今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

BEGINの本を少々

2022年08月20日 21時46分50秒 | ブックレビュー

 

 BEGINというのはバンドのことですが、ちょっと興味があるので本を2冊ほど読みました。今回読んだのは以下の2冊。

・さとうきび畑の風に乗って 1998年発行 278ページ
・肝心(ちむぐくる) 2005年発行 約420ページ

 BEGINは、ヴォーカル&ギターの比嘉栄昇さん、ギターの島袋優さん、ピアノの上地等さんからなる3人組ですが、「さとうきび畑の風に乗って」(以下「さとうきび畑」)はそれぞれが各自の生い立ちやデビューからそれまでのことを書いており、「肝心」は三人の鼎談を中心にディスコグラフィーやライブの記録も掲載されています。

 BEGINは1990年にデビューしましたが、「さとうきび畑」がデビュー8年目、「肝心」がデビュー15周年の時の本です。実は昨年「肝心」を読んで、先日「さとうきび畑」の方を読みました。順番は逆です。

 彼らはご承知の通り「イカ天」でチャンピオンとなり鳴り物入りでデビュー、「恋しくて」がCMソングにもなって大ヒットしたものの、その後はCDもあまり売れず一時期低迷してたのが、2000年頃から「涙そうそう」「島人ぬ宝」などでブレイクして沖縄の音楽シーンを代表する存在となって今に至ります。

 1998年の段階ではちょっと人気が盛り返してきてた頃ですが、まだいわゆる島唄は歌っておらず、「さとうきび畑」の中でもハワイアンに興味を示していたり、メンフィスとかナッシュビルの事が書かれています。

 そして2005年の「肝心」では、そのナッシュビルやメンフィスでの体験がキッカケで、本場のブルースを目指すこととは逆に「自分たちのルーツとなる音楽はなんだろう?」という事を考え始めたことが語られています。

 イカ天では三人だけの演奏でバカ受けしたわけですが、実際プロとして活動していくには演奏力が未熟だったり引き出しが少ないと判断され、デビュー後のコンサートツアーではドラム、ギター、ベース、キーボード、バイオリンとサポートメンバーが5人もいたのだとか。そして全国どこへ行ってもホールは超満員、しかし肝心のメンバーの方はギターとピアノがサポートメンバーに比べるとあまりにも弾けないということで、本人たちもそうだし、イカ天の時の演奏を期待したお客さん達もかなり戸惑いがあったようです。その辺の苦悩はどちらの本にも綴られています。

 それでヴォーカルの比嘉さんが頑張って自分たちの味を出そうとしても、あとの二人が気が引けてついてこないというもどかしさがあったというのは、特に「さとうきび畑」からヒシヒシと伝わってきます。イカ天をはじめ各種コンテストから出てきたバンドがデビューしてほどなく解散するケースはよくありますが、同様の事情なのでしょうね。

 簡単なコードで作った曲がレコーディングの段階で難しいコードに変えられ、それをメンバーが弾けず、自分たちの音楽が自分たちのものではなくなる感覚があったというのはよくわかります。さらに、アルバムを作るにも曲が足らず、他の人が作った曲が集まっては来たけどそのデモテープがどれも半端なくレベルが高くて「これがプロの世界か…。」と衝撃を受けたり。

 BEGINがここでくじけなかったのは、三人が元々友達同士だったこと、それぞれの音楽に対する思いが強かったこと、あとはメンバーの性格によるものでしょう。(ここが一番大きいような気がして、それが大事だと思うのですが。) あとは、売れなくなって予算がなくなり、サポートミュージシャンをつけられなくなって三人でライブをやるようになって、自分たちの音楽を取り戻した感覚があったのも運命というものかも。

 そもそもブルースバンドとしてデビューしたのが、石垣島の出身だからといっていわゆる島唄を歌う事や、比嘉さんが三線を弾くことに迷いがあったというのも、今となっては意外な気もしますが、そこを吹っ切って自分たちの限界を突き破り世界を広げたというあたりは「肝心」に詳しいです。私の場合はこちらを先に読んで、最近「さとうきび畑」を読んだので、既に答えを知ってたような感じもありました。

 それにしても、ずっと興味を持たなかったこのバンドに、実は私の好きなギタリストの山田直毅さん、大森信和さんが深く関わっていたことはこの2冊を読んで知りました。もう30年以上やってるバンドなのに、Wikipediaには案外情報が少なく、なんとこれらの本の事も書かれていないという…。まあそのあたりもこのバンドの持ち味という気がします。「俺が!俺が!」という匂いは昔も今もまったくないですしね。

 ということで、関心のある方はこれらの本をお探し下さい。普通に新品で買えないのが少々ハードル高いですが、結構面白いし興味深い本です。


14歳から考えたいアメリカの奴隷制度/ヘザー・アンドレア・ウィリアムズ

2022年06月12日 22時38分11秒 | ブックレビュー

 

 先日ドラマの「ルーツ」を見たこともあり、奴隷制度についてもっと深く知りたいと思い読んでみました。これは今年の2月に出た本で、著者はペンシルベニア大学の教授。

 本のカバーには「17世紀から19世紀半ばまで、アメリカの発展は奴隷の労働力を搾取することでもたらされた。その傷は癒えることもなく、奴隷廃止から160年がたつ今も、社会の分断を引き起こす。」とあります。

 「14歳から考えたい」とある通り、かなりわかりやすい言葉で書かれており、人名や事件については同じページの上の欄に注釈があるのでかなり親切な本です。当方58才、一般男性ですがおかげでスイスイと読めました。

