脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

緑の真珠ー気仙沼大島の希望

2011年11月04日 | 前頭葉の働き

10月26日から、宮城県と岩手県に行ってきました。

今日は気仙沼便りです。気仙沼湾にある気仙沼大島の様子を報告します。

写真真ん中の低地に左右から津波が。島が二分されました。   道も消えました。2011_1030_095600p1000159 2011_1030_102300p1000164

気仙沼市には17年来の友人がいます。
私が3月11日の大震災の日に、岩手県藤沢町(現、一関市)にいたことは、以前お話ししましたが、実はその時その友人ご夫妻と一緒でした。

「何かしたい」と思う気持ちはあっても、最初は連絡の方法がありませんでした。連絡ができるようになっても「何をしてほしいのか」が分からず、尋ねてみても「何と言っても・・・ラーメンやレトルトカレーはあるし缶詰もあるし・・・そうだ、ドレッシングがないかな・・・」みたいなやり取りだったのです。
何かお互いの気持ちが空回りしているようでした。

そのうち、避難所から仮設住宅への入居が終わったころでしたが
「仮設住宅が、これから先きっと寒いと思う」ということで、セーターやマフラー、毛布や湯たんぽなどの要請がありました。多くの友人たちにも声をかけてたくさん協力をしてもらいました。(ありがとうございました)

人は一人では生きていないことを、私もしっかり感じながらの荷造りでした。

「気仙沼大島中学校の文化祭で発表するために、PTAのお母さんたちにフラダンスを教えているの」という連絡を友人からいただいたことがきっかけで、今回の大島訪問が実現しました。
2011_1030_113700p1000171_2 少し早めに会場の大島中学校体育館に行きました。

生徒たちの劇が演じられていました。
まあ何年ぶりでしょう。中学生の演ずる劇を見るのは。
「ビーチボーイズとかぐや姫」
ももたろうとおじいさんおばあさん、もちろんイヌとキジとサル役も。友人、三蔵法師に孫悟空・沙悟浄・猪八戒、さらにはハリーポッターまでも。途中からの観劇でしたが、ちょっと不良のももたろうが見事に更生するというお話しで、中学生の「自分だけで生きるのではない。みんな仲良く尊重し合って生きよう」という素直な心情が無理なく伝わってきました。
カーテンコールで一言ずつの感想が述べられましたが、これがまた素朴に思いを言葉に表わしていて、「震災体験を糧にこの子たちはきっと強く生きていくことだろう」と胸に迫ってきました。
PTAのフラダンス2011_1030_114200p1000172

レイは大島中学校卒業生でホノルル在住の方が送ってくださったものとのアナウンスが流れると会場がどよめきました。
「ハワイからも応援してくれている!」

二曲目の「エクスイートポイナオレ」は、レイに愛する人を象徴させている歌だそうですが、お母さんたちの踊りにはその祈りが感じられる素晴らしいものでした。
クリックして歌を聞いてみてください。

感動は続きました。
合唱2011_1030_115400p1000173 2011_1030_115500p1000174                                              

一生懸命数を数えました。多分80人。全校生徒です。(一名入院中だそうです)
「全員出席してくれました。こどもたちはすごいことをやってのけました。いやーほんとにすごい」と真ん中で写真を撮っていた校長先生がおっしゃいました。ちょっと涙が見えたような気がしました。

素直に大きく口をあけて、指揮者を見つめて一つの歌にしていました。
一緒に観ていた大阪から大島を訪れていた元中学校の先生が
「みんながまっすぐで、私の教師時代では考えられません。みんな同じ方向を向いている」といわれました。

震災の被害は想像を絶するものがありましたが、この中学生たちを見せてもらったことで、きっとこの子たちは本当の意味で人間らしく生きていってくれるだろうと思いました。そこに大島の将来があると思います。

「自分が何を見、何を感じ、なすべきことを決断する。そして実行の後に自分でその行動に評価を与える」この繰り返しで、自分らしさの源である前頭葉は育っていきます。
あまりにも過酷すぎるものを見せられはしましたが、それさえ糧にしていける大島中学校の生徒さんたちだと信じることができました。

美術の展示2011_1030_133400p1000175
一人一人の作品が個性的で、バラエティに富んだ授業が彷彿とされる展示でした。このような教育を受けると例の三頭建の馬車の馬も御者も大きくなりますよね!美術の先生ありがとうございます。

震災の時、体育館に約800人の方が避難されたそうですが、寒い中、生徒さんたちがそれは親身にお世話をしたそうです。
「あまり指示されずに考えながらやっていました」これも校長先生のお話です。
今回の文化祭に際しても仮設住宅に「いらっしゃってください」と自主的にビラ配りに行ったそうです。
「自分で判断して、自分らしく行動する」ことは前頭葉の中核的な働きですが、中学生くらいだと、得てして「わかってるもん」のレベルでとどまることが多いのではないでしょうか?

やらなくてはいけない。しかも力を合わせて。
この体験が大島中学校の生徒さんたちのこれからの生きる力になりますように。
私は涙を流しながら、でも希望を感じていました。

大島の惨状は私の写真ではとてもお伝えできませんが・・・2011_1030_135700p1000177 2011_1030_094800p1000157

気仙沼湾の火災が飛び火。懸命の消火活動で愛宕神社は守られました。手前の木は全焼。                   2011_1030_101500p1000160_2 2011_1030_103900p1000169_2