脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

脳機能でいうと、小ボケって?

2017年12月09日 | 二段階方式って?
とても喜ばしいのですが、ちょっと面白い報告が届きました。

「6ヶ月間のプログラムで認知症予防教室をやりました」という報告です。
エイジングライフ研究所が指導する場合は、教室開始時と終了時に脳機能検査を実施するのはお約束。
今、原文が見つかりませんが、趣旨は以下の通りでした。
「前頭葉機能が落ちていても、MMSの成績がいい人たちは教室にもちゃんと継続的に参加されるし、脳機能もよくなっていくということが、よくわかりました」
(探し出せました。原文は「前頭葉機能が低下していてもMMSが落ちていなければ(軽度の状態)脱落しにくく、継続参加し維持・向上につながることを実感しました」)

どこも間違っているわけではありませんが、なんだかちょっと引っかかるところがあって読み返してしまいました。
あのね。
世の中の脳機能検査は、脳の後半領域を調べるテストばかりです。
それでは、小ボケは見つけられません。小ボケというのは脳の後半領域の働きはまだ正常域なのですが、前頭葉機能だけが異常になっている、正確にいうと、誰にでもある正常老化を超えた異常老化が起きている状態なのです。
「世の中で使われているMMSをはじめとする普通の認知機能テストでは合格するのに、前頭葉機能を実施してみたら不合格になる」と考えた方が分かりやすくはないですか?

この写真の斜線部分に注目してください。
世の中で広く使われているテストは、MMSをはじめとして脳の後半領域しか調べることができません。
MMSの場合は、30点満点で24点以上は世界的に正常域となっています。
もし前頭葉テストを実施しなかったら、MMS24点以上の得点があれば、脳機能テスト合格、認知機能に問題なし、正常!になるのです。
前頭葉テストをしてみると、最初の頃はびっくりしたでしょう?MMSが満点でもかなひろいテストが不合格になる人たちがいて。
前頭葉テストをしなければ、この人たちを見つけることができません。
前頭葉テストの重要性が、世の中に定着したら、この報告のように「認知症の重症度を決めるには、前頭葉テストが不合格が前提。脳の後半領域のレベルにより重症度が決まる」と言っても何の間違いもないんですよ。
この言い方をすれば、「前頭葉機能が不合格、MMSが合格の人」が小ボケですね。

この人たちは日常生活の支障はほとんどありませんが、社会生活には支障が起きてくるレベルです。そして、自分の脳機能の異常に気づいています。
きちんと生活指導をしてあげれば、元に戻ることは簡単です。
この人たちを見つけて適切な指導ができるようにならないと後追いになってしまいます。

もう一度私の返事を載せておきます。結論はこの解説があってもなくてもどこも変わりませんが。
「その通りです。小ボケの人は改善しますよね!
世間でボケは治らないと言っているのは、小ボケの存在そのものを知らないからですよ。
正常に近いほど予防活動の成果が出やすいのは、他の生活習慣病の一次予防とおなじです」

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