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「まちぶせ」の各ヴァージョンを譜割で分析する

2021年06月24日 | 石川ひとみ
 
 「まちぶせ」はユーミンが荒井由実時代に作った曲で、三木聖子さんのデビュー曲として発表され、その後石川ひとみさんがカバーして大ヒット。今や歌謡曲のスタンダードとなり、ユーミンによるセルフカバーをはじめ、多くの歌手が歌っています。

 それが最近、女優で歌手の上白石萌音さんが発表したカバーアルバムで取り上げられ、またまた世間の話題になってます。こういう場合に「やはりオリジナルが最強!」とか、「歌は上手い方がよい。」とか、「ワシ、若い娘なら誰でもいいわ。」とかいう声が出るのは必然で、なおかつどれがいいかというのは個人の好みでしかないので、それを語ることは意味がないでしょう。

 ということで、今回は前から考えていた譜割での違いを考えてみます。「譜割」とは、「各小節にある音符の振り分けのこと」ということだそうですが、まず三木聖子ヴァージョン(以下 三木版)と石川ひとみヴァージョン(以下 石川版)を比較し、その後今回発表された上白石萌音ヴァージョン(以下 上白石版)を検討してみましょう。


 私が考えるに、三木版と石川版の譜割での大きな違いは二か所あります。それは以下の通り。

その1.「見覚えあるふたり」の「り」

 ここは大きな違いがあります。三木版では「り」が小節のアタマというかオモテの拍なのですが、石川版は前の小節の4拍目の裏が「り」になります。すなわち、「り」のタイミングは、石川版の方が八分音符一つ分早いわけです。

 私はここが、この二つのヴァージョンの最も大きな違いだと思っています。「単に歌い回しの感じでは?」と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。石川版ではドラムやベースもそのタイミングに合わせてあるので、リズム隊の演奏自体がそうなっています。編曲の松任谷正隆先生が、譜面でそういう風に指定したのだと思われます。

 Wikipediaによると、石川ひとみさんは「デビュー前に在籍した東京音楽学院名古屋校で、講師から本曲を課題曲として与えられ毎日歌っていた」ということで、一般的にはレコーディングでもすぐ歌えてOKテイクとなったとか言われます。しかし、ここが明確に違うので、アレンジャーからの指定あるいはレコーディング時にディレクターからの指示があったかのではないかと思います。

 これは、三木版のカラオケならどちらの歌い方でもいけそうですが、石川版のカラオケで三木版の歌い方をすると「ずれてる」と思われますのでご注意を。


その2.「からなのね」の「なのね」

 三木版では「な」「の」が16分音符で「ね」が1拍目の裏の八分音符になります。(市販のメロディ譜によっては三連で「なのね」をまとめてあるものもあり。) が、石川版では「な」「の」が八分音符で、「ね」は2拍目のアタマというかオモテになります。これも明確ですし、これをどちらで歌うかで曲の印象は大きく変わります。石川版は「な」「の」をゆったり歌ってる感じになりますね。

 文章で読んでもよくわからない人は、聞き比べてみるとよくわかると思います。編曲はどちらも松任谷正隆先生なので、いずれも石川版のカバーのレコーディングの際には指示があったのではないかと想像します。

 なお、三木版と石川版はアレンジが非常によく似ていて、演奏は大体同じといえなくもありません。が、そもそもキーが違うし(石川版が半音高い)、イントロのフレーズもエンディングの長さも違うのですが、私はこれらの譜割がこの二つのヴァージョンの一番大きな違いと考えるものであります。




 さて、これらを踏まえた上で今回の上白石版はどうかと注目してみましょう。既に聞いた方はわかるでしょうが、そもそものリズムアレンジがまったく違います。これだけ違うと別の曲という感じはしますが、上記の譜割はどのようにしてるのでしょうか検証してみましょう。


その1.「見覚えあるふたり」の「り」

 ここは完全に石川版を踏襲してます。ただし、このカラオケならどちらの歌い方もできますね。


その2.「からなのね」の「なのね」

 なんとここは完全に「三木版」でした。このメロディーは曲の中で3回出てくるわけですが、全部同じ譜割で歌ってるのでそこは意識したのでしょう。これは意外でした。


 ということで、上白石版の譜割は三木版と石川版のハイブリッド方式(?)であると認識するのが賢い大人の判断です。上白石版を聞いて、「やっぱり『まちぶせ』は三木聖子に限る!」とか、「この曲は石川ひとみ以外は認めない!」とかいう論争をしている人を見かけたら、この譜割の違いを持ち出して「両者の譜割を取り入れて、そういう不毛な論争に終止符を打とうとしている上白石萌音の気づかいがわからんのか!」と一括してあげましょう。

 さらにこの二つのヴァージョンの違いを延々と解説し、「悪魔のようなあいつ」での三木聖子さんがどんな感じだったとか、石川ひとみさんの「プリンプリン物語」がどういうストーリーだったかとかじっくり説明してあげれば、あなたの周りからさ~っと人がいなくなることは間違いありません。

 ちなみに私の場合、古くはこまどり姉妹から叶姉妹、阿佐ヶ谷姉妹など、上白石姉妹も含めて芸能界の姉妹は苦手で、唯一姉妹のどちらも好きなのは岩崎姉妹くらいです。このあたりは認識していただきたいのですがいいですね?(って、誰に言ってるのやら。)

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