駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

同業者批評 その一

2008年05月26日 | 医者
 世の中には多種多様な人が居て、情報が溢れているので、広い世界に生きているような感じがするけれども、実はほとんどの人は顔見知りと業界の論理に囚われた狭い世界に生きている。同業者の世界には業界固有の論理と習慣があり、業界の利益優先に動いて行く。そこに一般社会の見方や習慣を持ち込むことは非常に難しく、まして同業者を批判することは禁忌になっている。そんなことをすればあいつは変わっていると異端視されて、最悪の場合は仲間はずれにされてしまう。どうしてこんな持って回ったことを書いたかというと、ちょっと同業者を批評する冒険をしてみたいからだ。
 一般の人の中には総合病院や専門医を高級?とされる方がおられ、手足がしびれる耳鳴りがするなどの症状があると、何かの悪い病気の前兆ではないかと町医者を素通りして、直接総合病院や専門医を受診される。そこでいろいろ検査をされて、異常がないと宣告されて帰される。なるほど異常がないかと安心して帰って来たはよいがしびれ感や耳鳴りは治っていない、それじゃあ駅前の医者にでも行ってみるかと来られる。
 「なんだか左手の先がしびれるような感じがするんですが」。何時からどんな風になどといろいろ話を聞いて診察して、
 「首から来ているかも知れませんね、一度頸椎を調べてみたらどうでしょう」。 「ああそれはもう、調べてもらいました。MRIを撮って異常ないそうです。頭も調べてもらいましたが異常ありませんでした」。何でそれを先に言わないのと、どっと疲れが出る。
 「異常がないのにどうしてしびれるんでしょうかね」。と言うときょとんとしている。総合病院をしょって立つ部長あるいは専門医としてはよくわからないとは言いにくいのだろうか、あるいは患者を椅子から立たせる魔法の言葉が異常ありません、なのか。症状があるのに、異常ありませんと帰すのはどうも良い説明とは言えないように思う。
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