 私は奴隷制度というと、つい「ルーツ」の世界とリンカーンによる奴隷解放宣言のあたりだけ考えてしまいますが、この本では1441年の大西洋奴隷貿易の話から始まります。それはポルトガルのエンリケ王子の命によって西アフリカの海岸へ向かった船の記録から。奴隷制度がアメリカの発展を支えたのは確かですが、アメリカだけの話ではないんですね。当たり前ですが。

 さらに奴隷制度というと、それぞれが好き勝手に始めたのがズルズルと続いたかと思ったら、その時代によって法律でも細かく制度が決められていたのですね。

 そもそもアメリカの独立宣言には「すべての人民は法のもとに平等である」と謳われており、それを基に奴隷制度の廃止を訴える動きももちろんあったのですが、ある時は法律によって、ある時は宗教的に、ある時は科学的に、とにかく黒人は白人より劣っており、奴隷として使われることが天の真理であるかのごとく主張する説が時代が変わっても出てくるので、読んでいると本当にムカムカ来ます。

 当初は先住民族を奴隷にしたこともあったのが、報復を受ける恐れや様々な問題もあってそれは法律で禁止して「奴隷は黒人のみとする」ということを定めたことも知りました。アフリカ人であれば土地の事をよく知らず、逃げ帰る家もなく、報復を仕掛けてくる家族もいないので、連れてくるのに金はかかるが面倒は少なかったということなのですね。

 とにかく、いかにこれまでの自分の知識が浅かったかというのを思い知ったのでした。14才というと中学生ですが、これは中学校の夏休みの課題図書にして欲しいものです。私なんぞはますますアメリカ人が嫌いになりました。お勧めの本です。


トラウマは克服できたかも>カフカ「変身」

2022年04月01日 22時30分46秒 | ブックレビュー

 

 カフカの「変身」は高校生の頃に一度読んで、大人になってからも「あれはなんだったのだろう?」と思いあらためて読みました。結果、巨大な毒虫が仰向けになりたくさんの足をジタバタさせてる様子を思い浮かべてしまい、それ以来この小説がトラウマになりました。さらに、道端で仰向けになって死にかけてる虫を見ると、かなりゲンナリするようにもなり。

 ですが、新しい訳で発売されることを知り、再度チャレンジすることにしました。きっかけは「伊集院光とらじおと」にその訳者の方がゲストで出たこと。そして、伊集院さんとその川島先生は「名著の話 僕とカフカのひきこもり」という本でも対談していて、今回は先にそれを読みました。

 それで、この「変身」をカフカの心情と合わせて読めるようになり、トラウマはある程度解消されたと。(別に大きい虫が好きになったわけではありませんが。) 何より、この川島先生はカフカ研究について現代の第一人者で、今回の文庫にはカフカがどういう人だったかという解説もついています。

 もちろん「変身」が書かれて出版される経緯の解説もあるのですが、カフカの半生の方が興味深く読めます。とにかく相当面倒くさい人だったというのがわかって…。

 カフカ自身は、自分のことを社会生活に向いてなくて仕事が嫌でたまらないダメ人間のように言うのですが、実際職場では有能で順調に昇進していたそうです。また、この人はユダヤ人なんですね。

 さらに、恋多き男性で婚約中に彼女の友人と付き合ってしまって婚約破棄したり、また元の彼女と婚約し直したりまた婚約破棄したり。結婚するとかしないとかは、この人はやたらと多いです。しかも、やたらと手紙を書く人でそれがまた大量に残ってて、相当ほじくり返されてると。そういうカフカの半生についての解説が70ページもあるので、それがこの新しい文庫版の面白いところでもあります。(「変身」の本編は100ページ程度。) 

 そんな感じなので、カフカ自身の人生のこじらせ方からすると、彼自身が「俺なんか、明日起きて虫になってやる!」といじけてたのではないかと思ったりして、この作品自体を割と軽く受け止められるようになりました。

 もちろん、今回は新訳ですので過去の訳で慣れてる人には抵抗があるかもしれませんし、賛否もあるのかもしれませんが、私は普通に読みやすくて良かったです。この本は、すごく読み応えある解説もついて500円ですので、一家に一冊いかがでしょうか。どーですか、お客さん。


2021年 今年読んだ本

2021年12月31日 21時48分30秒 | ブックレビュー
 昨年の64冊だったのですが、今年は39冊ということで激減。やはり昨年はステイホームで、ゆっくり読む時間が確保できてたのでしょう。あとは、今年は緊急事態宣言中に図書館が閉館だったので借りられなかったということもありますね。

 (再)と書いてあるのは前にも読んだことある本なのですが、その辺はタレント本か幕末維新ものが多いです。借りてきて読み始めたら、「あら、読んだことある!」と気づいたり。以下、今年の一覧。


