駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

愛読書その一

2009年01月24日 | 
 愛読書というのは何度も読む本というのが私の定義だ。
 氏より育ちとは言うが、人間の行動原理がどの割合で氏と育ちに由来するのかよく分からない、まあ半々というところかなと思う。科学的な観察研究は膨大だろうが、結論は単純ではなさそうだ。この年で思い返せば、こういうところは父に似ているなあ、これは母譲りかなと思い当たる節がいくつかある。それにしても、それが氏か育ちか容易には分かちがたい。
 これはたぶん、広い意味では氏に入るのだろう、男であるところから来ていると思うが、放浪願望が今も微かに残っている。妻子を持った、それを捨てて旅に出るほどの勇気?無責任さ?は持ち合わせず、定住し定職に就いてここまで来た。
 その願望を叶え癒すのが、束の間の旅であり、山小屋の集いであり、本の世界だ。
 野田知佑という人が居る。彼の本が好きで、時々拾い読みする。彼といっても大兄いというか先輩にあたる。どういう偶然で野田さんの本(魚眼漫遊大雑記)を手に取ったか、よく覚えていないが、24,5年前だったと思う。
 氏の本をたぶん二十冊以上持っている、ユーコン漂流など、昼休み時々拾い読みする。登場するガクなどは友達みたいなものだ。惜しい奴を亡くした、息子を残したが不肖の息子と聞く。どうも初代の厳しい野生体験がなく、ちょっと甘いらしい。
 野田さんはたった一人でユーコンをカヌーで下る。真の闇の中に眠り、自分の命を我が手に生きるフルライフを我が道とする。群れるのは嫌いだが人間嫌いとは違う。英語を自家薬籠中の物とし、文学の素養も深く腕力もある。何だか教養ある大草原のカーボーイというかカリブの海賊というか北欧のバイキングみたいな人だ。まあちょっと我が儘だが、これはそうしたものだ。まだ誰も指摘していないと思うがちょっとオトカムにも似ている。
 あの英語通訳を凡庸と決めつけた米原万里さんと氏を会わせたかった。意気投合したような気がする。編集者も機転が利かないなあ。
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2 コメント

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懐かしい (cake)
2009-01-24 11:09:57
カヌーの野田さんですね。ガクの名前も懐かしいです。私は椎名誠さんの本から、野田さんを知りました。椎名誠さんとのコンビも大変に面白いものでした。彼の本で、日本の湖にブラックバスが蔓延っている事を知りました。
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焚き火踊り (arz2bee)
2009-01-24 18:53:43
 そうです。椎名誠も大好きで初期の作品は結構読みました。奴隷を使っての離れ島での焚き火、私も一枚加わりたかったなあ。コック見習いでしょうが。
 確かガク主演の映画もあるはずですよ。
 ブラックバスと言えば琵琶湖の魚を食い荒らすブラックバスを食ってやろうと、ブラックバスのレシペが作られつつあります。近江大津など行かれた際はブラックバスの塩焼きをどうぞ。
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