電脳筆写『 心超臨界 』

嫉妬のナイフは詳細を極めて研ぎ澄まされる
( ルース・レンデル )

日本の正体は ひ弱な花――櫻井よしこ

2024-08-17 | 04-歴史・文化・社会
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
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「花」は十七条の憲法以来、日本人に伝わる利他の心の結晶である。上下の差を超えて皆で合議し、信じ合うことで日本人はウイルスの第1波を乗り切った。ウイルスは日本国の真の姿も暴き出した。わが国は善意にあふれる人々の集合体であっても、真っ当な国家ではないという厳しい事実だ。国難に対処する緊急事態宣言にはおおむね強制力も命令権もない。国家はひたすら要請する。これでは外国の侵略の前では無力である。


◆日本の正体 ひ弱な花――櫻井よしこ・ジャーナリスト
(「美しき勁き国へ」産経新聞 R02(2020).07.05 )

中国湖北省武漢市の新型コロナウイルス(武漢ウイルス)は世界各国に国難をもたらし、各国がまとっていた建前を剥がし取り、その正体を暴いた。中国然(しか)り、米国然り。日本も同様だ。武漢ウイルスで明らかにされた日本の姿は囲いの中で咲くひ弱な花だ。囲いなしでは間違いなく嵐に打たれて倒れてしまう。

「花」は十七条の憲法以来、日本人に伝わる利他の心の結晶である。上下の差を超えて皆で合議し、信じ合うことで日本人はウイルスの第1波を乗り切った。ウイルスは日本国の真の姿も暴き出した。わが国は善意にあふれる人々の集合体であっても、真っ当な国家ではないという厳しい事実だ。

国難に対処する緊急事態宣言にはおおむね強制力も命令権もない。国家はひたすら要請する。これでは外国の侵略の前では無力である。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域では中国海軍の一翼となった海警局の武装艦群が日々、侵入を続ける。国土も国民も、日本国は他国と同じように自力で守らなければならない。そのためには憲法を改正し、法律を整え、軍事力を強化しなければならない。心身を鍛えて国を守り、国民を守り、価値観を守る当たり前の努力を通して独立国としての国の形を造らずしてどうするのか。

中国共産党の暴虐体質で国際関係はギシギシと音を立てている。民主主義、人権、人道、法の支配を旨とする日本を含む国々にとって最大の脅威が中国なのは明らかだ。侵略する中国に、日本国は本来の穏やかではあるが勇気と強さを備えた日本に立ち戻らなければならない。これから直面する国際情勢は間違いなく非常に厳しくなる。中国は、よりあからさまに巧妙に侵略の手を伸ばしてくる。

6月30日、中国は香港に国家安全維持法導入を決めたが、彼らの強硬姿勢は弱い者に対する常套(じょうとう)手段だ。民主化運動に身を投じてきた周庭(アグネス・チュウ)氏は「生きてさえいれば、希望がある」と発信した。

なんと哀切な言葉か。日英独仏など27カ国はこの言葉の背景にある中国の弾圧の実態を正確に受け止め、6月30日、国連人権理事会での「強い懸念」の共同声明発出につなげた。しかし、同じ会合で53カ国が中国支持を表明した。中国マネーの力である。

経済力、軍事力、情報戦、全ての手段を用いる中国に対して日本政府は国際社会において明確に抗議した。だが奇妙なことに国内でははっきりしない。自民党も公明党もどうしたのだ。この期に及んで習近平国家主席の訪日中止も明言できずにいる。わが国は囲いの中で国際秩序の恩恵を受けてきた。いま、恩返しをするときだ。日本を日本たらしめてきた価値観を守ることで貢献するときだ。

中国におもねって、見返りがあるなどと考えるのは間違いだ。どの国も、とりわけ日本は中国に潰されないよう、厳しい闘いを覚悟しなければならない。その理由は中国共産党が国民に幼い頃から教えてきた「勿忘国恥」(国恥を忘れることなかれ)という価値観にある。

「国恥」は1840年に勃発した第1次アヘン戦争に始まり、第2次アヘン戦争(56~60年)、日清戦争(94~95年)、義和団事件(1900年)、満州事変(31年)、を経て日中戦争(37~45年)に至る約100年の歴史を指す(『中国の歴史認識はどう作られたのか』、東洋経済新報社、汪錚=ワン・ジョン、伊藤真訳)。

「恥辱の1世紀」を構成する6回の戦争の内、日本が関わった戦争は4度に上る。

習近平国家主席が願ってやまない「中国の夢」の実現は「恥辱の1世紀」の恨みを晴らすことでもある。中華人民共和国建国100年までに中華民族が「世界の諸民族の中にそびえ立つ」には、彼らが奪われたと記憶する領土の回復と失われた栄光の復活が欠かせない。だが他国の領土を奪うには、それが元々中国のものであるのに不当に奪われていたという物語が必要だ。

物語のひとつが東北工程と呼ばれるものだ。現在の北朝鮮はかつての高句麗と領土が重なり、高句麗はかつて中国の地方政府のひとつだったために、北朝鮮は中国の一部だという物語である。

南シナ海も同様だ。2016年のアジア安全保障会議で、人民解放軍副参謀長は同海は2000年前から中国領だったと主張し、失笑を買った。

だが中国は国際社会の批判など歯牙にも掛けず、本記事執筆中も中国海軍がパラセル諸島周辺海域で大規模軍事演習を続行している。

彼らが豪州に仕掛けた物語は03年10月、豪州議会における胡錦涛国家主席の演説から始まる。

「1420年代には明朝の遠征艦隊がオーストラリアに辿(たど)りついた。その後の数世紀、中国人は海を越えて航海し豪州に住みついた」そうだ。

明代に中国艦隊が豪州近くまで公開した事実はない。だが、2年後、駐豪中国大使は「豪州は中国の世界航海の地図に常に記されていた」と語った。中国共産党中央宣伝部は、提督鄭和が18世紀に豪州を踏査したキャプテン・クックより数世紀も早く豪州に到達していたと宣伝した。ウソは段々と本格化し、遂に2016年、李肇星元外相がオーストラリア国立大学で「豪州を発見した」のは「元朝時代(13世紀から14世紀)の(中国の)探検家だ」と講演した(『目に見えぬ侵略』、飛鳥新社、クライブ・ハミルトン著、奥山真司訳、山岡鉄秀監訳)。

同じ年の4月、李元外相は第1回日中韓公共外交フォーラム開催中に「日本は中国固有の領土、尖閣諸島を中国に返すべきだ」と語っている。

日本に対しても失地回復の意図を持って「物語」を語っているのだ。豪州はいま、中国の真の意図に気づいて猛然と闘っている。香港も台湾も苦しんでいる。日本よ、独立国の気概を持って米国と共に闘え。この岐路で選択を間違えてはならない。力を整備して日本の価値観を掲げ、闘うのだ。
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