邪魔/奥田英朗(再)
嵐の季節/石田伸也(再)
もう一つの幕末史/半藤一利(再)
黒船/吉村昭(再)
江戸のいちばん長い日/安藤優一郎(再)
武士猿/今野敏
元気です/春一番(再)
40歳を過ぎたら定時に帰りなさい/成毛眞
芳野藤丸自伝/芳野藤丸(再)
高田みづえの相撲部屋おかみさん/高田みづえ
俺の魂/アントニオ猪木
最強の名のもとに/高田延彦
チェッカーズ/高杢禎彦(再)
町あかりの昭和歌謡曲ガイド/町あかり
洋子へ/長門裕之
酒と太鼓の日々/ファンキー末吉(再)
月亭可朝のナニワの博打八景/月亭可朝
余命3ヶ月のラブレター/鈴木ヒロミツ(再)
愛を叫んだ獣/亀和田武
反貧困/湯浅誠
純情 梶原一騎正伝/小島一志
すべては裸になるからはじまって/森下くるみ
肝心/BEGIN
素顔の西郷隆盛/磯田道史(再)
命もいらず名もいらず 西郷隆盛/北康利
僕らが作ったギターの名器/椎野秀聰(再)
ちばてつやが語るちばてつや/ちばてつや(再)
やさしい猫/中島京子
コロナとワクチンの全貌/小林よしのり・井上正康
時給はいつも最低賃金 これって私のせいですか?/和田静香
正義を振りかざす「極端な人」の正体/山口真一
羆嵐/吉村昭
蜜蜂乱舞/吉村昭
冷たい夏、熱い夏/吉村昭
バッタを倒しにアフリカへ/前野ウルド浩太郎
若くなるには時間がかかる/火野正平
ふられ虫の唄/武田鉄矢(再)
安井かずみのいた時代/島崎今日子(再)
証言「UWF完全崩壊の真実」


 夏頃に久しぶりに「素顔の西郷隆盛」を読んだら面白くて、西郷どんのものを色々読もうと思ったのですが、「命もいらず名もいらず」が案外ときめかず。さらに、秋からは吉村昭作品全制覇に取り掛かりましたが、何しろ楽しくない話も多く、精神衛生上の事を考えてちょっとずつ、と。その辺結構迷走してます。

 そんな中、一番面白かったのはなんといっても「やさしい猫」。これは確かラジオに中島京子さんが出てた時に聞いて、「面白そう」と思ったものでした。今年は入国管理局の件でニュースがありましたが、その辺の話が絡む小説です。怒りが沸きあがりつつも、読後感は良いので、これはお勧めです。

 あとは「バッタを倒しにアフリカへ」もラジオ紹介してるのを聞いたのですが、これも面白かったです。実際はご本人は大変な苦労をしたのでしょうが、その辺は面白く読ませてくれるのがさすがです。

 何回も読んでる本ですが、「ちばてつやが語るちばてつや」は、この人が生きてきた人生の特に子供の頃の体験がこの人を強く優しくしたのだろうと思われる部分が多くて、感慨深いものがあります。ああいう年の重ね方をしたいものです。

 ということで、来年はタレント本の比率を減らして吉村昭作品制覇に精進します。押忍!(?)

年末はタレント本三昧

2021年12月25日 22時18分08秒 | ブックレビュー
 
 いまも読書は幕末維新ものかタレント本が多いのですが、この年末は本当にタレント本三昧。今月読んだのは画像の三冊です。それぞれのレビューをば。

◇若くなるには時間がかかる/火野正平

 火野正平さんは、初めて見たのが多分大河ドラマの「国盗り物語」でしたが、印象が強いのは必殺シリーズ。近年は全国を自転車で回るBS番組が人気ですが、あれを放送してるとついつい見てしまいます。

 6年前の本ですが、その時点で「日本一チャーミングな66歳」でしたから、いまや日本一チャーミングな72歳でしょうか。これは多分語り下ろしでしょうから、ご本人がしゃべったことを本にしたのでしょうが、かなり個性的な方なので色々衝撃でした。しかし、役者として自分の生き方がしっかり筋が通ってる気がして、この人の人気があるのはわかります。「モテ男」とかそういうのは別にどうでもいいですが、確かにかっこいい人です。生き方を真似しようとは思いませんが、歳を取るのも悪くないかなぁと元気づけてくれますね。ちなみに「若くなるには時間がかかる」というのは、ピカソの言葉だとか。

◇ふられ虫の唄/武田鉄矢

 これは発売された頃に一度買った記憶がありますが、中学生くらいだったので当時は普通の単行本でした。読んだときは本当に爆笑してこの人のことは天才だと思いました。自分がかっこ悪くてもてなくて苦しんだ時期の事をあからさまに描けるあたり、思春期男子には訴えるものがありました。

 この後の鉄矢氏の事は特に好きではないというか、結構苦手なのですが、この本があるからなんとか許せるという部分はあります。当時買った単行本は実家にも見つからないので、久しぶりに読みたくて文庫の中古を買いました。

 文中では高校時代に体育の時間の女子のブルーマー姿を見て、友達が「たまらんねえ。ねぶりまわしたかねえ! あのモモば」とかいうセリフとか、クリスマスのダンスパーティーのチークダンスのあとに友達に「あんた、オレの三倍くらいたっとったやないね!」と言われたりするのがなんとも。久しぶりに読みましたが、やっぱり面白いです。


◇安井かずみのいた時代/島崎今日子

 この本を読むのは3回目くらいかもしれません。とにかく安井かずみがどういう人だったか知ってもらうために、すべての日本人に読んで欲しい本ではあります。英語もフランス語も堪能で海外に出かけることにはなんのためらいもなく、まだ「セレブ」なんて言葉がない時代でしたが、今の「セレブ」と言われる人など足元にも及ばない感じですね。お金持ってるだけじゃなくて、生き方も含めてどう使うかというのが桁違いで。

 あるときの対談では「一着や二着シャネルを買って、シャネルが好きなんて言わないでちょうだい。ラックの端から端までバーッとシャネル買ってから、シャネル好きだって言うのよ。」と言って、相手をシュン…とさせたとか。

 私のような一般男性からするとそれこそ考えられないような生き方ですが、この人がどういう人生を辿ったのかというのがよくわかります。この本はいろんな人の証言によって成り立っており、最初の旦那さんにも取材したりして、著者の島崎さんはかなり頑張ってますね。

