半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

NHK 奇跡のレッスン 「書道編 書は身体がつくる/書くことは 人生と向き合うこと」

2020年07月12日 | 自分の時間

2月に録画した「奇跡のレッスン 書道編」を観ました。

いや~、すごかった

久々にみましたが、やっぱり奇跡のレッスンは良いですね~。

コーチは中国人の書家、熊峰(ユウホウ)さんという方で、中国で早くから天才と呼ばれていたそうですが、日本の有名な書家に感動して、わざわざ日本に学生留学し、中国と日本の両方の書の道に通じた、希有な存在だそうです。

そして、学校は広島県熊野町の中学校。

ここは「筆の町」として筆の生産が盛んで、子ども達の多くが書道教室に通い、中学校にも書道部があるのです。

いつもはスポーツなのですが、書道もおんなじだな~と思ったのが、まず、「基本を抑えること」「ウォーミングアップをする事」、そして、「思いをのせる事」。

心を開かせる、というのは、どんなコーチもそうなのですが、緊張しているのももちろん、日本の教育は、まずは「型」を覚えさせるのが基本です。

これはサッカーだろうと書道だろうと、そうなので、書道だとお手本をみながら何回も書きます。

なかには27枚ぐらい、同じ文字を書いている子がいて、それに熊先生もびっくり

そして、「お手本を見ながら何回も書く」のではなく、まず、「お手本を書くところ」を子ども達に見せる。

そして、お手本を見て書いたその子の書に朱入れをする際に、目の前で入れてあげて、どこが違うか、もっと言うと「書には美の法律がある」、ということを教えるのです。

私は書道はちんぷんかんぷんなのですが、子ども達からすると「先生が目の前でお手本を書いてくれるのは初めてみた」そうで、お手本の書き方、つまり、はらいがどういった力加減や力の入れ方で書けば良いのか、ライブで見れる、というのは珍しい経験だそうなのです。

顧問をしている部活動の先生は「お手本は1人で書く物で、子ども達の前で書くという発想はなかった」と。

そして、子ども達に朱入れをした後、それを横に置いて、また書いてもらったら、「自分で朱入れ」をしてもらうのです。

これって、実は「画期的」なことじゃないでしょうか?

テストなら自分で○付けを出来ますが、スポーツや書道は、「ダメ出し」をするのが日本では普通だと思います。

ところが、トップアスリートであれば、サッカーでも陸上でもそうですが、自分の動きやフォームをビデオ撮影し、それを見ながらどこが修正点か、コーチと議論するわけですよね?

要するに、自分で納得して、頭でイメージをして、それを体でも追いつかせようとするわけです。

熊先生の書道の教え方も同じで、自分で書いた物に、自分で朱入れをすることで、どこが自分の癖なのか、ついつい「美の法律」から外れてしまうところなのか、考えながら修正出来るのです。

そして、「ウォーミングアップ」もそうで、熊先生は、子ども達に立ってもらって、手で○や払いなどの動きをさせるのです。

こんなの書道教室で見たことないですよ

それで「○」や「とめ」や「払い」のイメージを体でしてもらって、その後、今度は筆をもってもらって、紙にまた「○」「とめ」「払い」の模様を5分ぐらい描いてもらうのです。

熊先生はこう言います。

「子ども達はすぐにお手本をみながら書き始めますよね?中には27枚も書いてしまう子もいる。でも、筆の力加減、先っちょではどのぐらいの力加減が良いのか、太く書くにはどのぐらいの力加減が良いのか、はらいの時は、など、自分のイメージと手が同じように動くように、まずは慣らす事が大事なのです。私も書を書くときは必ず5分ぐらいこのウォーミングアップをやっているのです」

なるほどね~。

1日目は、お手本を目の前で書いてもらい、それを見ながら書いた自分の文字に朱入れを目の前でしてもらい、それを見ながら書いたものに自分で朱入れをする。

そして2日目の最初に、体を動かしウォーミングアップをし、筆でもウォーミングアップをし、それから実際に書き始める。

すると、子ども達自身もびっくりするような、そして見ている素人の私もびっくりするようなぐらい「上手くなっている」のです

これはテクニック論ではなく、本質を抑えた基本の学び方、逆に言えば教え方が違いなのでしょうね~

 

一流のコーチというのは、子どもを教える時に「どのぐらい伸びるか」を楽しみにして教えられます。

力が無いコーチは一生懸命教えて、伸びないところを子どものせいにします。

これは圧倒的な力量の差がある証拠です。

 

力量があるコーチは、子ども達の可能性を信じ、また信じられるほどの経験と教え方を開発していて、伸びるまで「待つ」事が出来ます。

まるで子育てと同じですよね

 

子ども達も自分の成長っぷりにびっくり

 

そして、次は、子ども達に「好きな文字」を決めさせて、それに思いを乗せて書かせる。

先生は、「書体の差」ということで、同じ文字を10種類ぐらいの違う書体で書くことで、「伝えたい思いによって書体を選ばせる」という事もさせます。

そして、これも初日のように朱入れをしてあげることで、例えば書道に自信を無くしていた子もびっくりするように上手くなり、親御さんも「これ、先生が書いたんじゃないの」とびっくりするぐらい、上手な書ができあがったのです。

ここまではテクニックというか、教え方なのかもしれませんが、その後の熊先生が「さらに凄いな~」というところが、生徒達の心に入っていく書をさせたことでした。

実は広島県熊野町は一昨年の大豪雨で大変な被害を受けたところの1つで、実際に、この中学校でも2人が亡くなっているそうです。

被災地を訪れ、手をあわせた後、先生が「子ども達には表面には出していないマグマのような思いが色々眠っているはず」と。テーマにしたのがこの被災のこと。

詳細は割愛しますが、被害を受けた地域だからこそ、1人1人の中に眠っている思いを文字に表す、という場を最後に設けます。

そして、みんなに自分で選んだ言葉、書体を、親御さんも集まるみんなの場で1人1人書かせます。

中には、テレビを見ている私も涙する文字を書いた子も。

私、書道を見て涙を流したのは人生で初めてでした

そして、最後に先生が力強く書き足した文字が「書は力」という文字。

しびれました

 

ナレーションで入った熊先生の言葉も良いんです。

「人は、自分の中にある誰かに伝えたいという強い思いがあって、それを外に出して伝えるために書を作った」と。

あ~、やっぱり一流の人は、単なるアウトプットや結果を求めているだけでなく、自分の道に「命」をかけている。「信念」がある。

そして、それは大人であろうと子どもであろうと、強い思いとして伝わるんだな~、と。

何のために書があるのか?それを伝えられる、伝えたい、そういった思いがあって、世界各国に書を伝えるべく飛び回っている熊先生だからこそ、こういった事が伝えられるんだろうな~と。

いや~、やっぱり一流のコーチはしびれます。

 

何十パターンの「奇跡のレッスン」がこの番組を通じて日本の子ども達に施されましたが、本当にこの番組の対象校になった学校の生徒達は、幸せ者です。

きっと、何人かは大人になったときに一流の人になって、「あの時のレッスンがあったから今の自分がいるんです」と言っているんだろうな~

 

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