開幕前にバレンタイン監督の2009年限りでの退任を発表したことで、こういったシーズンとなることは予想ができていました。
最後を飾るために頑張る、などという美辞麗句が現実にはありえないことを昨年のソフトバンクが証明をしていましたし、ただでさえ近視的な采配を繰り返すバレンタイン監督が目先にしかこだわらなくなるであろう嫌な予感が見事に的中をした、そんな1年だったと言えます。
まさに6年間のツケの集大成、そういう意味では分かりやすいベンチの采配でした。
先発投手は6人どころか今年は7人で回す余裕のローテーションで、しかし100球前後で交代をさせるやり口に変化はありませんでした。
そうなると必然的にしわ寄せがくるのは中継ぎ陣で、YFKの解体を乗り切ったかのように見えた伊藤、川崎、荻野らの失速も、酷使による疲労と無関係ではないでしょう。
先発が序盤に大量失点をしてみたと思えば、競っている試合の終盤に中継ぎや抑えが打ち込まれる、そんな歯車のかみ合わないケースが目立ちました。
打たれたら代える、という後手後手の継投はベンチのポリシーの無さを露呈しており、こうすれば勝てる、このケースで投げるのは誰々、と言った「型」を作れなかったこと、臨機応変と言えば聞こえはいいですが、思いつきで動いているようにしか見えなかったのもまた事実です。
機械的な継投により「ここは自分が何としてでも抑える」という気持ち、気迫を選手から取り上げてしまったこと、まさにここに尽きると思います。
もちろんこれらはベンチだけの問題ではなく、選手がベンチに逆らってまで自分を押し出す気概を持てなかったことも状況を悪化させました。
言ってみればサラリーマン化が進んでしまった、そういうことなのでしょう。
攻撃面ではバント軽視の一か八か野球は今年も健在で、大勝ちをしたかと思えば僅差での敗戦と、気がついてみれば借金で首が回らなくなっていました。
投手と同様に勝つための型を作れなかったことが、連敗はしても連勝ができないことに繋がっています。
見ている方からすれば勝つときは派手で面白いのですが、負けるときは歯ぐきから血が出るぐらいの悔しさを感じる、そんな試合が多かったシーズンでした。
かと思えば4番にバントをさせてみたりと、バレンタイン監督も自分が何をしたいのかが分からなくなって混乱をしていたようにも思えます。
序盤からバントを指示するケースが続いた時期もありましたが、結局は根付かなかったこと、これは選手のバント技術の下手さ加減に呆れたことによるものかもしれませんが、練習もせずに上手くなるわけもありません。
このあたりは2軍を任されていたサカタ監督も同様で、1軍ではきっちりとバントをして走者を進めることが求められる若手が失敗を繰り返したことは、実戦で鍛えていなかった2軍ベンチの責任でもあり、バレンタインイズムがチームを蝕んでいた証左とも言えます。
やり方はさておき、2軍のスタッフを総入れ替えしたことは正しい判断だと思われますし、下からの突き上げのあるチーム作りが来季に向けての課題となります。
そのためには体力作りが最優先、これは衆目の一致するところでしょう。
例によって下半身中心の故障が多かった野手に、終盤になるとボールがうわずる投手と、見るからにスタミナ不足が明らかでした。
たまに全力疾走をしたら故障をする選手がいること自体が笑いもので、他球団からも練習の少なさを指摘されているチームが勝ち抜けるほど、プロ野球界は甘くはありません。
先進的だった立花コーチの練習法がいつしか「楽な練習」という選手の逃げ道になってしまったこと、それを軌道修正できなかったことがこれらの根底にあります。
選手の自主性に任せるというきれい事は単なる放置となってしまい、ミスをしてもヘラヘラと笑う選手にそれを怒らない監督やコーチと、ファンの心が離れていく要素が満載でした。
一部のならず者以外はバレンタイン監督の退任に意外にも冷静だったことが、ロッテというチームの現状を如実に表していたと言ってもよいでしょう。
早く終わって欲しい、シーズンの終了をこれほどに願ったことは自分でも珍しく、新しい野球に渇望をしているファンは私以外にも多いと思います。
そういう意味ではこれらの課題を強く意識をした西村監督の言葉に拍手を送りたいですし、期待もしています。
このままではダメだ、という言葉を選手の口から聞けたことも前進ですし、新しくチームを作り直すことがやりやすい環境に追い詰めたことだけが評価をできる、そんな1年でした。