 最初は生い立ちから始まって、それこそセレブ一本道という感じだったのが、加藤和彦さんとの結婚を経て病で倒れるまで、段々切なくなるというその構成の仕方が絶妙です。私としては吉田拓郎さんの話で、安井さんと加藤さんの関係はよく理解できたような気はしますが、その辺は思い入れの違いでしょう。私は安井さんのエッセイとかは一切読んだことがなく、本当に流行歌の作詞家としての印象しかなかったので、かえってするっと読めたのかもしれません。文庫で買えますので、これはお勧めです。内容は凄く濃いです。



 ということで、年末に読んだ本でした。何がどうかというと、今年の最後を鉄矢氏の本で締めくくるのが気が引けたので、安井かずみさんの本を読んだという(笑)

実に面白い>「バッタを倒しにアフリカへ」前野 ウルド 浩太郎

2021年11月17日 22時45分23秒 | ブックレビュー

 
 先日TBSラジオでこの本の事を知り(「荻上チキ Session」だったか「たまむすび」だったか)、興味を持って読んでみましたが凄く面白かったです。

 作者の前野浩太郎さんは、この本のおかげで今では「バッタ博士」として有名なようですが、私はまったく知りませんでした。表紙の写真では仮装してますので、遊び半分でアフリカに行ったのではないかと思われるでしょうが、実に真面目で熱心な昆虫学者の方です。

 元々子供の頃に「ファーブル昆虫記」を読んで感銘を受け、「昆虫学者になる!」と思いたち、実際博士号を取得してその夢をとりあえずかなえたとはいえるものの、「昆虫学者ではメシが食えない」と悟ってアフリカに渡ったのが31歳の春。

 バッタやイナゴの大群が畑を襲って農作物に甚大な被害を与えるという話は聞いたことがありますが、この人が研究しようと思ったのがそのものズバリの「サバクトビバッタ」という虫。その生態を観察して研究し、効率よく防除する方法を編み出せれば、農作物の被害を防いで食物の生産性は上がり、農薬の使用量も抑えられると考えたわけです。

 その現地アフリカに腰を据えて研究に携わった学者はいないというところに目をつけて単身出かけたのがこの人。しかし、バッタによる被害のない日本では誰もその研究に注目してくれず、無給のポスドクとしては人々の注目を集めて研究費を確保する必要に迫られたため、わざとこういう格好をしてアピールしてきたことから誤解や中傷を受ける事も多いとか。

 この人はアフリカのモーリタニアという国の研究所に常駐してバッタの研究にいそしんだものの、現地の気候が不安定なためバッタの大群には遭遇できない年もあり、研究費は無くなるし、生活環境は過酷だし、かなり苦労もされてます。

 素人からすると、「バッタが来るなら殺虫剤撒けば?」と思うのですが、何しろ相手は恐ろしいほどの大群で100kmも飛んで移動してくるため、どこに出没するかもわからないと。その情報を得るため全国に研究者のネットワークが張り巡らされてはいるものの、農薬の撒けない地区もあったり、決して効率的な作業ではありません。

 しかし、そういう環境でも地元の方々から助手やドライバーを確保し、現地の生活様式にも溶け込んで、フィールドワークをしつつ日々の研究活動の様子を面白く紹介しているという良書です。今はこの本が出版されて4年以上経っており、売り上げはなんと20万部突破したそうで、今だから「売れてよかったね~。」とは思えるものの、発売直後に読んでたら「この人大丈夫か?」とか思った事でしょう。

 この人の素晴らしいのは、そのバッタの生態研究から、夜間に一斉に交尾をするという繁殖行動を突き止め、一気に駆除できる必殺技を編み出したということ。この本ではまだ観察行動の報告なのですが、今年その必殺技の論文を発表し表彰もされ、いよいよ研究が実を結んだようです。

 アフリカでの生活は、お金も無ければ言葉のわからない中で様々な苦労があったと思われますが、そこを楽しく読ませてくれるという本当にタフな人だと思います。本がヒットして十分儲かって来たとは思いますが、この人は応援したいですね。光文社新書で買えますので、関心を持った方は是非お読み下さい。新書なのでお手軽ですし。

 何しろ日本から飛行機でモーリタニアに行くだけで数十万円かかるらしいので、この人には稼いで貰わねばなりません。今年読んだ本の中で一番面白かったです。お薦めです。


もしや、悪夢の素を増やしたのでは>吉村昭作品全制覇

2021年11月03日 21時42分24秒 | ブックレビュー
 吉村昭作品全制覇に向けて、まずは新潮文庫での作品から取り掛かりましたが、この人の本ばっかり読むと、明らかに悪夢が増えるのがわかりました。

 まず読んだのが「蜜蜂乱舞」。これは養蜂家の生活を描いたもので、面白いのですが、決して楽しくはない話。私はこれまで宇宙飛行士と潜水艦の乗組員にだけはなりたくないと思ってたのですが、これを読んで絶対養蜂家にもならないと決めました。蜂の扱いがあんなにも大変だったとは。

 そしてもう一冊読んだのが、「冷い夏、熱い夏」。これは歴史ものではなく、実際の吉村先生の話。文庫裏の紹介によると「何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影 強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろく『私』。」というもので、こちらはかなり辛い話。

 まだ患者本人への告知が一般的でなかった頃の話で、吉村先生もそうだしお医者さんもみんなで隠し通そうとします。そうやって一生懸命やっていると、吉村先生は奥様から「あなたは私が癌になってもそうやって隠すのでしょうね。」とか「私にも何か隠していることがあるのではないですか?」とか、夫婦間もギクシャクしたりします。

