駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

いつの日にか

2019年08月24日 | 人生

          

 

 今週は夏休み明けのせいか患者さんが多かった。夏は大体午前中三十二、三人が普通なのだが月火水木は五十人ほどの患者さんが来られた。これは冬の患者数で今の時期としては異例で頭と身体が準備できておらず草臥れた。「今日は混んでますねえ」と何度かおばさんやおばあさんに声を掛けられた。「ええ、大変です」と答えると「でも繁盛でいいじゃない」とねぎらうのとは違う返事が返ってくる。「ええ、はあ」とは答えたものの、実は三十年やってこの年齢になると患者さんが多いから嬉しいとは感じなくなる。多少余裕をもって診察できた方が、診療の質を確保しやすいし疲れないからだ。

 しかし医業はほかのサービス業と同じく?、客数(患者数)を調節制限はできない。そういうことをすると客足が遠のくとしたものだ。勿論、診療できる限界数はあるのだが、限界で頑張らないとなぜか陰りが出てくるのだ。他のサービス業も似ていると思うが、来院患者数には波があり山と谷では倍ほど違う。おおよその傾向はあるが、予想に反してというのが結構あり、患者さんも雨なので空いていると思ったのになどと言われる。「いやあ、患者さんの数は予想できないんですよ」と答えたりしている。小児科や一部の内科では予約制にしているところもあるようだが、高齢者の多い当院はまだ踏み切れていない。ただでさえ問い合わせの電話が多く事務が天手古舞なのに、「わしの予約はいつだっけ」という問い合わせや予約を忘れて受診し後回しで怒り出す患者さんなどの対応には手が余ると思うからだ。しかし今やネットの時代、近い将来携帯で予約を取れるようにすることになるだろう。午前中十二、三人の患者を診て午後は本を読んだり絵をかいたり碁を打ったり釣りに行ったりと好きなことをする理想の生活は、どうも結局は回ってこない気もする。叶わぬ希望でも、いつかはと願っている。

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