脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

十日町市松代のピカピカさん

2008年10月20日 | かくしゃくヒント

十日町市は1市4町の合併でしたから、中条(まだブログを始めていませんでした)・松之山(高齢化率43%)・川西(ひだまりプール)の各支所を回り、7月の十日町市飛渡地区に続いて、今回は最後の松代地区でした。
会場は可動式の椅子が出てくるタイプで80席だそうです。
開演時刻が近づいて、係りの人たちの動きがあわただしくなっていきます。
「椅子をまだまだ出さなきゃあ」
「前から座ってもらって」
「あと、受付中なのは何人?」
結局のところ187人の出席だったそうです。会場いっぱいでした。
会場は後ろまでいっぱい。                             係りの人は忙しい。P1000003  
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講演会は、とても盛り上がり、帰り際にお礼を言ってくださる方も多かったですし、中年の方は、口々に「私はお花が教えられます」とか「今ボランティアやっています」と言ってくださいました。

質疑応答の時には
「ボケ予防教室を開きましょう」という心強い発言も聞かれました。
講演中にわたしは「保健師さんに脳のイキイキ度チェックをしてもらいましょう」と声をかけるのですが
「つまり、K井(松代の保健師さんの名前)病院に相談するということですね」という確認意見が出されました。
「そのとおりです」と答えながら、人口3000人余の松代地区でのK井保健師さんの細やかな長年にわたる活動が胸に迫りました。
合併によって、保健師さんが大移動する新市町もありますが、一言で言って「もったいない・・・」

ところで、講演に先立って恒例の勉強会をしました。
お一人来て頂いて、脳機能検査をK井保健師さんが実施、私が生活指導します。                               T沢さん(76歳、女性)P1000005
検査の結果は、MMS29点。かなひろいテスト何と正答数23内容把握可。
さらにA4版の白紙の使い方から
「どちらかというと、T沢家はあなたで持ったでしょ?いわばかかあ天下?」
「おじいさんが、弱くて私ががんばってきたんです。でもおじいさんも舅さん姑さんも皆優しい人たちでしたから、がんばるのはつらくはなかった。当たり前です」
「楽しみは、近所の人との語らい。遊びに誘われると行くし、老人会もシシトウ生産部の集まりもみんな楽しみ」
ウーン、なるほど。
私は、こういう勉強会で正常の方に出会ったのはほんとに久しぶりでしたからうれしくなって、ついでに家族の説明を求めてみました。
子供と配偶者の名前と住所、完璧。
孫の名前と年齢、完璧。
結婚している孫の配偶者とその子の名前までも完璧!
よく見ると、髪はきれいにセットされています。
午後の講演会場で、挨拶をしてくださったのでちょっと伺ってみると
「昨日美容院に行ったんです」
このうれしそうな、どこか初々しいお顔を見てください。

越後湯沢 不動滝(大ぜん)P1000012_2

講演に先立って、恒例の勉強会が開かれました。
通所介護施設「さわやか」のO保さんから、5年間継続通所中のケースが出されました。
なんと5年前小ボケで発見。通所を開始しました。
2年前に大たい骨頚部骨折で入院したのですが、「さわやか」に又行きたいと言って、退院後申請していた介護保険を取りやめ通所再開。現在は、ぎりぎり正常域にまで回復していました。
検査はかかわりはじめと5年後の今回の2度しか行われていませんでしたが、
数値とともに見ていくことで
「よくなってるとは思ってたのですが、やっぱりそう考えていいのですね」とO保さんが緊張を解かして、笑顔いっぱいになったのが、私までもうれしくさせてくれました。
退院後、介護保険を使い始めていた場合と、今回のようにデイサービスを利用する場合との介護費用の差を考えてください。そのうえ改善させたのですから、もっと胸を張っていいことだと思いますよ。
「確かに元気になっています。ここまで来たらお世話役を買って出て、もっともっと元気になりましょう」と伝えてもらうことにしました。
前頭葉機能が、正常域に回復してくると世話役ができるのです。
越後湯沢 金剛滝(小ぜん)P1000013
もう1例は、前回のブログに書いたのと同じ側頭葉性健忘のケースでした。
2年前は、かなひろいテスト正常、想起ができない状態でした。
その半年後には、かなひろいテスト正答数が一桁にまで低下してしまい、MMSの低下もあって中ボケに入ろうかという所までいってしまいました。
(この低下はあまりにも急激過ぎますから、もしかしたら、ナイナイ尽くしの生活に入るきっかけが加味されたことも考えなくてはいけません)
さらに悪いことには、現在膝の手術のために入院中。
「当然のことながら退院後には、さらに低下が予想されます。入院による低下は回復可能ですが、根本的な側頭葉性健忘に対する生活の方法が身についていませんから、次第に低下がはっきりしてくることと思われます」と解説をしていたら、崎さんから発言がありました。
「前回のブログを見て、以前かかわった側頭葉性健忘の方を訪問して脳機能検査をしてきました。ぜんぜん落ちていません!」
「ノートを利用して記憶力障害を克服する(マニュアルC110P参照) ことはできなかったのですが、この人は、周りの人に全部話して周りの人がきちんとカバーしているのです。こんなやり方もあるのですね」

こういうふうに話題が進んでいくときに、二段階方式を使えるようになると自分のことのように喜ぶことができます。そのくらい脳機能テストはその人をわからせてくれるのです。