 弟さんからも当然「本当は悪性なんじゃないか?」とか言われるわけで、先は気になるのですが読んでいると段々辛くなる話。私も父の罹患の際には告知の難しさというのを実感しましたので、色々考えさせられるし、あれこれ思い出して思いっきり悪夢の素になりました。

 それがどういう悪夢かというと、土曜の夜に見た夢はなぜか大相撲。白鳳と誰か見たことない外国人力士が対戦しているのですが、私と周囲の人はテレビを見ながらなぜか白鳳を全力で応援。取り組みはなぜか寝技にもつれこんで、白鳳がアームロックをきめたものの相手がタップしないのでそのまま腕ひしぎ十字固めにもつれ込むという展開。「なんで?」という悪夢でした。

 とはいえ、折角決めた目標なので、合間に楽しい本を挟みながら吉村昭作品全制覇に向けて取り組もうとは思います。

 なお、養蜂家で思い出した話。世の中には「ハンカチ王子」とか「ハニカミ王子」とか「国会王子」とか色々いました。当然養蜂家でもイケメンの男子がいるはずで、それは名付けて「ハチ王子」。

 …おあとがよろしいようで。

三週間三冊勝負を果たせるか>吉村昭作品全制覇への道

2021年10月26日 23時01分33秒 | ブックレビュー
 
 何かのコレクションをコンプリートしたりするのは好きで、この度吉村昭先生の作品を全部読むことにしました。が、いきなり全作品を読むのは目標が高すぎるので、まずは新潮文庫の分を全部読むことに。

 それで、新潮文庫での吉村昭先生の作品と読んだものは以下の通り。

*戦艦武蔵
星への旅
高熱隧道
冬の鷹
零式戦闘機
陸奥爆沈
*漂流
空白の戦記
海の史劇
*大本営が震えた日
背中の勲章
*羆嵐
ポーツマスの旗
遠い日の戦争
光る壁画
破船
羆(ひぐま)
破獄
雪の花
脱出
*長英逃亡
冷い夏、熱い夏
仮釈放
海馬(トド)
ふぉん・しいほるとの娘
*桜田門外ノ変
ニコライ遭難
*天狗争乱
プリズンの満月
わたしの流儀
*アメリカ彦蔵
*生麦事件
*島抜け
天に遊ぶ
敵討
*大黒屋光太夫
わたしの普段着
*彰義隊
死顔

 *印が付いてるのが読んだものですので、全39作品中12作品だけ読んでる事になります。残りは多いですね。それで今回全制覇を目指して、図書館で三冊借りてきました。期限は三週間なので三冊読めるかどうかというところ。

 図書館には結構あるのですが、何しろ古い文庫本は凄く字が小さいので、ローガンズとしては厳しいものがあります。中にはハズキルーペでやっとなんとか、という感じのもあって、今回「ニコライ遭難」は借りるのを断念しました。これは最近の文庫本を買うことにします。

 で、最近買った新しいものは「羆嵐」なのですが、そのカバーにある一覧には今回借りて来た「蜜蜂乱舞」がありません。ん~、なんかその時々によって文庫のラインナップも変わるのでしょうね。まあ最終的な目的は全作品制覇なので、そこは拘らずに行きますか。まずは手軽な「蜜蜂乱舞」から始めますが、どういう話かはまったく知りません。どうやら養蜂家がテーマらしいのでお色気は期待できない予感。って、当たり前か。

確実に悪夢の素です>「羆嵐」吉村昭

2021年10月16日 22時25分11秒 | ブックレビュー
 
 吉村昭先生の「羆嵐」読みました。元々はラジオで赤江珠緒さんがお奨めの本として語ってたのですが、「そういえば読んだことないな」と思って入手。赤江さんは「凄く怖いけど一気に読んでしまう。」との事でしたが、確かに先が気になって止まらなくなります。一昨日から読み始め、昨日は丁度1時間半ほど電車に乗ってたので読み終わりました。全部で250ページくらいで長くないし。

 この本は、大正四年に北海道で起きた日本獣害史上最大の惨事といわれる事件を詳細に綴ったドキュメンタリー長編。その事件は、体長2.7メートル、体重383キロの巨大なクマがわずか2日間に6人の男女を殺害したというもの。

 映像ではなく文字だけで熊が人を襲ったあとの惨状や、実際は熊を見てない人がその事故現場に入っただけで怯える様子を描くのは、さすが吉村昭先生です。基本的に、実際に熊が襲って来た現場にいた人はいないというか、そこにいた人はみんな死んでるわけで、同時にその様子を見た人はいないわけですが、周辺の証言からその怖さがヒシヒシと伝わってきます。

 大正四年というと日露戦争から10年後くらいなので、熊の退治に周辺の地区から銃を持って集まってきた人の中には従軍経験というか、実戦の経験もあった人もいたのでしょうが、100人もいてまったく役に立たないというのがなんとも。警察も威張るだけで何もできませんし。

 素人が手入れのされていない銃を持っていても役にたたないというのは、ペリーの黒船が来た頃と何も変わっていないという事ですね。さすがに、戦国時代の鎧兜で駆け付けた人はいなかったですが。

 最後は一人の猟師と熊との戦いになるのですが、実話とはいえ本当にドラマのような展開です。(猟師の描き方については実際とは違う部分もあるようですが。) そして、調べてみたら、この作品はテレビドラマとラジオドラマになってるのを知りました。

 テレビドラマは、1980年に「恐怖!パニック!!人喰熊 史上最大の惨劇 羆嵐」として放送されたそうです。その際の、熊と対峙する老練な猟師の役は三國連太郎。ラジオドラマは同じく1980年に放送されましたが、その際の猟師の役はなんと高倉健ですって。見てみたいし、聞いてみたい!

