奥州市千葉謙さんのお宅にお邪魔して、短い夏休みを満喫してきました。千葉さんのことはこのブログでも何度も触れていますが直近のを一つ。後半に千葉さんのことを書いています。
「認知症予防講演会 in 奥州市江刺区」
千葉さんは一言でいうと楽しい方です。
今回も開口一番の発言は「今年は天候が悪かったのか、ミツバチが来てくれないんだよ。巣箱だけでなく歓迎プレートまで用意してやってるというのに!そうか。ミツバチは字が読めないんだったか。ミツバチに字を教えてくれる学校はどこかにないかね」この調子(笑)
千葉さんの家は道からアプローチが長いのです。みごとに手入れされている畑と花壇。
門から振り返ると
門です。
手づくりの看板がウエルカム。以前伺ったときのものとつくりかえられて新しくなっていました。
看板を背にしてみると、遠く奥羽山脈が臨めます。この写真には写っていませんが、びっくりするほどの残雪が見えました。
「今年はミツバチも来なかったけど、植木屋さんもなかなか来てくれなくてね。庭中の松をボクがちょちょっと作ってやった。葉を整理して枝を誘引して、結構楽しいもんだったさ」
玄関わきにはこんな大きな松も。梯子をかけて、まるで本職の職人さんのようだったでしょうね。
心の字池の周りには松が何本もありました。
ちょっと向きを変えて。
千葉謙さんは多彩な人です。趣味は幅広く、また何をやってもすぐに玄人はだしの域に達する方なのです。書画、陶芸、木彫、お囃子もできれば歌も楽しめる。そうそう、そば打ちも名人でした。
千葉謙さんにかかると、盆栽も一味違います。
「山に行って、実生を見るとかわいくってねえ。連れて帰ってやらないわけにはいけない気持ちになっちゃって」
「それから、盆栽に仕立てたり、寄せ植えを作ったり。だいたい僕は人のまねするのは嫌いだから、自由なもんさ」
確かにいろいろな段階の作品たちが所狭しと存在を主張していました。
「寄せ植えは楽しいよ。言えば自然を写し取るようなもんだから」
都会の人で退職後畑づくりに手を染めた人たちは別ですが、農家の場合、野菜作りを「なさねばならない仕事」と思っている人は多いと思います。千葉謙さんにかかるとこうなります。
「カボチャを土手に這わせて収穫したという話をよく聞くけど、ボクくらいのプロになると、カボチャは整列させちゃうんだから。脇芽をとって、小さな竹の短冊を作ってまっすぐに誘導する。そうするといい実ができるんだよ」
「右はダークホース。左は坊ちゃんカボチャ。お互いに挨拶できるようにダークホースは右から左。坊ちゃんは左から右に進ませてる」
冗談のように聞こえますが、「15節目で…」という言葉が聞こえたような。つまり研究も実践もやったうえでの「カボチャの整列」のはずです。とにかく謙さんにかかると何だか全体的に楽しそうになってしまうのです。
掃除だって、軽やかです。写真を撮り始めた私に「3分待って」というと長靴姿で草刈り機をもって登場。前庭の芝生部分を、ほんとに3分かからずにきれいにされました。
私が泊めて頂いた客間から見えた「お田の神さま」です。ほんとにみごとに、徹底したお掃除ぶりです。ここまできれいだと、「きれいにすることが楽しい」何か、そういう気持ちがうつってくるような気がしました。
客間から西側の景色。杉の木立があってその先には手入れが行き届いたクルミ林が続いていました。
趣味らしい趣味の話に戻しましょう。
駅からの車中はゴルフの話でもちきりでした。
「昨日、稲瀬のゴルフ同好会の連中と盛岡まで行ってきてね。なんと準優勝。だいたいが現職のみんなが交流を目的としてやってるわけだから、40,50の人たちが多くてね。ボクは84歳で準優勝だから!」
「それはすごい!」
「それだけじゃなくて、実はニアピン取ったんだ」
「すご~い」
「それにね、何とドラコンもボクのものさ」
「え~ニアピンもすごいけど、ドラコンの方がもっとすご~い。盛岡まで行ってよかったですね!」
縁側の上がり框のところに小さなテーブルがあって、その上にニアピン賞とドラコン賞がお行儀よく並んでいました。もちろん苔玉も千葉謙さん作。
「いらっしゃったお客さんに自慢するつもりでここに置いてあるんでしょう」というと、
「もちろん。そうだよ」と、悪びれたり恥ずかしがったりするところはゼロです。いいですねえ。
ところで、敷地の一角にアプローチコースを作って、「草取りと思うよりグリーンの手入れと思った方がいいもの」というほど入れ込んでいたんですが、クマ出没のニュースもあってアプローチコースは中止。
そうすると、早速その一画が野菜畑になってました。
ブルーベリー園も開園。大粒のや小粒のや。ここでもきっといろいろな情報を求めて工夫されていることでしょう。
見たこともないものも置かれていました。これは何ですかと尋ねたら
「コルゲートパイプ。道の下に通したりして工事で使う。頑丈なものだから、いらないといわれて即いただき!さ」これなら山芋だってできそうでした。
今日は千葉さんのマルチタレントぶりを家の中に限ってお伝えしましたが、本当のマルチな活躍は社会活動の部分にあります。
「朝は4時半に起きるのさ。暑いこともあるけど、ボクは昼からはだいたい用事で出かけるから、家のことは朝のうちにすまさないと」
昼からは、公的なことに引っ張りだこのようです。佐野向としとらんと会の仲間の世話、自治会のこと、老人会のこと、お寺の総代としての活動、地区振興会の会長さんもされてましたね。とにかく電話がよくかかってきます。この下のブログでその片鱗は伺えると思います。
「かくしゃくヒントー裏の山にいます」
「佐野向はまとまりがいい、とか仲がいいとか、活動が活発とか言われるんだよ。もともと密なつながりのある地域だったけど、としとらんと会ももう12年もやってるし。花いっぱいという掛け声をかけ続けたおかげで、ここは花がたくさんある地域になったよ」
確かに、道に設けられた花壇だけでなく、家の入り口や畑の一部にもお花があることは、車を走らせたら誰でも気が付くと思います。
この古タイヤ利用の花壇も、千葉謙さんの声掛けですって!道のそこここに置かれていました。