駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

店主と店構え

2008年05月27日 | 旨い物
 生きるために食べる。なるほどと50年前は純真に感動したが、50年後の今は、楽しく食べるために生きているといった方が正確で正直に生活を表現している。衰微の兆候かもしれないが、我々の年齢では宜なるかなと思う。
 遠出すれば二回に一回はいろいろ下調べをして新しい店に挑戦する。星をもらう前のカンテサンスに行ったことのあるのが自慢だ。我々の採点は星一つ、三つ星は不自然で可哀想。
 近場でもまだ行ったことのない店が多くあり、外食数回に一回くらい新しい店を試している。数年に一度、入っても席に座らず「あ、ちょっと」などと口走り、そのまま出てきてしまうことがある。なんだあのお客と怒っていると思うが、鈍重で不潔な店は敬遠だ。食べるまでもなく、美味しくない。ただ微妙なのだが、街角中華や洋食店は多少乱雑で古びていても大丈夫、活気さえあればむしろそれくらいの店の方が旨い。
 外科医と小児科医では気質に違いがあるように、これについてはいつか詳しく書いてみたいが、料理人も専門によって肌合いが違う。店に入った時、鮨屋には清潔感と微かな緊張感が必須で、これがない鮨屋は旨くない。料理人には異例なことだが、鮨屋は容姿が問われる。二枚目である必要は全くないのだが、手が綺麗でいなせな感じというか気持ち良さが欠かせない。緊張感というか締まりが必要だが、かといってあまり口が重いのもよくない。おしゃべりはもっとよくない。店の広さは小体だが狭くないのが良い。あがりとがりが旨くないようでは、鮨も大したことはない。色々注文が多いが、まあこれでだいたい外れはない。
 店のしつらえと内容の関係、いろいろあると思う。また書いてみたい。
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