 ただ、これを読んだせいで昨夜は予想通り悪夢。誰かの訃報が届くけど、それが誰かわからないが周囲の人はやたらと落ち込んでるという謎の夢でした。まあ、たまには悪夢を見てみたいという人は是非お読み下さい。

赤江珠緒さんのお薦めは吉村昭先生の「羆嵐」だそうです

2021年10月12日 22時12分23秒 | ブックレビュー
 
 以前、赤江珠緒さんがお薦めの本を聞かれた際に吉村昭先生の「羆嵐」と答えたそうです。これは北海道で大正時代にヒグマが開拓民を襲った実話なのですが、赤江さんによると、「本当に怖いんだけど一気に読んでしまった。」とのこと。

 今日も「たまむすび」でその話をしてましたが、その「羆嵐」が縁で荒川区の吉村昭記念文学館から声がかかって、朗読をしたり吉村昭先生について語っている動画が、荒川区の公式チャンネルで公開されているとか。

 私も吉村昭先生のファンですが、この「羆嵐」は読んだことないです。赤江さんはやたらと「怖い」と言いますが、是非読んでみねばと思った次第。そして、吉村昭記念文学館というものがあるのを知らなかったので、ここも一度出かけてみたいです。なんか色々展示とかイベントとかやってるようですね。

 その「羆嵐」は未読ですが、私が読んだ吉村昭作品は以下の通り。

戦艦武蔵
大本営が震えた日
逃亡
関東大震災
深海の使者
北天の星
漂流
赤い人
間宮林蔵
破獄
長英逃亡
海の祭礼
闇を裂く道
桜田門外ノ変
白い航跡
黒船
天狗争乱
生麦事件
アメリカ彦蔵
夜明けの雷鳴 医師高松凌雲
島抜け
大黒屋光太夫
暁の旅人
彰義隊


 結構読んだつもりですが、Wikipediaで主な作品を見るだけで142もありますので、私は2割も読んでないと。全然ですね。幕末から明治にかけてのものは網羅したつもりでしたが、「ふぉん・しいほるとの娘」とか「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」とか読んでないし。

 そんな中、私がこれまで読んだ中で一番好きなのは「間宮林蔵」。これは冒険の物語なので、ハラハラドキドキします。あとは「長英逃亡」「桜田門外ノ変」「大黒屋光太夫」もいいですね。

 さすがにどれも長いので、2回読んだというと「間宮林蔵」だけなのですが、記念館に行く前に全作品制覇してみましょうか。まずは「羆嵐」を読まないと。

「高田みづえの相撲部屋おかみさん」読みました

2021年03月13日 22時47分48秒 | ブックレビュー
 高田みづえさんは元歌手で、大関若島津と結婚して引退し相撲部屋のおかみさんになったのはご存じの通り。これは毎日新聞日曜くらぶ連載の、「高田みづえのおかみさん日記」を改題して出版したもの。連載は1991年9月~93年3月までで、本としてはその年の5月に出版されました。

 アイドル歌手が本を出すというと、大体ゴーストライターが適当にまとめるイメージですが、これは歌手を引退して5年以上経ってから出版されたものであり、新聞連載の記事でもありますので本当にご本人が書いたようですね。色々なエピソードを見てもそう感じますし、上手すぎない文章からもその辺ひしひしと感じます。

 実は図書館で見かけて珍しさだけで借りてきたのですが、読んだところ凄く面白かったです。高田みづえさんと結婚した若島津関は、引退後松ヶ根を襲名し二子山部屋の部屋付きの親方となったのち、松ヶ根部屋として独立。この本は独立した翌年からの連載によるものです。

 私は相撲の世界は知らないことが多いのですが、高田みづえさん自体も当初は二子山部屋で色々お手伝いを経験したのちに独立しておかみさんとなったので、その初々しさというか周りから助けられながら一歩一歩努力していった様子がよくわかります。

 入門してくる力士は大体親方が各地の有望な若者を口説いて連れてくるわけですが、大半は中学を卒業したばかりの少年。そして高田みづえさんも、高校を卒業した直後の5月に歌手を目指して鹿児島から上京したわけで、15歳にして親元を離れて厳しい勝負の世界に入る気持ちはある程度理解できたのでしょうね。

 松ヶ根部屋は両国ではなく千葉の船橋に設立されたのですが、部屋での稽古の様子から、地元の人たちとの触れ合い、新入門の若手の苦悩、力士の日常生活、地方巡業の話など、高田みづえさんが見たことや感じたことを率直にあれこれ書いてるので、写真は無く挿絵だけの本ですがかなり想像力を働かせることができ、相撲の世界もほんのちょっとだけわかった気になりました。

 相撲界はこの後一旦若貴ブームで大盛り上がりになりましたが、その後は外国人力士全盛の時代が来たり不祥事を含めいろいろなことがあり、さらにこの親方自体も大変なことになりましたが、まだ良き時代の良き話ということになりましょうか。

 当時その連載やこの本がどの程度話題になったのかはわかりませんが、私としては面白かったです。今も入手は可能なようですので、興味のある方は是非どうぞ。割と爽やかな気分になれます。

2020年 今年読んだ本

2020年12月30日 21時06分03秒 | ブックレビュー
 毎年恒例の企画ですが、今年読んだ本を公開します。こういうのは自分の脳みその中身を晒してるようで恥ずかしい部分もありますが、自分がどういう人かを理解して貰うにも役立つような気はします。が、別に理解して貰わなくてもいいのかもしれません。

