吉都線をご存じの方は殆どいらっしゃらないだろう。大体なんと読むか分からないと思う。これはきっとせんと読む。宮崎県都城と鹿児島県姶良郡吉松を結ぶローカル線だ。乗る人は少なく廃線目前のようだ。
当院の患者さんは全国区で宮崎出身の患者さんも三名居られる。中で鹿児島寄りのYさんに吉都線に乗ったことがあるかと聞くと「十年前に乗ったかな。線路脇が草ぼうぼうで学生くらいしか乗らんとでしょ。もう駄目と思います」ということだった。上手く再現できないが鹿児島弁混じりの宮崎弁を聞きながら、そうか残念と思ったことだ。
採算を度外視といっても限度があるだろうし、故郷振興といっても首都圏から遠い過疎の山際では難しいのだろう。何故吉都線を知っているかというと、梯さんのエッセイに出てくるからだ。これから乗ることはないだろう、宮崎には五十七年前学生時代に友人六人と旅行に行ったきりだ。