吉本の漫才よりも面白い内田樹と中沢新一の対談:「日本の文脈」をお勧めしたい。面白いだけでなく、ものが良く見えるようになる。成る程そうかと何度も眼を開かされた。
道を歩くには五感で十分かもしれないが、人生を歩いてゆくには五感では足りず、脳感が必要なのだ。脳感てなんだ、脳幹は生命維持の基本機能が詰った部位だが、脳感は世の中を理解する感覚のことで、これがないとその日暮らしのあなた任せになってしまう。この本は脳感を高めてくれる。
中沢新一さんは私の敬愛する考える人で、内田樹さんは神戸女学院に深入りを許される不届き者、違った、合気道の達人にして巷の優れた世の中解釈者で、この二人の対談が面白くないはずがない。
人文社会学にも疎い私は、お二人が学会の本流でない、周辺辺境に押しやられていると聞いて、永遠に縁のなさそうな人文社会学の本流に、別に縁はなくても構わん、辺境からの方が良く世界が見えると思ったことだ。
井の中の蛙に留まっては遺憾、「日本の文脈」を読んで、広い世界の存在を知り、広く遠くにも目を向けたい。日本の文脈は世界の文脈人類の文脈を知らずして、読みこなすことはできないようだ。
勿論、お二人のように有能でもなく恵まれてもいない人達に寄り添って仕事をしている私には、そう云われてもそうかも知れんがと思う部分や、なんだかちょっと楽屋落ちと感じる所はいくつかあった。それは当たり前のことで、本書の欠点ではない。
私の持っているのはたかだか再版で、もっと沢山の人に読んで楽しんでいただきたいと思う。
-これぞ自己変革の突破口-
フリーライター・元京都文教短期大学教授
藤井則彦
藤井氏は京大を出て、確か住友系列の生保が損保に勤めていました。 真面な正論を吐く人は、異端視されます。 出世を考える人は必要以上の口を開きません。我々は自己責任の範囲誰に迷惑が掛かる等と考えなくてよい自由人です。 自由人に乾杯。下らぬ推薦本一冊です。