山形県米沢市の「なごみの部屋」に行きました。
「なごみの部屋」のことは何度かブログにも載せていますから、右欄カテゴリーから「施設での実践」をクリックしてみてください。
M浦さんはケアマネージャーをしています。
今回とても興味深いことを言われました。
「二段階方式のテストをやると便利です!
私は一番にまず脳機能検査をやらせていただくことにしています。
その後で、ご本人からもご家族からもいろいろ伺うのです。
このやり方にしてからは、これ以外はちょっと考えられません・・・」
その通りです。
なぜなら、中ボケレベルになっても話だけを聞いているとほとんどおかしくないとよく言われます。
よほど月並みなやり取り、例えば「暑いですね」「寒いですね」「ご苦労様です」というようなやり取りでは、実に流暢に話すことができます。
でもほんとは変なのですよ。
的が外れていたり、言ってる内容は正しくてもこの場ではそういうことは普通は言わないでしょうというようなことを言ったりしているのですが、聞く側が
「ほんとに言いたいのは、きっとこういうことだろう」とか
「またぁ。言わずもがなのことを言ってしまってる」などと、親切に解釈してあげていることが多いのです。 なごみの部屋では障碍者支援のためのお菓子製造もおこなっています。皆さんのおやつに使用+販売
家族の方からの訴えや症状の説明にしても、これは本当に家族関係を反映しています。
脳機能低下のために、種々の困った症状が起きてしまっていても、家族にとっては普通に話している(と思っている)だけに、そのことが理解できません。
「生返事はするくせに、いうことを一つも聞いてくれない」とか
「嫌味や嫌がらせじゃないか」とかはよく訴えられることです。
長い年月、基本的な関係がうまくいってない時には、家族がより悪く訴えたくなるのも理解できます。
その人の脳機能さえわかっていれば、日常生活がどのように行われていくかを知ることができます。
行動は脳機能のアウトプットですから。
その行動をどのように捉えるかというところから、家族関係は自ずから理解されます。
関係が悪ければ、より強く問題行動と訴えられがちです。
関係が良好であれば、様々な困った行動の訴え方にゆとりが感じられます。
キィーは脳機能(のレベル、特徴)なのですから、
「一番に脳機能検査をします」ということはとっても効率よくその人や家族関係を理解できる近道です。
M浦さんから聞いた話を一つ紹介しましょう。
二段階方式では脳機能検査をした後で、30項目問診票(小ボケ・中ボケ・大ボケでよく出現する行動が10ずつ列挙されています)に記入してもらいます。
検査の結果は、前頭葉機能ははっきりとした低下があって、脳の後半領域の機能を検査するMMSは合格。
これを小ボケというのです。
小ボケの人は、自分の脳の動き方が前とは違うということを自覚していますから、30項目問診票の小ボケ相当の行動を、自分からあてはまるとチェックしていきます。
このはなしには続きがあります。
「3以上の仕事がテキパキ片付かない」に丸を付けながら
「これってね、例えばね、お浸し作るために鍋に水を入れてガスにかけるでしょ。それから
お風呂の蛇口をひねってから、洗濯物を取り込みに行って・・・
洗濯物を取り込む前にちょっと草が目についたらやっぱり抜くでしょ!そんなふうにどこかで別のことをし始めたら、事件が起こってしまうんです。
鍋を空焚きしたり、お風呂があふれたり、洗濯物を取り込み忘れたり」
まさに前頭葉の注意集中力や注意分配力が、極端に利かなくなっている小ボケの状態を見事に説明できています!
このレベルだと、話もおかしくないし脳機能検査をしないと全く正常にしか見えません。でも脳機能の老化の加速は始まっていますから、生活改善指導は必須です。
こういうケースに出会うと、脳機能検査をしてあげてよかったと思えるでしょ?M浦さん!