電脳筆写『 心超臨界 』

人の長所はその人の特別な功績ではなく
日頃の習慣によって評価されなければならない
( パスカル )

海の貝さえ嘆きを綴る――坂村真民

2024-09-09 | 09-生物・生命・自然
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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わたしたちは、まず工場の裏側から入り込み、ドロドロの廃液の一大プールに立った。草一本生えていないまったくの死の泥のかたまりのプールなのである。わたしはその前年、岐阜県神岡町の神岡鉱山を訪れたのであるが、そのときとまったくちがった一大戦慄と怒りとを感じた。これこそ無明だと思った。


◆海の貝さえ嘆きを綴(つづ)る

『随筆集 念ずれば花ひらく』
( 坂村真民、サンマーク出版 (2002/3/13)、p103 )

無明とは明るさが無いと書く。まったく今の日本を見渡してみると、どこにも明るさが無い。わたしが、「海の貝さえ」と題して、

山だけが
火を吐くのではない
石も叫ぶ
木も唸る
海の貝さえ
嘆きを綴る

と日本の公害をうたい、貝に代わって抗議したのは、ずいぶん前のことであった。

わたしは、久しぶりに郷里熊本に帰ったおり、何としても公害の大元凶である水俣チッソ工場を見、水俣湾の魚たちの嘆きの声を聞いてこなければと思い、天草五橋観光の話などには耳をかさず、車を飛ばせてもらい、水俣の土を踏んできた。

その日は集中豪雨といってもよい悪天候になり、引き返せといわんばかりに降ってきたが、こんな日に水俣に行くのも、かえって思いの深まるのを覚えるのであった。幸い水俣に着く頃は雨もいくらか静まり、昼食をとって外に出ると、奇跡のようにやんでいた。

わたしたちは、まず工場の裏側から入り込み、ドロドロの廃液の一大プールに立った。草一本生えていないまったくの死の泥のかたまりのプールなのである。わたしはその前年、岐阜県神岡町の神岡鉱山を訪れたのであるが、そのときとまったくちがった一大戦慄と怒りとを感じた。これこそ無明だと思った。実になんともいえないいやな煙が、雨雲の垂れ込めている空へのぼっていて、どこからともなく鳥(からす)の声がした。わたしにはそれが、この工場の排出した水銀のため死んだ人たちの怨霊(おんりょう)の声のように思われてならなかった。人影はわたしたちだけだった。わたしはまっ赤に染まった石をひろい、記念として持ち帰ることにした。
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