脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

木曽町便り

2009年02月10日 | 各地の認知症予防活動

前回のブログで報告した上松町と木曽町(木曽福島町・日義村・開田村・三岳村が合併、2005年に発足)は隣り合っています。
上松町は、二段階方式を使った認知症予防活動にまったく新しく取り組もうとしている町。
木曽町は合併後、ようやく落ち着きを取り戻すことができたのでしょうか、それとも必要性に迫られてなのでしょうか、取り組みを見直して再出発、というような印象を持ちました。
木曽福島駅P1000023
実は去年のちょうど2月、木曽地域の保健師さんたちの研修会の講師に呼ばれ、エイジングライフ研究所が活動を始めた初期から導入していた王滝村のN田保健師さんや、旧木曽福島町の保健師さんたちに久しぶりにお会いして、懐かしくていくつも年が若返ったみたいでした。
その時保健師さんの発表がありました。
さすがに王滝村の発表は、脳機能結果をベースにしてあることと、正常から小ボケレベルの方々を対象にしてあって、私は内心とてもうれしく思いました。
N田保健師さんは、高齢化が進んだり、そのためのボランティアさんが不足したり、もちろん仕事に追われることもあるのでしょう、なかなか思ったような活動ができないと嘆いていましたが、少なくとも考え方は十分に理解してくださっていると見受けました。木曽福島駅前の雪像P1000027_2

もう一か所からの発表は、内容的には十分によくまとめられていましたが、大ボケの方が対象でしたから、保健予防活動という観点からは、なす術がないということになります。
もう一例は、非常に珍しい変性疾患だったという記憶があります。

「脳機能という物差しがあれば、ボケの理解の方法が変わります。症状からでは早期発見は困難です」と強調しました。
そして個別指導をしたのです。その時の様子が脳機能テスト、その後(終りのほうです)に報告してあります。

その時の研修会が、今回の講演会につながったのではないかと、これも私の推測ですが。
そんなことよりも大切なことを書いておきたいと思います。

市町村の保健師さんたちは「認知症の予防活動がしたい」と思っているということです。
業務は山のようにある、人員は削減されそう、場合によっては合併によって異動にもなった、それでもなおボケ予防をしたいと思っている保健師さんがたくさんいることを、私は知っています。今回もそのことを強く感じました。

その時、二段階方式の手技(脳機能テストを通して生活改善指導をする)を知ると「これなら使えそう!」と思ってくれるのですね。
あとは業務量との戦いでしょうか。
首長さんたちに、認知症予防活動における保健師さんの活用をぜひ考えていただきたいというのが、私の希望で、講演会ではかなり強調してお話します。
会場は福島会館P1000028
木曽町の講演会も250人くらいだったでしょうか。会場いっぱいのみなさんでした。熱心に聴いてくださってありがとうございました。
最後の謝辞で「これからの生き方、町の在り方をさし示した」と言ってくださってうれしく聞かせていただきました。

講演会以外の時間で、保健師さんたちが持っているケースを二段階方式の手技を使って解釈する時間をたくさん持ちました。
中ボケレベルになっても、さし当り会話は成り立っているように聞こえる(厳密に聞くと、的外れや間違いがたくさんあるのですが)ことや、小ボケレベルですでにこちらの質問に的確にこたえることができないことなど、多くの例で納得していただけました。
みなさんほんとに熱心でした!Y田保健師さんと久しぶりに顔をあわせたのに私語ができないほどでしたね。

あんまり勉強に集中して写真を撮り忘れました。(帰路の木曽福島駅で写した写真を使いました)

駅まで送ってくださったK井保健師さんとN村保健師さんP1000024
木曽町での事例検討は、大ボケではないものの中ボケが中心でした。「もっともっと早くなくっちゃあ」とK井保健師さんがつぶやいたのを聞きましたよ。
去年9月の研修会に見えた日義支所のM原保健師さんは、研修後のレポートも今回の事例もともに小ボケだったことを考え合わせると、着眼点を持つと小ボケを見逃すことはなくなるといえるのではないでしょうか?

P1000021_2今回の旅は、上松町でも木曽町でも、素晴らしい晴天に恵まれました。暖かくて「今年はこのまま春になるのでしょうか・・・」の言葉が飛び交っていましたが、厳しい寒さが戻らないように祈ります。
認知症予防活動も、冬の時代に後戻りしないでくださいね。