駅前のカレー専門店が無くなって五、六年になる。経営者の老夫婦が年を取って引退と聞いた。廉価で、和風の平凡な飽きの来ない味だった。年に二三度利用する程度だったのだが、無くなると寂しい。その代わりというのか十年ほど前からインド人スタッフによるインドカレー屋が市内のあちこちに出来た。辛さの調整が出来るさらさらカレーで中々美味しいのだが、これに付いてくるナンが美味しい。ナンがこんなに美味しいものだとは知らなかった。焼きたてで熱く適当にちぎって食べるのだが、カレーを付けなくてもそれだけで美味しい。米飯と同じで成る程これは飽きずに毎日食べられるわけだと納得する味だ。何か決まりがあるのだろうか、この系統の店に日本人スタッフはいない。インドは広い国なのでインド人でも色々な系統があるらしく、顔つき肌の色微妙に違うが醤油顔はいない。日本のカレー屋にはないマトンが気に入り、インドカレー屋に入れば大抵マトン中辛ラッシーを頼む。