駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

怪談より怖い階段

2012年10月27日 | 診療

   

 当院は後期高齢者が通院患者さんの二割近い。つまり五、六人に一人は七十五歳以上ということだ。この頃は九十代も希ではなく毎日一人二人九十代の方が来られる。

 こうした高齢者に階段転落事故が時々あり、重大な結果になることがある。幸い直ぐ死に至るような事故は未だ経験しないが、骨折して寝たきりになられた方は何人も経験している。二階には昇らないようにさせたり、家庭用エレベータを付けたりしておられる家庭も多い。

 Kさんは87歳、月に一度通院されているのだが、今日は嫁さんから往診の要請があった。数日前階段から落ちで腰と手を打ったという。整形で骨折はないと言われ帰ってきたのだが今朝から動けないという。

 Kさんは二階のベットに横になり静かにしている。苦しそうではない。ちゃんと話は出来るのだが、どうも顔色が少し悪い。血圧は101/60くらいでいつもより少し低い。診察では貧血と脱水がありそうというだけで、熱、喘鳴、心雑音、浮腫みはなく、もうひとつはっきりしない。朝からご飯を一口と水分を少し取っただけというので、点滴をして採血をして戻った。

 夕方、至急で出した検査の結果を見て驚いた。血色素が4.5gしかない。4ヶ月前の半分だ。いつの間にか貧血が進行していたのだろうか、それとも骨盤などにひびが入り内出血しているのだろうか?。いずれにしても入院治療が必要なので、家に電話をし入院が必要と説明して、例のごとく総合病院に時間外で申し訳ありませんがとお願いする。最初のT病院で受けてもらう。やれやれ、一安心。勿論、入院すれば大丈夫というわけではなく、自分の仕事は果たしたという安堵に過ぎないのだが。

 Kさんの家は家庭用エレベータが付いているのだが、なぜ使わなかったのだろう?。面倒、急いでいた、まさか勿体ないではないだろうな。

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2 コメント

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『 怪談より怖い階段』 (柳居子)
2012-10-27 09:24:40
 書かねば 判らぬ 難解談
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Unknown (arz2bee)
2012-10-27 11:43:36
読んで 分かるか 階段の落ち
返信する

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