 今年読んだのは、下記にまとめた分で64冊。昨年は21冊だったので三倍増。もちろんステイホームの影響が大。三倍賢くなった気はしますが、多分気のせいでしょう。何しろ読むものが無くなると手元にあるタレント本ばかり読みますので。

 タレント本というか、歌謡界に関する本だと「誰にも書けない」アイドル論(クリス松村)、プロデューサー(酒井政利)がなんといってもオススメ。ダン池田さんの本は面白いけど、結構心が荒みますので…。私は歌謡界には夢を見てたいなぁ。

 初めて読んだ本で特に面白かったのは、ソ連が満州に侵攻した夏、B面昭和史、余命三ヶ月のラブレター、夜また夜の深い夜、深海の使者、昭和と師弟関係、北天の星、凍、などなど。面白いというのは、夜寝る前にちょっとだけ読もうと思ったのが止まらなくなって「あと10ページだけ」とかで延々と寝られず…という感じ。

 あとはまったく知らなかった世界を知ることができたという意味では、やはり「深海の使者」が衝撃で、絶対潜水艦には乗りたくないとあらためて思いました。その他「ラーマーヤナ」にチャレンジして、まぁこれは子供向けに書かれたものでわかりやすかったり。「マハーバーラタ」はややこし過ぎて撃沈。また、戒厳令下のチリの話、ラスプーチン暗殺の話など、知りたいと思ってた話を読めたのでその辺は勉強になりました。チリの話はもっと探したいけど、ラスプーチンはもういいかなと。

 今年も結構図書館のお世話になったのですが、返却されたばかりの図書から目についたのを借りたのが多いです。人の読んでるのは面白そうに見えるという論理で。

 なにはともあれ来年も楽しい本に巡りあえますように。まずは目標50冊!



逆説の日本史24 明治躍進編/井沢元彦 (初)
ソ連が満州に侵攻した夏/半藤一利 (初)
ばかたれ/奥居香 (再)
「誰にも書けない」アイドル論/クリス松村 (再)
苦役列車/西村賢太 (初)
続 定年バカ/勢古浩爾 (初)
55歳からの時間管理術/斎藤孝 (初)
B面昭和史/半藤一利 (初)
荒馬のように/甲斐よしひろ (再)
江戸の一番長い日 彰義隊始末記/安藤優一郎 (初)
芸能界本日も反省の色なし/ダン池田 (再)
余命三ヶ月のラブレター/鈴木ヒロミツ (初)
維新の肖像/安部龍太郎 (再)
間宮林蔵/吉村昭 (再)
夜また夜の深い夜/桐野夏生 (初)
マルクスの逆襲/三田誠広 (再)
おれたちバブル入行組/池井戸潤 (初)
僕って何/三田誠広 (初)
吉田豪の最狂全女伝説/吉田豪 (再)
あふれる家/中島さなえ (初)
義珍の拳/今野敏 (初)
プロデューサー/酒井政利 (再)
サンチャゴに降る雨/大石直紀 (初)
いっしょに泳ごうよ/石川ひとみ (再)
A面に恋をして 名曲誕生ストーリー/谷口由記 (初)
アマゾン源流生活/高野潤 (初)
末裔/絲山秋子 (再)
ラーマーヤナ(上)(下)/河田清史 (初)
音楽は愉快だ/羽田健太郎(初)
山嵐/今野敏(初)
お変わり、もういっぱい/中島さなえ(初)
薄情/絲山秋子(初)
稲妻日記/甲斐よしひろ(再)
女帝/小池百合子(初)
深海の使者/吉村昭(初)
原爆が投下された理由/須田諭一(初)
カランコロン漂泊記/水木しげる(再)
聖域/柴田大輔(初)
稲妻日記2/甲斐よしひろ(再)
「感染症パニック」を防げ/岩田健太郎(初)
昭和と師弟関係/小松政夫(初)
幕末の動乱/松本清張(初)
戒厳令下チリ潜入記 ある映画監督の冒険/ガルシアマルケス(初)
ロンググッバイのあとで/瞳みのる(再)
ロスジェネの逆襲/池井戸潤(初)
北天の星/吉村昭(初)
西郷どん/林真理子(初)
九州少年/甲斐よしひろ(再)
野垂れ死に/元木昌彦(初)
ラスプーチン暗殺秘録/フェリクス ユスポフ(初)
凍/沢木耕太郎(初)
丁寧に考える新型コロナ 岩田健太郎(初)
渾身・石橋凌/生江有二(再)
章説 トキワ荘・春/石ノ森章太郎(初)
ちばてつやが語る「ちばてつや」/ちばてつや(再)
だめだこりゃ/いかりや長介(再)
日本の戦争映画/春日太一(初)
悪タレ極道いのちやりなおし/中島哲夫(初)
ヴェニスの商人/シェイクスピア(初)
鉄槌/いしかわじゅん(再)
セックスドリンクロックンロール/みうらじゅん(初)
悪役レスラーは笑う/森達也(初)
コロナ論2/小林よしのり(初)
役者人生泣き笑い/西田敏行(再)

岩崎姉妹の対談に注目!>週刊ポスト

2020年11月17日 22時42分58秒 | ブックレビュー
 
 コンビニで週刊ポストの表紙に「姉妹対談 岩崎宏美×良美」という文字を見つけて、すぐ買ってしまいました。私はコンビニでは勃ち…、もとい立ち読みはしないのがポリシーですので、週刊誌の表紙で気になる記事を見つけるとその見出しだけで判断して買います。(ま、大体年に1~2度ですが)

