
何だかんだ言っても昨年とさほど変わらない結果を残しており、来季は30本塁打の覚醒に期待をしたいところです。
15年目にして覚醒の兆しを見せたのがサブローで、.314の22本塁打とキャリアハイのシーズンとなりました。
軽く合わせただけでライトスタンドに放り込むバッティングはどんな長距離砲よ、と言いたくなるほどで、何がサブローに起きたのかが気になるところです。
ただ緩慢な守備や走塁などサブローの良さも消えかけたシーズンでもあり、この変化を喜ぶべきかどうかに戸惑っている自分がいます。
開幕前に200本安打と首位打者獲得をぶち上げた西岡は、虚弱体質を爆発させて成績を一気に落としてしまいました。
首が痛い、足首が痛いなど故障が多すぎで、強い体幹を作り上げなければ才能を開花させることなく一流止まりで終わってしまいかねません。
横断幕騒動では男気を見せましたし、来季はキャプテンに任命をされて自らが手本にならなければとの意識から一皮むけることに期待をします。
昨年の骨折の影響から抜けきれなかった今江も、積極性と軽率をはき違えた初球打ちで失望を買うなど、背番号8が泣くような結果となってしまいました。
今江の救いは手抜きのプレーがないことで、いい指導者に巡り会いさえすれば大きく成長することは可能であり、金森コーチの手腕に託す、今はそんな気持ちになっています。
また西岡や今江とともにしっかりと内野の要となって欲しかった根元は井口の加入で出番を失い、2軍でもイップスになりかねない送球ミスを数多くやらかすなど、まさに2年目のジンクスにはまったかのようなシーズンでした。
ライバルが多い中で勝ち抜くためには来季が正念場で、しかし焦らずにポスト井口を狙ってもらいたいものです。
ベテランでは昨年に引退勧告をした堀が、それをあざ笑うかのような渋いプレーを披露してくれました。
成績としてはさほどのものでもありませんが、かなり印象に残るヒットが多く、最後のオリオンズ戦士として臨む2010年もベテランの意地を見せてもらいたいです。
理想は2005年の初芝で、代打の神様として君臨をする姿を夢想することにします。
その堀に中盤までは助けられた福浦は、中盤以降は福浦らしい力強いバッティングが戻りつつあり、復活への足がかりを築いた1年であったと思います。
その守備はチームを救いますし、やはり福浦には3番が似合います。
おそらくは球団は一塁を守る外国人選手を補強するものと思われ、まだまだ厳しい現状に変わりはありませんが、それでもピンクマリーンズが消えるには早すぎます。
一方でもうベテランと言ってもいい年齢にさしかかってきた里崎は、王様スイングで名を馳せました。
三振をしてもふてぶてしい姿は里崎らしいのですが、それにしても場をわきまえない「顔はレフトスタンド」が目立ちすぎで、脊髄反応以外では気の抜けたようなプレーも散見をされましたから、どこかやる気の無さがあったのかもしれません。
もちろんそんなことは不調の理由にはなりませんし、キャプテンを剥奪された意地を見せてもらわなければならなかったはずなのですが、空回りにすら至りませんでした。
来季はチーム事情から田中雅や金澤らの挑戦を受ける形になると思われますので、今度はしっかりとしたプレーで王様ぶりを見せつけてもらいたいものです。
外国人選手ではランビンとバーナムJr.は年俸からすれば充分な活躍をしてくれましたが、やはり力不足は否めませんでした。
ベニーも助っ人としてはパンチ力が不足をしており、3人揃っての戦力外は致し方ありません。
橋本将は春先の怪我からの出遅れを取り戻すことができず、捕手としてもキャッチングの粗さと肩の弱さを露呈したシーズンとなってしまい、ロッテでレギュラーを取ることが難しくなってきたことからFA移籍を考えなければならないところまできてしまいました。
早川もタイプをわきまえない強引なバッティングが目立ち、ミスで1軍から追放をされてしまった大塚とともに来季は最後の勝負となります。
2人とも守れる外野手としてチームにはまだまだ必要な戦力ですので、もう一踏ん張りに期待をします。
若手では早坂がようやく外野への転向を決意したことで出番が急増し、一気に来季のレギュラーを狙えるところまできました。
打率は低いですし牽制死も目立つなどまだまだのところは多いですが、積極的なプレーはチームに活力を与えてくれます。
来季は2番で西岡と盗塁王を狙えるぐらいの活躍を期待したいですし、決して無理だとは思っていません。
中堅どころでは塀内が覚醒なのか確変なのかは秋季キャンプ次第ですが、その素質の一端を見せつけてくれました。
高めのストレートと落ちるボールにからっきしな点は変わらないのですが、やはり魅力的な素材であることは間違いありません。
逆に竹原は井口に弟子入りをして序盤は結果が出たものの、結局はものにならなかった1年でした。
意外にも四球を選ぶ選球眼はありながらも、振り回すスイングに合わなかったことが今年の結果であり、このままのスタイルを貫き通すかの選択を突きつけられたとも言えます。
サブローの動向次第ではチャンスはあるでしょうし、巻き返しに期待をしたいところです。
その他でも田中雅、南、角中、神戸、ムニス、細谷、定岡、岡田、宮本、青野など、試したい野手はいくらでもいます。
ほとんど1軍ではチャンスを与えられなかったことで鬱憤もたまっているでしょうし、彼らが躍動をしてこその西村ロッテであり、下からの底上げ無くしてチームの上昇はありえません。
この中から1人でも2人でもいいので1軍に定着をする選手が出てくれば、前監督の入れ替えの少なさで安穏としていた選手たちの尻にも火がつきます。
競い合いがないところに成長はありませんので、来季は全員が1軍を経験するぐらいの争いになることを期待します。