駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

立場あるいは体型の違い

2009年04月22日 | 医者
 S先生は4年前50才で総合病院の部長を辞め開業された。どんな事情があったか、聞けばどうも20年前の私と似たような心境の変化があったらしい。
 15、6年前、総合病院に赴任された頃は中肉だったが、今は十数キロ体重が増え頭も薄くなられ、メタボな体型になっておられる。
 かなり年下なのだが、何となく勤務医は開業医よりも上位と言うと言い過ぎだが、そうした雰囲気がどこかにあり、まあ丁寧な言葉使いで年に数回お話する程度だった。そこが不思議というかそれが世の中のというもので、同じ開業医となれば年齢が物を言うようになり、今度は彼が私に丁寧な言葉遣いをするようになった。
 ここまでは、そんなものかなというところなのだが、実はS先生とても楽しい人であるのが分かってきた。なんだかウマが合い、最近はお互いタメ口を利くようになった。
 体型から想像される通り美食家で、「菜の花」の桜饅頭が美味いねと言ったら目を輝かし、親がまだ住んでいますからお送りしましょうかと言われる。先生は当地には珍しく西湘が故郷なのだ。良い所ですねと言うと、いえいえ過疎化が進んで駄目ですよと言う。まあ旅人と住んでいた人とでは視点が違うのだろう。
 私は毎日様々な患者さんに会い、その訴えを吟味する必要に迫られ人品を観察する訓練を積んでいるのだが、外れることも時々ある。S先生は事務的でやや不機嫌な印象があり社交的ではない印象を持っていたのだが、実像は違っていた。
 それがどうも、実際に少し性格が変化、あるいは性格の表現形が変わったらしい。勤務医から開業医という立場の変化によるものか、あるいは恰幅よくなったという体型の変化によるものか。おそらく元々持っておられた循環気質が立場と体型の変化が相俟って外へ出てきたというのが正確なところだろう。楽しく話のできる仲間が増えるのは嬉しい。

 
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