 そういう買い方なので、実際の記事を見たら「チクショー」という事も多いのですが、今回の記事はいい意味でびっくり。言ってはなんですが、紅白に出るわけでもなく現在曲がヒットしてるわけではないお二人ですので、てっきり白黒2ページくらいの記事だと思ったわけです。

 それが、実際はカラーグラビアで4ページ。懐かしい写真から現在の写真から新譜の紹介まで、すごく輝かしいページとなってました。写真が多い分、対談の文字数が案外少ないですが…。

 私はよしりんが尾崎亜美さんの曲を歌ってた関係で聞き始めたところ、歌は上手いし曲もアレンジも良いしですっかり気に入ってしまい、アルバムも何枚か買ったくらい一時は追いかけてました。

 そういうことですので、岩崎宏美さんは義理の姉にあたるようなもので(なのか?)、姉妹二人とも抱え込むのはなんか抵抗あって(なのか?)、そちらはちょっと距離を置いてました。

 が、やはり岩崎宏美さんはヒット曲多いし、今も素晴らしい歌声を聞かせれくれてますし、昨年伊集院光さんのラジオにゲストで出た時の話も楽しくて、なかなか男前な(?)方だと思った次第。その時に紹介してたCDはすぐ買ってしまいました。

 今回も岩崎宏美さんの新譜が紹介されてますが、デビュー45周年を記念したライブ音源によるベスト盤が出るそうです。これも魅力ですね。

 ちなみに、今回の記事の構成は濱口英樹さんですが、私の愛読書である「ヒットソングを創った男たち 歌謡曲黄金時代の仕掛人」という本を書いた人なので、今回も「さすが」という記事でした。こういう記事があると週刊誌も買おうという気になるので、そこは声を大にして言っておきたいと思います。気になる人は是非お買い求め下さい。

昭和40年男 ~日本ロック元年~

2020年11月12日 22時21分47秒 | ブックレビュー
 
 発売中の「昭和40年男」が、かなり読み応えあります。昭和40年くらいに生まれた男の「ロック元年」というと、やはりロック御三家と言われたChar、世良公則&ツイスト、原田真二が活躍した時代でしょうが、とにかく色んな人が出てきます。

 今回インタビューありの記事に登場するのが、Char、世良公則、原田真二、リューベン、影山ヒロノブ、ゴダイゴ、芳野藤丸、横山剣、森若香織。写真入りの記事が、甲斐バンド、ダウン・タウン・ブギウギバンド、桑名正博(美勇士のインタビューあり)、アン・ルイス、サザンオールスターズ、などなど。

 これら以外にも、「昭和ロック名シーン」「ロックの裾野を広げたバンド」「名曲を生み出した職人たち」「仁義なき不良ロックの衝撃!」「ブラウン管の向こうからロックが流れてきた365days」などというページもあって、相当面白いです。

 かなりのボリュームなのでまだ全然読み切れてないのですが、これはしばらく楽しめますね。甲斐バンドの記事を書いた人は私と同い年ですが、内容にいちいちうなずくところが多くて「さすが!」とか思いました。ほとんど同じ本読んでるなぁと。

 今回は新田一郎さんの紹介もあって、スペクトラムの1stのジャケットも紹介されてるし、シングル「イン・ザ・スペース」のジャケ写もあるし。そして驚いたのがリューベンのインタビュー記事に出ていた写真。伊丹幸雄のバックバンドの頃というとロックンロールサーカスでしょうか、若き日のチャッピーこと渡辺茂樹さんもいるし渡辺直樹さん、新田さんもいます。フレンズの写真にも新田さんと直樹さんがいます。これは初めて見たなぁ。

 ということで、上記に登場する人たちの誰かに少しでも反応したら今回は絶対買いです。ちなみに、私が中3だった昭和53年にロック御三家が大人気でしたが、同じクラスの女子中学生の間では世良公則が圧勝でした。Charはどっちかというと男のファンが多かったような。

山岳小説は心がザワザワします

2020年11月04日 21時44分57秒 | ブックレビュー
 

 沢木耕太郎さんの「凍」を読みました。5年ほど前に夢枕獏さんの「エヴェレスト 神々の山嶺」を読んだら凄く面白くて、無酸素登頂とか崖を登る時のこととか知らない事も多く、この分野結構興味が湧きました。

 が、あちらはフィクションですが、今度のはノンフィクション。文庫の裏の文章には「最高のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。(中略) 彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な戦いの結末を知るはずもなかった。」とあって、「面白そう」と思って読み始めたと。

 ただ、今はWikipediaという便利なものがあって、途中でちらりとこの山野井さんのプロフィールを見たらちゃんとご存命なので、そこはやや安心して読めました。ただ、生きて帰ってこられたからこそ、その壮絶な行程が心理状態まで含めて綿密に描かれてるわけで、もうなんか心がザワザワすることしきり。

 それ以上はネタばれを避けるため、詳細は書きません。沢木さんは、この「凍」で第28回講談社ノンフィクション賞を受賞してるんですね。面白いはずです。

 ちなみに沢木さんのことは、その昔甲斐よしひろさんのラジオで知りました。「敗れざる者たち」の話をしてて、「サウンドストリート」にもゲストで一度来たことがあったと記憶してます。

 当然「敗れざる者たち」は読みましたが、その後「地の漂流者たち」「テロルの決算」「一瞬の夏」なども読みました。しばらく読んでなかったのですが、久々に出会ったのがこれだったので、やはりこの人のノンフィクションは面白いと。次は「キャパの十字架」とか読もうかな。

 で、実は「凍」は図書館で借りてきたのでした。沢木先生、すいません…。