AND SO ON

世界の片隅から、愛をささやいてみたり @goo

人の、未来へ

2007年09月23日 | テレビ番組
    還り着くべき故郷への想い
    “我らは甦る 地球の土に”


             竹宮惠子『地球へ…』より


…相変わらず記憶だけで書いていますが、
記憶がぐいぐい甦ってきているのもまた事実。


21世紀アニメ版『地球へ…』は昨日が最終回でした。 
>>> 公式サイト


30分じゃ短かったなあ。1時間は欲しかったなあ。
ものすごく濃密な話が、駆け足で過ぎていってしまって。
でも、原作全編を2時間程度(?)で描いた映画版よりは
丁寧だったんだろうと思います。
それでも「もっと見ていたかった」というのが正直なところ。


予想以上に原作を踏襲した最終回でした。
大きく違ったのは、トォニィが留まったこと。
原作で一番よくわからなかったのが、
トォニィをはじめとするナスカの子どもたちが、
人類もミュウも自分の肉体も捨てて、宇宙の果てへ去ることだったのですが。
トォニィが、「グランパがいなきゃイヤだ」と号泣する場面では、
涙が止まりませんでした。
忘れていましたが、見た目は大人だけど中身は少年なんですよね。
(ジョミーは、見た目が少年で中身は大人)(ミュウはややこしいんです)
この子にとってジョミーは、自分の存在のすべてだったわけで。
彼がジョミーの願いを受け入れ、ソルジャーとして留まったことで、
「崩壊の後の再生」に説得力が出たかな、と思います。


トォニィだけではなく、すべての人々に見せ場があったのもよかったと思います。
ブラウは最後までかっこよかったし、
シドもリオも、それこそマードック大佐にまで! 
彼がキースのことを「あのバカ」と呼ぶのが、何だか大人な感じでした。
そのキースはと言えば、
「これでサムやマツカに顔向けができる」とか
「最期まで私は一人か」とか
最後の最後で印象的なセリフが多かったですね。
人類側のリーダーであるキースと、ミュウの長ジョミーの、
指導者であることの深い孤独と互いへの理解も、よかったと思います。


組織と個人は、どちらが優先されるべきか。
私は、人の想いは組織を超えて人をつなぐのだと思いました。
ただ、「こんな星、どうだっていい!」と泣いたトォニィが、
その個人の想いを封じて地球を救ったことに象徴されるように、
自己中心的な想いだけでも、またダメなのだと思います。


エンディングがきれいでしたね。
ケミストリーの歌とダイジェストの映像に余韻を感じましたし、
最後の、何千年後か何万年後かはわかりませんが、
メギドが突き刺さったまま再生した地球の海と空と緑は、本当に美しかった。
あの地に眠ったジョミーやキースや人々の想いが、
地球を再び甦らせたのかもしれません。


少なくとも、これもまた幻だった、とは思いたくないのです。
 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 いつも深いんですよね~、ふゆ。さんの文章は。 (おばちゃん)
2007-09-25 15:58:37
 いつも深いんですよね~、ふゆ。さんの文章は。

 私にはとてもじゃないけどそんな文は書けません。
だから感じたことだけをチョコチョコっと書かせていただきます。

 話の枝葉をひろげすぎたんでしょうか。
なんだったんでしょう、あの終わり方。
あんな乱暴な終わり方じゃあ、おバカなおばさんには理解不能です。
 途中何度かそんな話はどうだっていいんじゃない?と感じた時があったんですよ。
その無駄を省いてエンディングにもう少し時間をかけてほしかったです。

  最終的には人類もミュウも地球を後にしちゃったということなんですよね。
誰もいなくなった地球はやっと息を吹き返し、青く美しい星に戻れた、という風に私は理解したのですが。

 長くなってしまうので、これぐらいにしときますが、原作をもう一度読んでみようと某所で検索してみました。
するとレビューで、「絵が古臭くて読みづらい」とか書かれていて、「た、竹宮さんの絵が古臭い?!」とショックをうけてしまいました。
私にとって萩尾望都、竹宮恵子といえば神様みたいな存在なのに。
 最近の漫画は全然読まないのでわからないのですが、そんなに古いのかしら・・・


 ささ、きっとふゆ。さんをガッカリさせちゃったであろう私の感想、これぐらいで今日は失礼しますね。

 ではまた。

返信する
おばさま (ふゆ。)
2007-09-26 06:11:00
おばさま

私と真逆の感想で(笑) でも時間が足りない、と言う点では一致してますね。

私は、原作の「地球に辿り着いた」という達成感の後にものすごい絶望が来る、
という終わり方があまり好きではなかったので
(最後に出てきた人々もどういう人達なのかよくわからなかったし)
今回の、何とか希望につなげようとする終わり方は嫌いじゃないんです。
ていうか、完璧トォニィにやられたんですけども(^^;

絵は古いと思いますねえ。萩尾望都さんの『トーマの心臓』は
20年前に読んだのですが、そのときですでに古いと思いましたから。
でも、そこさえ乗り越えちゃえば、圧倒的な物語世界が待っているのですから、
読みにくいなんて言って欲しくはないですよね。

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 原作本、まだ買ってないので私の記憶のみのお話... (おばちゃん)
2007-10-01 16:24:47
 原作本、まだ買ってないので私の記憶のみのお話ですが、私は最後に出てきた人たちはトォニィたちの末裔だと思ったのですが・・・。
 
 結局地球には戻れず、永遠に宇宙をさまよってる流浪の民となってしまってる。

 ついマイナーな方向に考えてしまいます(笑)
が、最後の暗い宇宙空間でボールを蹴る子供の姿がなんとも心もとなく、せつなくなって泣いてしまうのです。



 
返信する
> 宇宙空間でボールを蹴る子供の姿 (ふゆ。)
2007-10-02 04:55:00
> 宇宙空間でボールを蹴る子供の姿

ああ! 言われて思い出しました。
そういうシーンありましたよね。
あそこもどうとらえていいかわからなかったのですが、
頭で考えるより心で感じる場面だったんでしょうね。
 
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