駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

戻ってくる患者さん

2018年11月01日 | 診療

       

 

 来るものは拒まず去る者は追わずで医院をやってきた。年に五、六人長く通っていて来院しなくなる患者さんが居られる。その半数は重病になって通えなくなったり亡くなったりする患者さんで、亡くなった場合には今までのお礼など連絡が入ることが多い。残りは様々な理由で他医に転院している場合で、些細な理由であることが多いらしい。そうした情報は入りにくいので、断片的な情報からの類推だが、ちょっとした行き違いで嫌な思いをしたとか、知り合いや家族の物言いが多いようだ。

 そうして転院して又二、三年で戻ってくる患者さんが居る。そうした場合、来たら休みだったので他に行ってそのままになったとか、ここはちょっと遠いのでとか(遠くもないのだが)色々くどくど説明されることが多い。多分無断で転院したことを気にされてのことだと思う。私は医者を選ぶのは患者さんだし行き違いはあるもので、全くそんなことを気にしていないので、唯はあはあと聞くのだが、無断で転院して戻ってくるのは中々心理的な負担があるようだ。

 嘘も方便という。方便の嘘ばかりの政治家のせいで無意味になりそうな云い回しだが、娘の家に近いからとか当たり障りのない理由で変わらせてほしいと言うのも一つの方法だと思う。多くの医者は深く聞かないで気軽に紹介状を書くと思う。現にそうして二年に一人くらいだが直ぐ近くの先生に紹介状を書いてきた。向こうからも時々紹介状を持ってやってくる。そうすればあの患者さん元気にしているかなと思い浮かべることもあるし、戻っても来やすいと思う。

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