脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

MoMAに絵文字がーコミュニケーションの基本は右脳

2016年12月26日 | 右脳の働き

MoMA(ニューヨーク近代美術館)に、ドコモが携帯電話向けに開発した176の「絵文字」がコレクションとして収蔵され、その展示が始まったというニュースを耳にしました。
携帯電話やスマートフォンでメールなどをやり取りする際に使われる、あの「絵文字」。お天気マークや顔の絵、ハートや矢印、日用品などなど。「絵文字」は日本発祥と知っていましたか?
見ただけでわかる。極限まで「字」に近づけているため好き嫌いがない(絵に近いほど好き嫌いが出る)。文末に付けるだけで文章に感情がこもったり、表現が和らいだりする・・・
(12月12日の中伊豆ワイナリー )

会話、ことばのやり取りをする時のことを考えてみましょう。
私たちは、コミュニケーションを図るときには「この気持ちを伝えたい」わけです。「ありがたい」とか「うれしい」とか「楽しい」とか。もちろんマイナス感情もあります。
そのとき、脳の中ではこんなことが起こっています。
左脳が持っているたくさんの語彙の中から、前頭葉が一番適切だと判断した「言葉」を口に出します。
もちろん、ことばをたくさん知っている方が、選択の可能性は広がります。

適切な言葉を使いさえすれば、自分の気持ちを正しく伝えることができるでしょうか?
例えばコンピュータで合成された言葉、自動応答の電話の声、自動販売機の「ありがとうございます」等を聞くときには、私たちはどこか違和感を覚えながら、その「ことばの意味」だけを受け取ることになります。
器械による音声だけではありません。お店の販売員の声音にも「気持ちがこもってないなあ」と感じることはありませんか?
サービス向上を図ろうと、ショップの販売員だけでなくホテルやレストランや病院や施設のスタッフなどなどに対して、行動や応対をマニュアル化することはよくあることです。
「いらっしゃいませ」をお客さんを迎え入れるときにも、このタイミングで。ここは笑顔で。お辞儀はこのような角度で何秒間。クレームを聞くときの言葉遣いもマニュアル化されていると聞いたことがあります。

そこで、ある程度の「品質」は確保できると思います。でもその一歩先が難しいはず。
「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます」にどのような気持ちを込めるのか。
「申し訳ありません」の気持ちを伝えるために、この言葉を選んで使っているのですが、口にすればいいわけではありません。いかに気持ちを込めるのか。
「もし私が教育担当になったら」と思いながら、その場に身を置くことがありますが(なんとおせっかい!)、言葉にしろ、しぐさにしろ、それを教えることはできます。でも気持ちをどのように伝えるかというレベルになると、とても難しい。

今まで書いてきたことは、いつもいつも考えたり実務研修会でお話ししてきたことです。実務研修会で、左脳と右脳の解説をする時に
「ありがたくなさそうに『ありがとうございます』と言ってみてください 」とか
「最近うれしかったことを話してください」と言って答えてもらった後で、「じゃあ、今度はそれを悲しそうにお話ししてみてください」いう課題を投げかけます。
皆さんが「とても難しい!」と驚くのです。 
ここで要求されるのは、声量を下げて、声音も暗くし、表情も無表情にするなど、右脳の独壇場。でも口にする言葉は全くその逆なのですから、むずかしいに決まってます。
そして、もうひとつ興味深いことが起きてきます。
受け取る側から言うと、いくら言葉が例えば「感謝」や「楽しいこと」を伝えていても、相手の右脳から出てきた感情的な情報の方を、こちらの右脳がキャッチしてしまい、その情報の方をより重視してしまうのです。
「ありがたくないみたい。何を怒ってるのかしら?私に何か落ち度があったのか心配になります」
「楽しいことの裏に、心配事とか悩みとかあるのかしらと邪推してしまう」 等々の感想が聞かれます。
 
