駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

城下町

2010年09月23日 | 
 伊賀上野城の天守閣は昭和初期に地元の衆議院議員川崎克が私財を投じて復興したもので、戦国時代のものではないけれども、川崎克の提唱した文化産業の城として面目を施しているようで、周辺には城下町の風情が漂っている。
 伊賀上野と言えば伊賀流忍者からの連想で山の中のような印象を持っていたが、実際に歩いてみると、山の中というわけではなく、盆地の小じんまりした落ち着いた街だった。盆地と言っても周りの山々にさほどの標高はなく、小京都と呼ばれる町のひとつであるのも宣なるかなと思えた。四百年前にどんな町だったかわからないが、松尾芭蕉のような天才というか異能の人が生まれたにしては変哲のない土地にも感じた。
 日本にいくつくらい城壁を残す城下町があるか知らないが、城下町を歩くと歴史というものが五十年や百年で消えるようなものではなく、数百年も千年も綿々とどこかに流れているのを感じる。歴史は町の佇まいだけでなく住んでいる人達の言葉使いや物腰中に生きているようだ。区画整理がされていても、新興住宅地とは違う空気が微かに流れている。一般に年をとると知覚は鈍るものだが、歴史感覚は鋭敏になるらしい。
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2 コメント

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昔の議員は (cake)
2010-09-26 11:35:33
昔は、市町村の議員でさえ、田畑・家屋敷が無くなると言われたものです。今は太るだけですものね。私財を投じて伊賀上野に城を復元するとは、本当に故郷を愛し、文化を残そうとしたのですね。それに比べて某代議士は・・・以下略。

歴史と言う時間の中にいると、私たちは過去から未来に繋げる為に生きていると思えてなりません。歴史を変えた人達ばかりが持て囃されていますが、決してそうではない生き方もあると思っています。
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そうですとも (arz2bee)
2010-09-26 17:39:29
 本当に故郷を愛し、文化を残そうとしたのだと思います。
 ある年齢になると歴史というものを肌で感ずるようになりますね。仰る通り、大きな命を担って次の世代に渡してゆくのだと思います。
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