★ついに「心超臨界」の時来る → http://tinyurl.com/l7v2lbt
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( 心が臨界質量を超えるとは ⇒ http://tinyurl.com/5kr6f )
『養老孟 ガクモンの壁』http://tinyurl.com/lyyv8au
【 養老孟、日本経済新聞社 (2003/8/2)、p166 】
私は、嗅覚というのは、記憶に依存している部分が大きいと考えています。例えば、ニンジンのにおいを知らない人が、目をつぶってニンジンのにおいをかがされても、それがニンジンのにおいだということはわからない。一度経験しないとわからないというところが、視覚などとは大きく違います。
そのとき注意が必要なのは、同じにおいは二度とないということです。ニンジンのにおいといっても、いろいろな物質が混じったもので、その組成は一本ずつ違うし、気温によっても変わるでしょう。それに、空気中には他の分子がいつも混じっています。そういうもやもやしたものの中から、これは「ニンジンのにおいだ」とわかるためには、ニンジンのにおいの特徴を自分で決めてやらなければなりません。
だから視覚のように網膜からの情報を複雑な過程で処理するのではなく、嗅上皮細胞からの情報を記憶と直接照合するようなシステムになっているのではないかと思います。
においという感覚がとらえにくいのは、脳の構造と関係があると私は思っています。嗅球から伸びた神経は、二つに分かれて、一方は大脳の新皮質に入るのですが、もう一方は辺縁系に入る。つまり嗅覚の情報の半分は、いわゆる「古い脳」のほうへ行ってしまい、言語機能をもつ新皮質には届かないんです。視覚の場合は、情報がすべて新皮質に入りますから、目で見たものは言葉で表現しやすいのですが、半分しか届かない嗅覚ではそうはいかない。だから、においの表現は何々のにおいというように勝手に決めてしまう感じになる。
古い脳=進化の過程で、より早い段階で登場したと考えられる部分。
本能のように、生物の生存に最低限必要な部分から作られてきたは
ずだという前提に立っている。
味覚も同じで、情報は半分しか新皮質に入らない。だから料理番組では「おいしい」としか言えないんですよ。意識にのぼってくる部分だけしか表現できないから、そうなっちゃうんです。視覚がわりあい内省的に理解でき、言葉にしやすいのに比べて、嗅覚や味覚が言葉にしにくいのは、そういうところに理由があると思います。
★これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています。
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私は、嗅覚というのは、記憶に依存している部分が大きいと考えています。例えば、ニンジンのにおいを知らない人が、目をつぶってニンジンのにおいをかがされても、それがニンジンのにおいだということはわからない。一度経験しないとわからないというところが、視覚などとは大きく違います。
そのとき注意が必要なのは、同じにおいは二度とないということです。ニンジンのにおいといっても、いろいろな物質が混じったもので、その組成は一本ずつ違うし、気温によっても変わるでしょう。それに、空気中には他の分子がいつも混じっています。そういうもやもやしたものの中から、これは「ニンジンのにおいだ」とわかるためには、ニンジンのにおいの特徴を自分で決めてやらなければなりません。
だから視覚のように網膜からの情報を複雑な過程で処理するのではなく、嗅上皮細胞からの情報を記憶と直接照合するようなシステムになっているのではないかと思います。
においという感覚がとらえにくいのは、脳の構造と関係があると私は思っています。嗅球から伸びた神経は、二つに分かれて、一方は大脳の新皮質に入るのですが、もう一方は辺縁系に入る。つまり嗅覚の情報の半分は、いわゆる「古い脳」のほうへ行ってしまい、言語機能をもつ新皮質には届かないんです。視覚の場合は、情報がすべて新皮質に入りますから、目で見たものは言葉で表現しやすいのですが、半分しか届かない嗅覚ではそうはいかない。だから、においの表現は何々のにおいというように勝手に決めてしまう感じになる。
古い脳=進化の過程で、より早い段階で登場したと考えられる部分。
本能のように、生物の生存に最低限必要な部分から作られてきたは
ずだという前提に立っている。
味覚も同じで、情報は半分しか新皮質に入らない。だから料理番組では「おいしい」としか言えないんですよ。意識にのぼってくる部分だけしか表現できないから、そうなっちゃうんです。視覚がわりあい内省的に理解でき、言葉にしやすいのに比べて、嗅覚や味覚が言葉にしにくいのは、そういうところに理由があると思います。
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