駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

寒中の暖は有り難い

2017年01月18日 | 診療

         

 今朝は平均的な寒さだったと思う。幸い風がなく顔や耳の冷え具合も耐えられる範囲だった。プラットフォームで待つこと暫し、運良く座れた。座席の下で暖房が効いており下半身から暖まってきて仕合わせな気分になれた。北国では暖房がまず第一のもてなしと聞き及んでいる、宜なるかな。

 いつも運が良いとは限らないが、通院してくる患者さんの中に上手く癌を生き延びた人が二十数名おられる。私の手柄と言うよりは上手く治療してくれた専門医の力と患者さんの持っている幸運の賜だと思うが、見付けた私もなにがしかの貢献は出来たわけで、そうした患者さんを診るたびにちょっと励まされているような気持ちがする。中には卵巣癌や肺癌の方もおられ、本当に運が良いと思うのだが、こうした患者さんは素直で私の言うとおりにして下さったから幸いしたような気もする。言うとおりにしておけばよかったという言葉を風の頼りに聞くこともある。

 患者さんは本当に色々で訴えられたことはないが、同じようにしていても感謝されたり時になじられたりで、憮然とすることもある。私の落ち度というわけではなくても、結果が思わしくないと気持ちをぶつけたくなるのだろうと争わず承っている。勿論、完璧とは行かないのでこうすれば良かったかなと思うことは今でも時々あるし、病気というよりは愚痴を長々と聞かせてくれる患者さんも居られる。それに人間は死ぬように出来ているので元気で楽しかった患者さんも九十への坂で躓き亡くなられたりする。そんなわけでなんとなく気分が晴れない時に癌を生き延びた患者さんを診察すると励まされた感じがして、心が暖まる。

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