脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

かくしゃくヒント2ー第2の人生へのソフトランディング

2010年05月10日 | かくしゃくヒント

長野県小布施町のT田保健師さんから4月28日に写メールをいただきました。
「こちらもようやく春になり、一斉に桜が咲いています。小布施も捨てたもんじゃないななんて思いながら、千曲川の土手でジョギングを楽しんでいます」2010042513150000

この素晴らしい景色を皆さんにもおすそ分けしようと思いながら、そろそろ半月・・・
季節はみごとに変わってしまいましたが、あまりにももったいないので、遅ればせですがご覧ください。2010042514080000

このT田保健師さんは、すでに定年退職されていますが、その生活のご紹介。
町民のためにと、非常勤のお仕事を続け、そのほかにも趣味のジョギング(実は東京マラソンにも参加するほどのつわもの。夢はホノルルマラソン参加ですよね!)同窓会や旅行など、結構つかまらないこともあるほど、活動的な生活を楽しんでいらっしゃいます。

2010042711240000実はこのような写メールも退職後頂くようになりました。
メールそのものも退職後に挑戦されたはずですが、絵文字が入り始めたと思ったら写真添付が始まりました。

さらに、T田さんらしいなと思うのは「研修会参加中」という理由でつかまらないことがあるのです。

以下の写真は津軽三味線の野外コンサート(5月9日)
前は海                              2010050913530000

私たちは、退職後の生活の柱として
「趣味や遊びを通じた人との交わりそして運動 」を最も重要なものとして考えています。
このような右脳を主体にした生活は、人生を彩り楽しみをもたらすものに違いありません。ひいては前頭葉を活発にさせ、脳の老化を先送りするというボケ予防の大原則に合致するのです。

そのことを踏まえたうえで、もう一つ大切なことを知らなくてはいけません。
それは、前頭葉は「評価を下す」機能をも担っているということです。
「自分の今の生活を、自分がどのように評価するか」もちろんそれがポジティブでなければ、前頭葉はイキイキとなれません。      後は山2010050913550000                        

世にいう「立派な仕事をした」人たちが、外から見れば充実した暮らしぶりと評価されるのに、ご本人にとっては今一つ満たされていない場合が往々にしてあります。
そのような時、T田さんのように、退職後も「研修会で学ぶ」そしてそれを「仕事にフィードバックする」という、まさに左脳の世界を取り込むことで生活が格段に充実することがあることも知っておきましょう。
ただ、このようにイキイキさを実感するために仕事を取り込む生活は死ぬまで続けるわけにはいきません。どこかでまた自分が納得できること、つまり前頭葉が「それで良」と評価できることを生活の中で見つけなおしていくことが不可欠になります。それは生活のベースをだんだんに左脳から右脳にシフトしていくことになるのです。

仕事の次としてすぐに考えられることは、ボランティアでしょう。そしてその次には、やはり趣味に相当することが登場するはずです。
第二の人生では、趣味といわなくても「楽しいと思える時を持つこと」がなければ、脳を健康なままに保てません。
T田さんの素晴らしさは、定年後の軸足を「仕事だけでなく楽しむこと」にも置くことができたところにあります。
やはり、「趣味や遊びを通じた人との交わりそして運動 」が、定年後の生活では最も重要なものとして浮かび上がることになりますね。
岡田修さん素晴らしかった!2010050914430000
仕事一筋、仕事以外の趣味や交友を一段価値の低いものとして自分の中に位置付けている「まじめな」仕事人間といわれる皆さんが「定年後3年したらボケちゃった」ことにならないためには、仕事をバリバリこなしている時からこのような価値観を持たなくてはいけないのです。
仕事を評価する物差しと人生そのものを評価する物差しを二つ持つとでも言えばいいのでしょうか?ここにもボケ予防のひとつのピークがあるのです。

さらにもう一つ。本当に長生きをしたら、それまでの生活を支えてきた仕事・趣味・交遊を一つずつ手放さざるを得なくなる時が来るかもわかりません。
その時にどのように自分の人生を肯定的に考えることができるか?
その日に至るまでの日々を充実して生き続けた実感がある時にだけ、現状を肯定できるのではないかと、私は考えています。


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