駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

値上がりを外食で感知

2017年02月25日 | 世の中

       

 よく外食するのでこの一、二年値上がりしているのを実感する。脱デフレで物価上昇を狙ってきた政府にはご同慶と申し上げたいところだが、そうは感じない。牛丼チェーンの吉野家からお手軽イタリアンそして大衆割烹まで、ちょっとひねりを利かして値上げしている。材料がさほど変わったとは思えないが、ネーミングと調理法の変化で一二割の値上げがされている。値上げをしないカレーの美味しい家族経営の**屋には表彰状を差し上げたい(多分、剽軽親父は実は筋金入りで歯を食いしばって値上げしないのだと思う)。

 この値上げ攻勢には赤信号並んで渡れば恐くないというというメカニズムが働いている。勿論、厳しい競争があるから値上げ幅やお得感の演出には相当気を遣っているようだが、主に外食で栄養補給をしている単身者の懐を直撃していると思われる。恐らくそうして外食で食事を取っておられる人のためだと思うが、一人前でボリュームたっぷりのメニューが多い。おまけにプラス100円程度で大盛りの注文が出来るようになっている。ご飯は小盛りでと頼む(減らしても値下げはない)准高齢者には、どうも不都合なメニューだ。糖尿病を診療する医師としても、低カロリーで少し値引きがされたメニューが欲しいところだ。

 こうした頻繁に食べる千円でお釣りがくる外食と同様、否それ以上に値上げしてきているのが東京を筆頭とする大都市の高級店だ。一個で回転寿司一人前以上の値の張る寿司屋や、前菜だけで牛丼五杯分のお値段のフレンチやイタリアンが復活している。驚いたことに、前日では予約が一杯で一週間前でないと予約を取れない店も多い。なんだかバブル前夜を思い出してしまう。尤も地方ではとてもそんなお値段では客が来ないので、高級を自認する店でもなかなか一万円以上のコースは難しいようだ。

 年末に東京で感じた景気回復の気配も地方では感じにくく、地域格差が歴然としてある。飛躍するようだが、NHKには平均しては見えにくくなる実態を多角的にこまごまと正確に報道していただきたい。それが不偏不党というものだ。現実にある物事は簡単ではなく、一言で表すことは出来ない。 

 一体この外食料金の微妙な値上がりは何を反映し、どのような明日を指し示しているのだろう。サラダのつもりか、豚生姜焼き丼の肉の脇に鎮座しているキャベツを噛みしめながら、回らなくなった脳味噌で考えている。

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