高校の10年先輩にお会いしました。70歳を超えていらっしゃるということです。
興味深いお話を伺いましたのでご紹介します。
第2の人生の名刺としては、なかなか素敵ですよね。
笑いながら名刺を出してくださった先輩はとても若々しく、とてもそのお歳には見えません。
いつも言うことですが、「脳が若々しい人は(ということは、イキイキと自分らしく生きている人はと言いかえてもいいのですが)、見た目も若い」のです。
「いったい何をして楽しんでいらっしゃるんですか?」
「野菜を作ってます!」
私が怪訝そうな顔をしたのでしょうか。お話が続きました。
「地域の子どもたちのための栽培収穫体験農園をやっています。1,000㎡あるんです。
もうすぐかぼちゃの収穫ですが 子どもたちがたいへん楽しみにしてくれています。その収穫物を使って「夏野菜カレー」が給食に出てくるので 私たちも一緒に食べることにしています。
農園では鯉のぼりを揚げたり、七夕飾りをやったり、年中行事も子どもたちと楽しみます。ご近所の大人たちも喜ぶんですよ。」
「1000平方メートルもの農地?」
「いろいろと優遇措置があるんですよ、子どもたちのためならね。
ただ手続きや、書類作成はちょっとめんどうかなあ。でも会社勤めした経験で手順を踏めば何でもないことですよ」
そもそも「かながわ子ども教室」って何でしょう。
シニア世代が知識や経験を生かして「理科好きの子どもを育てる」「子どもの健全な人格形成に寄与する」ことを目的に活動しているNPO法人です。
主催団体の説明がもう少しありました。
『主催団体は、「NPO法人・かながわ子ども教室」で「子どもの健全な育成」と「高齢者の自立と生きがいづくり」を願って活動している、神奈川県在住の企業退職者の集まりです。
前身は「子どもの科学・社会教室」で、平成16年に「ダイヤかながわ交流会」の分科会として発足し活動をはじめました。
活動を開始してから教室の開催依頼は年々増えると共に、開催場所も小学校、コミュニティハウス、地区センターから学童はまっ子、放課後キッツと広がってきました。
平成21年4月からは「NPO法人かながわ子ども教室」として「ダイヤかながわ交流会」から独立し、活動を継続することになりました』
「ダイヤかながわ交流会」という名前から想像できるように、三菱(スリーダイヤ!)グループ企業の退職者で神奈川在住の有志の会がその母体だったのですね。
ダイヤかながわ交流会の趣旨は
『会員が心身ともに健康で充実した人生を楽しむための交流の場を目的としながら、同時に「しあわせで活力ある長寿社会」に向けて高齢者の自立と生きがいのための社会貢献活動にも積極的に取り組む』というものです。
まるでレベルの高い認知症予防教室の趣旨そのものではありませんか!
5/10のブログ「かくしゃくヒント2-第2の人生へのソフトランディング」も併せて読んでください。
先輩が言われます。
「いろいろな業種、いろいろな仕事をしてきた人がいる。退職しているのだから、そこからはフリーの立場なんだけど、やっぱり得意分野はありますよね」
「僕も、最初かながわ子ども教室では、専門を生かした電気教室で参加したんだけども、その体験を生かして、今の農園を始めることに発展したのです。
この栽培収穫体験農園は個人でやってるんですが、6人のシニアサポートチームもあって、仲間も楽しんでやってますよ」
うわぁ!素晴らしい!
次々に活動が広がっていく、しかも自主的に。自分らしく。
活動のベースに、喜びや楽しみがなければこういう展開は考えられません。
この話にはまだ続きがあります。
大企業の健康保険組合でOBの健康保持のため、そしてボケ予防のために、種々の企画をしているところがあることは承知していました。
ところが、さすがに三菱。
三菱グループには財団法人ダイヤ高齢社会研究財団というものがあることがわかりました。
『高齢社会における「健康」「経済」「生きがい」などのテーマについて、民間の立場から実践活動を基礎とした調査・研究および啓発活動を積極的に展開し、高齢者を含むすべての世代が健やかにいきいきと生きていける「しあわせで活力ある長寿社会」の実現に向けて鋭意努力する』
このような流れがすでに生まれていたことは知りませんでした。
とてもとても重要なことですし、その趣旨を、実践にまでつなげてくださっている皆さんがいらっしゃることにも感激しました。
「かながわ子ども教室」のホームページから「たのしい科学教室」「たのしい暮らしの教室」のページに入って見てください。
開いてびっくり。はっきりと作成者の主義も主張も感じられるのですが、ほんとに楽しそうなのです。
本物の知識がある人は、わかりやすく楽しく教えることができるものです。まさにその通りの世界が繰り広げられています。
これも散歩途中で
ところで、この教室の面白さは、子どもたちだけが享受することでしょうか?
自らの体験を、自分らしい色付けで子どもたちに伝えることは、間違いなくその人の生きがいにつながると私は思います。
「どのように生きているか」を評価するのは、決して他人でもなければ世間でもありません。その人の前頭葉こそが自分の生き方を評価するのです。
「かながわ子ども教室や、今度お会いした先輩のように自ら立ち上げた栽培収穫農園で、子どもを育てながらイキイキと自分らしく生きる」ことを、その人たちの前頭葉はどのように評価するでしょうか?
ボケ予防の神髄を見る感じがします。
先輩、これからもどうぞ子どもたちとお楽しみください。