第一線で診療していると、些細な症状でも重い病気ではないかと心配で受診される患者さんが結構おられる。中年女性が多い。病歴診察で90%心配ないと判断しても100%大丈夫とは言えないので検査することが多い。高血圧や脂質異常などで定期通院されている患者さんの場合は経過をみることもある。実は病気の種類や時期によっては検査しても100%わかるわけではなく、結果に異常がなければ例えば98%大丈夫というところで、異常ありませんとそれ以上の検査を止めることも多い。精密な検査ほど身体的負担や経済的負担が大きいからだ。
保険診療は異常のない人は対象にしていないので、隣の奥さんが検査したからとか、なんだか心配だから安心のためにとかいうことでは検査できない。とは言っても初期には症状のない病気も多いし、七十過ぎの人に脳の画像検査をすれば頭脳明晰でも微小脳梗塞が見つかることも多い。
費用と身体的負担のある検査をどのように実施するかは、表だって声高には議論されないが診療における費用対効果の問題で、本当は国民的な指針形成が必要と思う。医療費は高額で国の懐を圧迫していることを自覚する必要がある。
問題はどの国にもあります。日本は生活しやすさでは今のところ恵まれていますが、同調圧力で変化を嫌い問題に馴らされてしまうと、じり貧になる危険性があると危惧しています。