昨年のドラフトで坪井を4巡目で獲得をしたのと同様に、今年もマスコミやファンの予想とはかけ離れたプロ球団の評価に驚かされました。
上位指名を噂されていた秋山(西条)、真下(東海大望洋)、清田(NTT東日本)らが下位に沈む一方で、山本(三菱重工神戸)、加賀(住友金属鹿島)、大塚(創価大)、美沢(第一工大)、大谷(トヨタ自動車)、比嘉(日立製作所)らが上位24人に入ってくるなど、なかなか見所があったドラフト会議であったと思います。
そんな中で一番の驚きはロッテのドラフト1巡目として入札をされた荻野(トヨタ自動車)で、まさに青天の霹靂との表現がピッタリでしょう。
荻野は大学時代は内野手でしたが、社会人に進んでから外野手に転向をして花開いた選手です。
俊足、強肩でロッテに求められる資質を兼ね備えていますので、小柄であるためにプロではパンチ力を求めるのは酷としても、核弾頭としての期待は充分にできます。
ただそれでも入札をするほどに評価が高かったのか、菊池を外した後でも充分に獲得が出来たのではないかとの思いはあるのですが、オリックスあたりが狙っているとの噂もあったために確実に抑えたかったとの意向が働いたのかもしれず、それはそれでよいとは思います。
ただそれであれば菊池への指名公表をする必要はなかったはずで、数年前のように隠密ドラフトを徹底すれば済んだ話でもあり、今回の件でアマチュア球界に「ロッテの指名公表はあてにならない」という印象で受け止められてしまったでしょうから、今後に与える影響が心配ではあります。
かと思えば一方では川井、戸部、長崎のように事前の情報どおりに律儀に2巡目で大谷を指名したのにはガッカリ感は否めず、しかしここはスカウトの眼力を信じることにします。
あれだけ左腕を連呼していたのは何だったのかとも思いますが、先日も書いたとおり服部や木村、坪井や植松らを育てることを優先したと考えれば、悪い選択ではありません。
どうにも大谷には来年のドラフトを見据えた早大閥がらみの指名ではないかとの疑念は拭えませんが、今はとにかく戸部にはならないで欲しいと願うばかりです。
大嶺も3巡目で獲るほどのチーム事情なのかとの疑問はありますが、話題性と素材を買っての指名なのでしょう。
個人的には2巡目に堂林(中京大中京)か鬼屋敷(近大高専)を獲って大谷以下を繰り下げても充分にいけたと思いますし、それで仮に大嶺を失っても仕方がないとの割り切りも出来る心づもりだったのですが、なかなか思うようにはいかないものです。
挙げ句の果てには「兄とは違う球団で対戦をしたかった」と言われてしまう始末で、ちょっと寂しい感じがあります。
どうやら球団は西岡の後継者として育てるようなコメントを残しているようですが、年齢差は7つですから西岡のメジャー流出を視野に入れているのかもしれません。
身体能力は抜群のようですから、どちらかと言えば角とともにポスト井口を狙ってくれた方が夢があるような気がします。
4巡目で清田を獲れたことを喜ぶべきかどうか、実は微妙な感じがしています。
大松を5巡目で獲れたときには大喜びをしたものでしたが、今回はそんな感慨はありません。
右の外野手が補強ポイントであることは間違いないものの、荻野と同級生であることを考えれば右である必要があったのかと、それであれば左の荒波(トヨタ自動車)という選択肢もあったようにも思いますし、左腕と言う意味での阿南(日本通運)もありだったはずです。
それでも清田を指名したことは地元出身ということもあるでしょうが、荻野とは違うパンチ力を期待してのことでしょうから、竹原のよきライバルになってくれることを願っています。
山室が育成枠での獲得となったのは意外でもあり、納得感もあったりします。
高校時代から名を馳せた山室ですが、大学では腰痛に悩まされて4年になってようやくリーグ戦初勝利を挙げたという状況ですから、まさに育成が必要なタイプです。
ただ本人が育成枠であってもプロ野球で勝負をするとの考えを持っているかどうか、育成枠で初の入団拒否という羽目になるのではないかと、そんな心配もあります。
開幕前にでも支配下選手登録をされてもおかしくはない、しかし逆に1~2年でユニフォームを脱ぐことになるリスクもある、それが現時点での山室の評価でしょう。
ドラフトで4人、育成枠で1人の指名は微妙な感じがしますが、とりあえず育成枠がゼロでなかったことで球団の方針転換により角らがパニックに陥ることがなかっただけでも、今回のドラフトは及第点かもしれません。
ただ捕手の指名がなかったのは首を傾げざるをえませんし、社会人が3人ということで契約金の予算がオーバーとなっての指名打ち切り、そんな感じがします。
何はともあれ投手偏重のドラフトからバランス重視に舵を切ったことが最大の収穫で、やるじゃん石川球団副代表、と今のところは誉めておくことにします。
ようやく小林宏が小林、田中雅が田中、もしかしたら橋本健が橋本になる来季だったところへ、新たに荻野忠&荻野貴、大嶺兄&大嶺弟が登場をしたことには違和感が残りますが、活躍をすればすぐに板についてくることでしょう。
いろいろと書きましたが5人には西村ロッテを支える重要な選手になって欲しいですし、期待もしていますので、笑顔で入団発表に全員が顔を揃えてくれることを願っています。
1巡目 荻野貴司 外野手 右 24歳 トヨタ自動車 172cm・76kg 予想背番号4
2巡目 大谷智久 投手 右 24歳 トヨタ自動車 176cm・83kg 予想背番号16
3巡目 大嶺翔太 内野手 右 18歳 八重山商工 180cm・76kg 予想背番号00
4巡目 清田育宏 外野手 右 23歳 NTT東日本 180cm・85kg 予想背番号50
育成枠1巡目 山室公志郎 投手 右 22歳 青学大 183cm・82kg 予想背番号121