閑話休題
ブログが滞った理由はいろいろありますが、最大の理由は「iPadから画像が取り込めない」というトラブルに延々と見舞われていたからです。
ずいぶん前のブログで、今度トラブったらこの手順でやればOKと報告しました。
その翌朝、「この手順」に入りたいのですが、昨夜はあったその入り口すらなくなるという大惨事(私にとっての)。iPadのカメラをパソコンが認識しないのです!
またまたアップルサポートに連絡をしました。
通常の窓口では対応しきれずに、より専門家の相談窓口につないでくれました。一貫してCHANさんという方でした。
書くのも大変なほどの、大変なステップと、1か月以上という膨大な時間を費やしながら、バージョンアップされたせいなのかどうか突然解決しました。その担当者の方の対応の素晴らしかったこと!後から来たアンケートに最大級の賛辞で答えました。 

初歩的な質問や、もしかしたら的外れな疑問に対しても、感情は常に波立つことなく、穏やかで親切で丁寧でした。
言葉遣いそのものも、完璧。かといって丁寧すぎて居心地が悪くなるということも一度もなく、声からもここちよい響きが 伝わってきます。本当に感心しました。

その後、別件でまたアップルサポートに電話しました。
言葉はマニュアル通りに丁寧ですし、たぶん的確に質問にも答えてくれたと思うのですが、前回までの長い応答中一度も感じたことのない「居心地の悪さ」を感じながらのやりとりでした。 
「私って変な質問したのかしら?何だかイラっとさせたみたい」
「何か、面倒がられているのではないかしら?」
言葉以外のニュアンスが、質問者としての私に対して「こんな質問なのか!面倒くさい」と雄弁に伝えてきます。声すら聞き取りにくいおまけつき。何回か聞きなおしたわけですから、「わかりやすいように、もっと大きな声ではっきり言ってあげよう」という思いはなかったということになります。
(こんなにかわいい桜が!12月12日)

またまた、閑話休題。
ガラケーとiPad(ミニ)の2台持ちで快適に暮らしていました。私にとってのベスト、不動の組み合わせです。
ところが携帯が壊れかけ、結局iPhoneを購入することになってしまいました。(iPhoneの価格は、携帯の倍くらいなのですが、いろんな割引が付くために支払金額がほとんど同じになるのが一番の理由。携帯サービスの今後の保証は不透明ということが二番目の理由です)
始めてiPhoneをいじってみたら。絵文字が多いことにびっくりしました。ドコモの絵文字に比べてはるかにイラストっぽい。だから自分の気持ちに合うものを探さなくてはなりませんけど。
iPhoneでは、時間がかからずに手早く気持ちを伝えることができるので、言葉でなく絵文字を多用するのだとか。
絵文字からの情報を受け取るのは、右脳(+前頭葉)です。コミュニケーションの基礎を担うのは右脳ですから、絵文字を使うのは理にかなっています。
iPhoneにしろパソコンにしろ「見ている」画面の場合は、右脳からの情報がありませんから、無味感想の文字だけが伝わってくることになります。声音や表情を付け加えることができない以上、そこに右脳情報である絵文字を挿入するのは自然な流れだったのです。

ただ、絵文字は簡便で時間もかかりませんが、絵文字だけが飛び交っている画面に出会うと、「楽しいけれども、深いやり取りにはなっていないなあ」と感じてしまいます。
右脳はアナログ情報を直観的に処理しますから、とにかく時間がかかりません。
左脳はデジタル情報を一つ一つ論理的に処理しますから時間がかかります。
コミュニケーションを円滑に行うには、右脳が大切な必要条件です。だからと言って、右脳だけで絵文字や「うわー」「かわいい!」「ステキ」「マジ?」などの感嘆詞だけを駆使してメールなどのやり取りをするのは、その場限りの応対で人間関係が深まるわけではないことにも注意が必要です。
脳はやっぱり三頭立ての馬車です。 

 

 




 


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